東京ITスクールの前身は?
2007年創業当初は、研修を外注していました。4社程ピックアップし1名ずつ社員を通わせましたが、結果的に4名とも、技術がつくどころか苦手意識がついてしまいました。
高いお金を払って社員が凹んでしまった。私にとって衝撃でした。しかし「IT=人財育成業」という信念がありましたので、外部が駄目なら自分達の手で「日本一の社内研修を作ろう」と試行錯誤し作ったのが東京ITスクールの前身となっております。
当初は、社内研修としてのみ活用していましたが、複数のお取引先企業から、「お金を出すから若手を混ぜて欲しい」と言われるようになりました。我々も中小企業ですので、同業他社の声が痛いほど理解できます。
金額も一か月50万円が業界の相場でした。ただ何とかもっと負担の少ない金額で作れないかと10年以上掛けて試行錯誤してきました。結果的に助成金も活用できるようにしました。
教育を一生の仕事にしようと腹で決めた日
2009年にはじめて職業訓練というものを行いました。20代~40代でリーマンショックのあおりを受けて職を失った方々が、20名程集まり研修はスタートしました。皆さんPC操作もろくにできない状況から、毎日講師と受講生が一体になって終電近くまで残り、結果として3か月で2年生レベルまで引きあがりました。
今でもこの時の研修を越えることはできません。最後の修了式で感想を頂く際、半数近くが泣きながらコメントして下さり、講師も含めて全員で泣きました。この時「こんな素晴らしい仕事は他にはない。教育を一生の仕事にしていこう」と腹で決めました。
裏話ですが、それから3年間教育事業は大赤字でした。ただ、利益じゃなく理念を追い、信念を曲げずにその期間を過ごせたことで、今の東京ITスクールの土台が出来上がったのだと確信しています。
技術だけを教える研修にはしたくない
スキルはスタンスの上に乗るものだと思っています。ただの無機質な技術研修なら私たちでなくても出来ます。
エンジニアである前に、人としてどうなのか。ビジネスマンとしてどうなのか。を大切にしてきました。
「エンジニアでしか活きない人だ」ではなく、「何をやらせても成功する人だ」とリスペクトして貰えるよう土台作り、スタンス作りにこだわってきました。
私たちの新人研修は、新人を育てていません
「未来のPM」を育成したいと思って教育をしています。システム開発において、プロジェクトが成功するか否かは、プロジェクトマネージャーの力量で決まると思います。
「技術もあって、人間性もあって、人を大事にする」そういうPMが将来増えると、業界に希望を見いだせず去っていくエンジニアが、減っていくかも知れない。と思い「新人研修だけど、未来のPMを育てる」そういう想いで新人研修を実施しています。
細かい所ですが受講生に、「講師」ではなく「サポーター」と呼んで貰っているのも、将来のPMとして自立してもらいたいという想いからです。
文系でも活躍できる業界にしたい
私たちが研修に携わる前までは、新人研修といえば「C言語が基本。情報系の学生向けが基本」の研修でした。ただ、文系出身者でも、もっともっと活躍できる業界にしたかったので、研修に補助階段を作りつつ、基礎教育だけではなく現場で使う技術は、研修期間中に習得して貰おうと設計しています。
何よりもITを好きになって貰いたい、仕事を好きになって貰いたい。好きになればやらされなくても自分達で主体的に取り組み成果が上がる。研修期間中に如何に楽しい!と感じてくれるか。
これも私たちが、今後も大切にしていかなければ、ならない部分だと認識しております。
私たちのやりがい
今まで色々な受講生と向き合ってきました。引きこもり、いきなり大声を発する方、IT企業に就職したのに自分はエンジニアをやりたくないと言う方…。正直、講師の人数を増やすと、こんなに安く研修を提供できなくなるので、ギリギリの人数で運営している中でこういう問題が起きると、本当に現場はしんどいです。
ただ、我々は絶対見捨てません。こういう方々が変わっていく瞬間に立ち会え、現場で活躍している声を聴けるからです。
お金目的で教育事業をしていたら、ハッキリ言ってとっくに辞めてます。一人でも多くの受講生が希望をもって卒業し業界で活躍してくれることが私たちのやりがいであり、願いです。
最近、卒業生がPMや部長に昇格したり、企業担当者となって成果発表会に参加してくれる機会が増えました。本当に頼もしいし、何よりも続けていて良かったなと思える瞬間です。
それらを実現するために
実は新卒で毎年採用する40名前後の学生の、6割は教育学部出身者か、塾講師経験者です。
人財育成は一筋縄では上手くいきません。こういう教育に熱い想いをもった社員がいてこそ成り立っています。
実は、たまに社内では営業と運営側が対立することがあります。お客様を思って発言し熱くなるのがきっかけです。
毎回、客観的な立場で見ていますが、本当に素晴らしい事だと感じています。
最後に
実は東京ITスクールのメンバーは凄いこだわりをもって仕事をしています。例えば教科書ひとつ作るにしても、重すぎると持ち運べない、だから軽い紙を使おう。ただメモ書きをしたいだろうから書きやすい紙がいい。
でも、あまり良い紙を使うと原価が上がり、教科書費用が高くなってしまうから、お客様に負担がかかる。だから、この紙にしよう。そんな会話が日々行われています。
至らない点も沢山ありますが、何処までも受講生、顧客のために見えない所で頑張っています。ただ、アピールが下手すぎて、何も想いが伝わっていないのが現状です。当事者は当たり前のこと過ぎて、そもそも伝えることなのか?とも思っています。
今回このように想いを伝える機会を頂きましたので、私たちの教育、人財育成に対する情熱を少しでも感じて頂けたら嬉しいです。