何をもって研修の成果と考える?成果を最大化するポイントも解説
公開日:2024年05⽉17⽇最終更新日:2024年05⽉17⽇
研修を実りあるものとするためには、具体的な成果がどうだったのかと意識することは当然のことでしょう。しかしそもそも何をもって成果とすればよいのか、そしてどのように成果を測定すればよいのかわからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、研修の成果についてまとめます。以下の点について解説していきます。
・研修成果の定義
・研修の前後での評価方法
・種類別に見た研修の成果と評価方法
・成果を最大化する具体的アプローチ
研修の企画担当者の方は参考にしてみてください。
何をもって研修の成果と考える?
初めに、何をもって研修の成果と考えるのか解説します。以下の側面からまとめます。
・研修成果の定義とは
・成果測定の重要性
・目標設定におけるSMART原則
・研修の前後での評価方法
・持続可能な成果を目指す理由
1つずつ見ていきましょう。
研修成果の定義とは
研修成果の定義とは、研修によって得られるべき具体的な成果や期待される効果を表すものです。たとえば新技術の習得、スキルの向上、ビジネス理解度の強化などがこれに該当します。また研修成果は単に学習者の知識やスキルの増強だけでなく、その後の行動変容や業績向上につながることも重大な指標とされます。
具体的には、研修後にその知識や技術が実際の業務に活用され、生産性や品質が向上することが挙げられます。これらの定義は研修の目的や形式、参加者のレベルにより多少異なるため、各企業で具体的に研修成果を定義することが求められます。
成果測定の重要性
研修の成果を測定することは、何を学んで何が身についたのか、またそれが実際の業務にどの程度役立ったのかを把握するために重要です。適切な成果測定が行われないと、研修で得られた知識やスキルがどの程度社内に定着したか、またはその定着度が業績改善にどれほど寄与したかを評価することができないでしょう。具体的な成果を示すことで研修の有効性を明確にし経営層や関係者に対する報告や説明がしやすくなります。
また研修プログラムの改善点を見つけ出すための有益なフィードバックも得られます。これらは、組織が持続的な成長を追求する上で欠かせない要素となります。
目標設定におけるSMART原則
研修の目標設定において欠かせないのがSMART原則です。これは、Specific(具体的)な目標、Measurable(測定可能)な目標、Achievable(達成可能)な目標、Relevant(関連性のある)目標、Time-bound(時間結びつき)の目標、の頭文字をとったものです。
たとえば企業で新しい技術を学ぶ研修を計画する場合、SMART原則を用いて具体的な目標を設定すると「3ヶ月後までに、新技術の基礎知識を習得し実際の業務で適用できるレベルまでにする」という具体的な目標設定が可能になります。
SMART原則に基づく目標設定は、目標を明確にしてその達成度を測定しやすくすることで研修の成果を明瞭に捉えることを可能にします。また目標達成の可否が明確なため、受講者のモチベーション向上にもつながるのもメリットです。これにより研修全体の効果を最大化することができ、持続可能な成果を目指すための一助となります。
研修の前後での評価方法
研修の前後での評価方法は、研修成果を数値化し理解するために重要です。具体的には、研修前後で参加者のスキルを評価する「事前事後評価」が一般的です。研修前の評価は参加者の現状の理解、目標設定、そして必要な研修内容の決定に役立ちます。
一方、研修後の評価は研修内容が実際にスキル向上や態度変化に寄与したかを把握するのに用います。
持続可能な成果を目指す理由
持続可能な成果を目指す理由は、一過性の知識やスキルの習得だけでなく長期的なパフォーマンスの向上と企業の競争力強化に直結するからです。短期間で得た知識やスキルは、往々にして時間とともに忘れ去られがちです。
しかし研修によって得た知識やスキルが毎日の業務に生かされ、徐々に組織の文化や業績に良い影響を与えていくことこそが、真の研修の成果といえます。また持続的な成果を追求することで研修の投資対効果も高まります。そのため、研修を実施する際は一時的な結果を求めるのではなく長期的な視点で成果を測定することが重要です。
研修成果の種類と評価方法
次に、研修成果の種類と評価方法についてまとめます。以下の種類について解説します。
・知識習得の評価
・スキル向上の評価
・態度変化の評価
・実務への適用可能性
・フィードバックと継続的改善
1つずつ見ていきましょう。
知識習得の評価
研修の成果の一つとして最も頻繁に取り上げられるのが知識習得の評価です。これは、研修で得た情報や知識が正しく理解・記憶されているかを確認するためのものです。
具体的な方法として、研修前後での知識テストやクイズ形式の試験が一般的です。ただしこの評価だけで研修の成果を測るのは不十分で、習得した知識が実際の業務に応用できているかを見ることも必要です。
知識をただ頭に入れるだけでなくそれを活用できるようになることが研修の真の成果と言えるでしょう。
スキル向上の評価
スキル向上の評価は、研修後に受講者が必要なスキルを習得して改善したかを明確にするためのものです。そのため、評価基準は研修前のスキルレベルと比較して明らかになります。
具体的な評価方法としては、実技試験やロールプレイ、シミュレーションなどの手法があります。これらによって、受講者が新たに学んだスキルを実際の業務場面でどの程度適用できるかを評価します。
態度変化の評価
態度変化の評価は研修成果の中でも非常に重要な要素です。これは、研修によって参加者の行動指針や働き方に対する意識が改善されたかどうかを見るものです。態度の変化は組織の業績向上に大きな影響を及ぼすと言われています。
