研修で孤立しがちな社員をどうする?研修を実施する側がやるべきこと
公開日:2024年05⽉24⽇最終更新日:2024年05⽉24⽇
新入社員が入社して研修を行っていると、周りになじめず孤立してしまう社員が生まれることがあります。せっかくコストをかけてよい人材だからと採用しても、なじめないせいで離職につながってしまっては自社にとってもマイナスです。
この記事では、研修で孤立している社員に、研修を実施する側としてどのように対処すべきかについて解説します。以下の点について深堀していきます。
・孤立しがちな社員をどう見つけるか
・社員との関わり方
・研修プログラムの設計と改良
・社内カルチャーの向上と研修の役割
研修の企画担当者の方は参考にしてみてください。
研修で孤立しがちな社員に対する対策
まず研修で孤立しがちな社員に対する対策についてまとめます。以下の側面から解説します。
・認識の重要性:孤立しがちな社員をどう見つけるか
・コミュニケーションスキル:社員との関わり方
・メンターの役割:一人ひとりに寄り添うこと
・率先して関与する:グループ活動とチームワーク
順に見ていきましょう。
認識の重要性:孤立しがちな社員をどう見つけるか
孤立しがちな社員を見つけるための認識が重要です。孤立状態にある社員は、一般的には周囲との交流が乏しく、集団活動への参加を避ける傾向があります。
特に新入社員の場合、緊張感から自発的にコミュニケーションを取ることが難しいことがあります。そのため、上司やメンターが積極的に関与し孤立が社員のパフォーマンスやモチベーションに影響を与えないようにすることが求められます。
また距離感を保った観察を行い、ボディランゲージや業務への関心度などを確認し孤立しがちな社員を特定するための手がかりを探すことも重要です。
コミュニケーションスキル:社員との関わり方
コミュニケーションスキルは、社員間の関わり方を形成し職場の雰囲気を一変させる力を持ちます。
孤立しがちな社員がいる場合、主にコミュニケーションスキルの欠如が原因であることが多いです。そのため、一方的なコミュニケーションではなく双方向のコミュニケーションを促進する研修が重要となります。対話の質を高めるトレーニング、従業員同士の関係性を強化するアクティビティ、または問題解決能力を高めるためのワークショップなどを実施しましょう。
メンターの役割:一人ひとりに寄り添うこと
孤立しがちな社員にとって、メンターの存在は非常に重要です。孤立感を和らげ、自信を取り戻すためのサポートを提供します。メンターは一人ひとりの社員の個々のニーズに対応・理解して効果的なフィードバックを提供することが求められます。
また彼らは社員が自分のキャリア目標に向けて進んでいくことをサポートし、社員の成長と進歩に対して責任を持つべきです。
メンターとメンティーの関係は、信頼と尊敬に基づくものであるべきです。これによりメンティーは自己肯定感を獲得し組織への所属感を高め、生産性を向上させることができます。
率先して関与する:グループ活動とチームワーク
社員が孤立する原因の一つに、グループ活動やチームワークがうまく機能していないことが挙げられます。これを解決するためには、リーダーや上司が率先して関与することが重要です。
たとえばプロジェクトや研修の各段階でチームミーティングを設け、全員が自分の意見やアイデアを発表できる機会を作るといった取り組みが有効です。それにより社員一人ひとりがチームに貢献し自分の立場や役割を認識することが可能となります。
またこれらの活動を通じて、相互理解や信頼を築き、チーム内でのコミュニケーションを改善することが可能です。これによって、孤立しがちな社員がチームに溶け込みやすくなるでしょう。その結果、チーム全体の生産性やモチベーションも向上することでしょう。
研修プログラムの設計と改良
次に、研修プログラムの設計と改良についてまとめます。以下の側面から解説します。
・初日の研修:オリエンテーションの工夫
・継続的な支援体制の構築
・テクノロジーを活用した研修方法
・研修の進捗管理と評価方法
順に見ていきましょう。
初日の研修:オリエンテーションの工夫
オリエンテーションは、新入社員が会社と自分自身の役割を理解し自己の存在意義を見出す重要な機会です。工夫の一つとして、個々の新入社員の専門性や興味を引き出しそれを活用する機会を提供することが挙げられます。ダイバーシティを尊重し各社員の個性を最大限に活かすチーム作りを推薦します。
さらに初日の研修で組織のビジョンや値観を明確に伝え、共有することも重要です。これは、社員が会社に共感し自身の役割を理解するための基礎となります。
継続的な支援体制の構築
研修での孤立対策として、継続的な支援体制の構築も非常に重要です。通常、研修は期間を設けて行われますが、その期間が過ぎれば終了という状況は避けるべきです。どんなに充実した研修内容であったとしても、その後のフォローアップが不十分であれば、研修で学んだことを忘れてしまう、または活用できずに終わることが多々あります。
研修の有用性を最大限に引き出すためには、研修期間だけでなくその後も継続的な支援体制を構築して社員が常に学びを深められる環境を提供することが重要となります。
テクノロジーを活用した研修方法
テクノロジーを活用した研修方法は、効率的で成果を上げるための重要な手段です。オンライン研修、VRやARを用いたシミュレーション、AIを用いたパーソナライズ学習など、テクノロジーの力を利用し研修をより効果的で楽しくすることが可能です。
