新人研修の上司コメントが新人を育てる!効果的なフィードバック方法
公開日:2024年07⽉04⽇最終更新日:2024年07⽉04⽇
新人研修において、研修の内容と同じぐらい実は効果に影響があるのが上司のコメントです。しかし体系立ててコメントの仕方のレクチャーを受ける機会はあまりないものです。
この記事では、新人研修における上司のコメントについて解説します。以下の点について深堀していきます。
・フィードバックの基本
・避けるべきコメント
・フィードバックの具体的手法
・モチベーションアップにつながるフィードバック
・フィードバック後のフォローアップ
研修の企画担当者の方、コメントをする立場にある上司の方は参考にしてみてください。
新人を育てる上司のコメント
初めに、新人を育てる上司のコメントについて解説します。以下の側面からまとめます。
・フィードバックの基本とは?
・正しいタイミングでのコメントの重要性
・質と量のバランス
・個別対応のメリット
・NGフィードバック:避けるべきコメント
順に見ていきましょう。
フィードバックの基本とは?
フィードバックでは、新人が仕事に取り組んだ結果に対する具体的な評価や提案を伝えます。それにより新人に対する信頼と理解を深め、自己認識を高める役割を果たします。具体的なフィードバックは、新人が自分の強みと弱みを理解しスキルを向上させるための方向性を見つけるのに効果的です。
またフィードバックは建設的であり、新人が自身のパフォーマンスを改善するためのサポートを提供します。
正しいタイミングでのコメントの重要性
フィードバックを行うタイミングは非常に重要です。行うべきタイミングを逃してしまうと、新人は成長の機会を失ってしまう可能性があります。またタイミングを選ばずに頻繁にフィードバックを行うと、新人は過度のプレッシャーを感じてしまい自己肯定感を失いがちです。
フィードバックは、新人の行動やパフォーマンスに対して意味のある変化をもたらすためのものであり、それが適切なタイミングで行われることで本質的な学びと成長が生まれます。たとえば新人が具体的なタスクを完了した直後や新たな役割を引き受ける前など、その状況に応じて適切なタイミングでフィードバックを提供することが重要です。
質と量のバランス
フィードバックは質と量のバランスが重要です。
コメントの頻度が高すぎると、新人は圧迫感を感じ反発しやすくなります。逆にフィードバックが少なすぎると、新人は自己評価が困難になり自己改善の機会を失います。同時にフィードバックの質も重要で、的確に新人の強みと弱点を指摘し具体的な改善策を提供することが必要です。
質と量のバランスを取るためには、新人の性格や経験レベル、仕事の状況を把握してそれに基づいてフィードバックの頻度や内容を調整することが効果的です。
個別対応のメリット
個別対応のフィードバックは、新人が具体的な改善点を理解しやすいというメリットがあります。全体的なフィードバックでは見落とされがちな、個々の課題や成長のキーポイントに焦点をあてることができます。
さらに個別対応は社員一人ひとりの能力や特性を理解する大きな機会となるため、チームの強みや弱みをより深く理解することにもつながります。
NGフィードバック:避けるべきコメント
新人を育てる際のフィードバックは大切な要素ですが、適切でないコメント、いわゆるNGフィードバックを避けることも同様に重要です。
評価基準が不明確なコメントや、個人の能力に焦点を当てすぎたフィードバックは避けるべきです。これらは新人の自信を奪い、自己効力感を低下させる可能性があります。
また批判的なフィードバックよりも建設的なアドバイスを重視するべきです。具体的な行動や成果に対するフィードバックを行うことで、新人は自分がどの部分を改善すべきかを明確に認識できます。
さらにフィードバックは、一方向のコミュニケーションではなく双方向の対話を重視するべきです。直接的な意見だけでなく新人の意見や感想も積極的に聞き入れることが大切です。
フィードバックの具体的手法
次にフィードバックの具体的手法についてまとめます。以下の点が挙げられます。
・ポジティブフィードバックの使い方
・ネガティブフィードバックの伝え方
・フィードバックシートの活用
・目標設定・達成のための効果的サポート
1つずつ見ていきましょう。
ポジティブフィードバックの使い方