評価方法としては、アンケートやフィードバック、面談等を通じて直接参加者から意見を聞くことが一般的です。また360度フィードバックや自己評価などを取り入れることでより客観的な評価が可能になります。ただしこれらの評価は定性的なものが多いため、その解釈には注意が必要です。
実務への適用可能性
実務への適用可能性とは、研修で得た知識やスキルが受講者の業務にどの程度活かされるかを評価する項目です。具体的には、研修後に増加した成果物の質や問題解決のスピード、業務改善提案の増加などを指標とします。
たとえばセールススキル研修の場合、研修後の営業成績の向上や顧客満足度の改善が実務への適用可能性の指標となります。また新規プロジェクト立ち上げのためのリーダーシップ研修では、プロジェクトの進行スピードやメンバーのモチベーションの向上などが評価対象になります。
実務への適用可能性を評価する際には、研修の目標や内容、受講者の業務内容や職位を考慮に入れることが重要です。また評価の正確さを確保するためには、研修前後での成果比較や、立場の異なる複数人からの評価などを行うと良いでしょう。
フィードバックと継続的改善
フィードバックとは、研修生が学んだ内容を実践した結果に対する評価や意見を伝えることです。これがあることで研修生は自分の理解度やスキルの向上度を把握でき、更なる学習のモチベーションにも繋がります。
また講師からのフィードバックは質問や理解の助けとなり、学習内容の深化を促します。週次や月次でのフィードバックを導入すると、その結果を元に研修内容をブラッシュアップが可能です。これにより研修の質が徐々に高まり、また研修生の成果も向上するのです。
一方、改善とは、フィードバックを元に、研修内容を見直し必要な部分を追加修正することを指します。これは研修の質を保つ上で重要なプロセスです。フィードバックを通じ、問題点や課題が明らかになれば、それを改善することでより効果的な研修に進化していきます。繰り返しのフィードバックと改善を行うことで、研修生それぞれのニーズに対応したオーダーメイドの研修が可能となります。
成果を最大化するための具体的アプローチ
最後に、結果を最大化するための具体的アプローチについて解説します。以下の方法が挙げられます。
・社内メンター制度の利用
・実務への即時適用
・継続的な学習の場の提供
・モチベーション維持の工夫
・成果共有の場の設定
順に見ていきましょう。
社内メンター制度の利用
社内メンター制度の利用は、研修の成果を最大化するための重要なアプローチの一つです。具体的には、経験豊富な社員が新人や若手社員の指導役となり、研修で学んだ知識やスキルの実務への応用や実践的な問題解決をサポートします。これは一種のOJT(On the Job Training)ともいえるでしょう。
新入社員研修の一環として社内メンターシステムを導入し経験豊富な先輩社員が新人の成長をサポートする方法があります。これにより研修内容の理解度を深めるとともに、現場での適応力も向上させることが可能です。
さらにこれらのメンターには定期的にフィードバックを提供する役割もあります。これにより研修参加者の学習進捗やパフォーマンスの見える化が可能となり、個々の成長につながる具体的な改善点を見つけ出すことができます。
社内メンター制度の利用は、研修の成果を的確に評価しその結果を継続的なスキル向上につなげるための有効な手段と言えます。
実務への即時適用
研修の効果を最大化するには、新たに習得した知識やスキルを実務に即時適用することが極めて重要です。これにより現場で直面する問題をリアルタイムで解決したり、新しい知識やスキルを実践的な形で強化したりすることが可能となります。また学んだことを実際の業務に活用することで研修内容の理解を深め、記憶に定着させる効果もあります。
即時適用は、研修成果を高め、持続可能な成果を得るための重要な手段です。そのため研修内容と実務との連携を強化し、社員が学んだことを速やかに業務で活用できる環境を作ることが求められます。
継続的な学習の場の提供
研修後も継続的な学習の場を提供することが成果を最大化するための一つのアプローチです。研修だけでは時間的に限界がありますが、継続して学習することで理解を深め、スキルの定着を図ることができます。その手段としては、オンラインの学習プラットフォームや社内研修、さらには自己学習を支援するためのリソース提供などが考えられます。
モチベーション維持の工夫
モチベーションを維持する工夫について語るとき、一番重要なのは研修への参加者が自身の成長を実感できる環境を作ることです。
また評価やフィードバックも重要な要素です。研修後のスキルアップを評価し表彰することで参加者の学習意欲を向上させる企業もあります。
さらに自身の学習成果を仲間と共有する場を設けることもおすすめです。これにより参加者は他者に対する教育的な役割を果たすことで自身の知識を深化させる機会を得られます。このような場を設けることで一緒に学ぶ仲間との連帯感や競争心を煽り、モチベーションをさらに高めることが可能です。
成果共有の場の設定
成果共有の場の設定は、研修成果を最大化するための重要な要素です。具体的には、「成果発表会」や「成果報告書の提出」などの方法があります。成果発表会は、受講者が自身の学習成果を他のメンバーに発表することで自身の理解を深め、他者からフィードバックを受けることができます。
また成果報告書の提出は、自分自身の成長を文書化し進捗を可視化することが可能です。こうした活動は、研修の成果を確認し振り返りを行う良い機会となります。またこれらの成果共有の場を設けることで受講者同士の情報共有や競争心を促す効果も期待できます。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。