オンライン研修なら、時間や場所を選ばずに学習が可能で、大規模な参加者向けにもコストを抑えた研修を実現します。加えて、参加者の進捗管理や理解度チェックもリアルタイムで可能なので、支援やフィードバックが容易になります。
VRやARを利用したシミュレーション研修は、現実世界と同じ環境を再現し社員の経験を積ませることが可能です。現場の状況を直接模擬体験することで理論だけでは得られない実践力を養うことができます。
またAIを用いたパーソナライズ学習は、それぞれの社員の学習進度や理解度に合わせた個別対応が可能になります。これにより一人ひとりが最適な研修を受けることができ、効果的な学習結果が期待できます。
以上のようにテクノロジーを活用した研修方法は、時間や場所を選ばずに研修を提供でき、個々の進行管理とフィードバックが可能になり、さらにリアルなシミュレーション環境での研修など、効果的な学習を実現します。これらは社員のスキルアップだけでなく企業全体の成長にも寄与するはずです。
研修の進捗管理と評価方法
研修の進捗管理と評価方法に関して、研修の目的と出力を明確に設定することが重要です。これには、各研修の開始前に期待される結果を明言し定期的にその達成度をチェックする習慣をつけることが含まれます。またフィードバックを行う際には具体的な事例と共に提供し何をどのように改善すればいいのかを伝えるようにしましょう。これにより社員は自身の強みと改善点を理解しやすくなるでしょう。
一方、評価方法については、研修の内容に応じて変えることが推奨されています。たとえば技術研修の場合は実際のスキルセットや成果に基づいた評価が適切であり、コミュニケーションスキルの研修の場合は社員間のインタラクションやフィードバックを元に評価するのが良いでしょう。
また進捗管理の面からは、専用の研修管理ツールを使用すると効果的です。これにより研修の進行状況をリアルタイムで把握し必要に応じてカリキュラムを調整することが可能になります。
研修の効果を最大限に引き出し社員のスキルアップに繋げるために、適切な進捗管理と評価方法の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
社内カルチャーの向上と研修の役割
最後に、社内カルチャーの向上と研修の役割についてです。以下の側面から解説します。
・積極的な文化作りの推進
・社員間の交流促進の方法
・組織全体の成長を促す文化の形成
・ただし仲良くなることが研修の一番の目的ではない
順に見ていきましょう。
積極的な文化作りの推進
積極的な文化作りは、社員間の互助性を高め、全体のパフォーマンスを向上させます。企業で積極的な文化を推進する方法として、定期的なコミュニケーションの場を設けることや、新しいアイデアを歓迎する雰囲気を作ることなどが挙げられます。このような取り組みは、社員の創造性と能力を引き出し組織全体の成長を促進します。
社員間の交流促進の方法
研修で社員間の交流を促進するための方法は多数あります。
一つは、チームビルディングの作業を設けることです。これは、社員が協力してタスクを達成することで相互理解と団結力を深める効果があります。また研修中の食事時間の活用も有効です。これにより仕事以外の場で意見を交換する機会を増やし親睦を深めることができます。
ただしこれらの取り組みはあくまで手段であり、最終的には社員一人ひとりが互いに理解し合い、協力し合う環境を作り出すことが大切です。
組織全体の成長を促す文化の形成
組織全体の成長を促す文化の形成は、研修プログラムの重要な役割の一つです。これには、成長意識の高い文化を具現化し社員が自己啓発に積極的に取り組むことを奨励することが含まれます。
組織全体の成長を促す文化の形成は、社員がスキルアップに自主的に取り組むことを奨励し組織としての競争力を高めるために重要であると言えます。それは、個々の社員が自己成長を求め、全体としても企業が成長し続けるという好循環を生み出すのです。
ただし仲良くなることが研修の一番の目的ではない
研修の主目的は、新たな人間関係を作り出すことではなく従業員個々のスキルアップと企業全体の成長を促進することです。仲良くなることも大切ですが、それは単なる副産物であり、研修の成功を測る主要な指標ではありません。
これを踏まえて、研修プログラムを設計する際には、スキルの向上と組織全体の成長に主眼を置くべきです。なお、親睦を深めることは、社員間のコミュニケーションを活発化しチームワークを促進する助けとなりますが、それだけが目的となってはならないということを念頭に置いておく必要があります。
東京ITスクールの研修
少し発想を変えてみると、コミュニケーションスキルを向上させる研修を受講することで、社員の孤立を防ぐことも可能です。その際はぜひ東京ITスクールの研修をご活用ください。とくに以下の講座が適しているでしょう。
- 孤立しがちで、自らコミュニケーションを取ることができない
- 自己中心的で相手の意思を汲み取れない
このような課題を持つ社員にとって、職場における円滑なコミュニケーションのためのスキルを効果的に身に付けられる内容となっています。
もしもご質問やご興味がございましたら、些細なことでも構いませんので、お気軽にご連絡ください。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。