ポジティブフィードバックは、他人がよくやったときにその行動を認め、評価することでその行動を励まし再度行うことを促す手法です。
根拠のある具体的な事例を示しながらフィードバックを行うことが重要です。たとえば新人が提案した案が採用された場合、「あなたの提案が採用されたことでプロジェクトがスムーズに進んだ」などと具体的に伝えます。
またポジティブフィードバックは適切なタイミングで伝えることも大切です。良い結果が出た直後や、その行動を観察した直後など、その人が良い行動をしたとすぐに認識できるタイミングが最適です。
こうしたポジティブフィードバックの使い方により新人は自己効力感を得ることが可能となり、自身の能力に自信を持つことができます。
ネガティブフィードバックの伝え方
ネガティブフィードバックの伝え方とは、スムーズで効果的な成長の機会を提供するための重要な手法です。
しかしその伝え方が円滑でなければ、受け取る側の意欲を削ぐことになりかねません。そのため、具体的な行動や結果に対してフィードバックを行い、解決策や改善方法を一緒に考えることが重要です。その際、文化や感情を尊重すること、リスペクトする態度を忘れずに、無理なく頻繁に行うことが理想的です。また伝える内容は具体的で測定可能なものが望ましいです。
フィードバックシートの活用
フィードバックシートはフィードバックの一貫性と記録を保つための重要なツールです。このシートにはフィードバックの目的、具体的な内容、行動計画等を記載し、相手に伝えることでコミュニケーションがスムーズになります。
フィードバックシートは視覚的な要素も含むため、口頭でのフィードバックよりも理解度が高まる可能性があります。またフィードバックを記録しておくことで上長が後から成果を確認し追加のフィードバックを行う際に有用な参考情報を提供します。
目標設定・達成のための効果的サポート
目標設定・達成のための効果的なサポートは、新人の成長を促す重要な要素です。
まずは、具体的かつ達成可能な目標を一緒に設定しましょう。目標は長期的なビジョンから日々の業務に至るまで、さまざまなレベルで設定できます。この段階で新人に自身の責任領域を明確に理解させることが重要です。それぞれの目標について、どのように進めていくべきかのアクションプランも作成します。これにより、新人は一つひとつの業務が自身の成長やチームの目標達成にどのように影響するのかを理解できます。
さらに進捗状況を定期的にチェックし適切なタイミングでフィードバックを提供しましょう。スマートの法則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)による目標設定を心掛けて達成度を明確に可視化することで、新人の自己評価や動機づけにもつながります。
日々の業務や目標達成に向けたアドバイスを提供することで、新人は専門知識やスキルを身につけることができ自身の業績向上につながります。
これらのプロセスを通じて、新人は自身のパフォーマンスを向上させ、組織全体の生産性向上に貢献できることでしょう。
モチベーションアップにつながるフィードバック
次に、モチベーションアップにつながるフィードバックについて解説します。以下の側面からまとめます。
・モチベーション理論とフィードバック
・認識と報酬のリンク
・インセンティブの具体例
・サポート体制の強化
順に見ていきます。
モチベーション理論とフィードバック
モチベーション理論とフィードバックの関係は深く、マズローの欲求階層説やハーズバーグの二要素説など、多くの理論が存在します。これらの理論は人が動機づけられる理由や条件を明示します。どのようなフィードバックが新入社員のモチベーションを向上させるかを理解する手助けになり、上司にとって有益です。適切なフィードバックは、自己実現の欲求を満たすことで新入社員の成長を促進させます。
またハーズバーグの二要素説では成長の機会や達成感等、仕事そのものから得られる満足感が重要とされており、これも上司のフィードバックにより実現可能です。理論を理解し適切なフィードバックを提供することで、新人の研修期間を最大限に活用することができます。
認識と報酬のリンク
認識と報酬のリンクについて考えるとき、個々の努力を認識・評価しそれを報酬で裏打ちすることが重要です。具体的には、達成した具体的な結果に対して報酬を与えるとともに、取り組み自体や改善の努力に対しても評価し報酬を与えることです。
たとえば営業目標を達成した場合にボーナスを与えるのは一般的でしょう。それと同じように、新しい提案を作り出す努力を行ったときや困難な案件に取り組んだときも、その取り組み自体を評価して報酬を与えることが望ましいです。
これにより新人は自分の行動が組織に対して認識され、評価されると感じ、モチベーションの向上につながるでしょう。
インセンティブの具体例
インセンティブは、労働者のモチベーションを高める役割があります。具体的なインセンティブとしては、賞金や昇進、社内表彰などが考えられます。
また金銭的な報酬だけでなく、職務の自由度を高めることや職場環境の改善なども効果的です。インセンティブは一見単純な報奨金のように思われがちですが、実際には個々の社員が何に価値を感じ何を求めているのかを深く理解し、それに応える形で提供することが重要です。
サポート体制の強化
サポート体制を強化するためには、全体の組織構造と協力して取り組むことが必要です。
一人の上司だけではなく、全員が新人の成長をサポートする体制を作ることが重要です。こうすれば、日々の業務に追われがちな上司の負担を軽減し、新人も使命感を感じながら成長できます。たとえば企業内で「メンター制度」を導入すると良いでしょう。これはより経験豊富な職員が新人の成長をサポートする役割を果たす制度です。
また定期的な研修の提供や、外部の専門家を招いてのセミナーなども効果的です。こういった体制を整えることで、一人一人が人材育成に参加する文化を根付かせることができます。
フィードバック後のフォローアップ
最後に、フィードバック後のフォローアップについてまとめます。具体的には以下の点が挙げられます。
・定期的な進捗確認方法
・メンタリングとコーチングの活用
・フィードバックに基づくOJTの応用
・効果測定と改善策の提案
1つずつ見ていきましょう。
定期的な進捗確認方法
定期的な進捗確認は新人の成長を促すとともに、上司と新人のコミュニケーションを深める手段となります。
具体的な方法としては、たとえば週次や月次でのレビューミーティングを設けることが挙げられます。この時重要なのは、新人の成果だけでなく評価軸や成長目標に対する理解度も確認することです。
これらの手法を活用することで、新人の成長を促すとともに自己啓発のきっかけを提供することが可能になります。
メンタリングとコーチングの活用
メンタリングとコーチングは、新人育成に欠かせない手法の一つです。
メンタリングは、経験豊富なメンターが新人に対して直接指導やアドバイスを行い、個々の成長を促進することを目的としています。一方コーチングでは上司や先輩がコーチとなり、新人自身が問題や課題を自己解決できるようサポートします。
個々のニーズに応じたアプローチを用いることで、新人の自己成長と組織の持続性を両立させることが可能となります。
フィードバックに基づくOJTの応用
フィードバックを基本としたOJT(On the Job Training)を新人教育に適用する場合、その効果は計り知れません。新人が実際の業務上で出会う課題や問題を共に解決しながら進めていく中で、フィードバックが業務能力向上を後押しします。
大切なのは、その場その場で即座にフィードバックを行うことです。これにより新人は自身の行動とそれがもたらす結果のリンクをはっきりと把握できます。
しかし注意が必要なのは、フィードバックは全てが良いという訳ではないという点です。不適切なフィードバックは逆効果を招くこともありますので、新人の意欲や自信を傷つけない建設的な評価を心掛けるべきです。
効果測定と改善策の提案
フィードバックの効果を最大化するためには、定期的な効果測定と改善策の提案が欠かせません。
まず効果測定では数値化するパフォーマンスインディケータを設定し、それに基づいて定量的な評価を行います。これによりフィードバックが具体的な結果につながっているかを目で見て確認できます。
次に改善策の提案ですが、これはフィードバックが効果的に機能していない場合や新たな課題が発見された場合に重要です。具体的な行動計画を作成しそれを新たなフィードバックの対象とすることで、継続的なパフォーマンス向上を促進します。これはフィードバックの受け手が自己改善のための具体的な道筋を見つける手助けになります。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。