講師インタビュー
小川 太一さん

小川 太一さん

図を使ったオリジナルの講義を開発し、夢だったIT講師で、大人気に

小川太一さんは、いくつもの研修会社で引っ張りだこのフリーランス講師。アニメーション等さまざまな工夫をこらしたオリジナルの講義が特徴で、受講生たちから「わかりやすい」と圧倒的な支持を得ています。

最近は講義で使用している図が評価され、コンテンツ制作の仕事も舞い込むようになりました。このように大活躍の小川さんは、まだ26歳。なぜこのような幅広く活躍できる人気講師になれたのか伺いました。

お客さまから「ありがとう」と言われたくて講師を目指す

フリーランスの講師だと伺っていますが、まずは具体的な仕事の内容を教えてください。

東京ITスクールでの講義の中心は新入社員向けのJava研修ですが、その他、IT企業への就職を目指す学生や社会人用の研修、HTML、CSS、ネットワークやサーバーなどインフラ系の研修を担当することもあります。私は専門学校でネットワークを専攻していたので、個人的にはネットワーク系が好きだし得意ですね。

最近は教材コンテンツの制作もやらせていただいています。自分が制作した教材で研修を行うのはやりやすいのはもちろんですが、なによりもうれしいですね。最高の気分です。他の教育会社さんとのお仕事も含めて、4月から9月くらいまでが研修、10月から3月までがコンテンツ開発というのが1年間のローテーションですね。

そもそも講師を目指した理由を教えてください。

高校生になったばかりの頃まではプログラマーを目指していました。きっかけは実家にあったパソコンの射的ゲーム。3歳くらいのときにそれでよく遊んでいたのですが、的に当たると「すごいね」とかレスポンスがすぐ返ってくる。コンピュータとのコミュニケーションが面白く、次第にITに興味を持つようになったのです。

講師になりたいと思うようになったのは、高校生のときのアルバイトが影響しています。バイト先はスーパーの青果コーナーだったのですが「昨日のスイカ、すごくおいしかったよ。ありがとう」と感謝してくださるお客さんがたくさんいました。お礼をいわれることがとてもうれしかった。このとき、プログラマーではお客さまから「ありがとう」と感謝される機会はあまりないかもしれないと思いました。「IT業界で、人から『ありがとう』と言われる仕事って、なんだろう」と考えた結果、浮かんだのが講師だったのです。

IT業界で人にありがとうと言われる仕事を考えたときに浮かんだのが講師でした

実際にIT講師になるまでの経緯を教えてください。

講師の仕事があるIT企業を探して就職しました。すぐに講師になりたくて、確か入社1~2カ月目くらいに「講師にしてくれ」と人事部に直談判に行きました。今、考えれば無茶な主張です。「さすがに、それは無理だよ。1年くらいはがんばろうよ」となだめられました(笑)。そこでいわれた通り新人研修を受け、社内の勤怠管理システムや学習管理システムの開発などに携わっていました。

講師になられたのはいつだったのでしょう?

入社2年目です。晴れて講師になったのですが、その会社では講師の育成システムなどは特になく、先輩社員を見て盗めという感じでした。当時、社内に講師四天王みたいな人たちがいて、研修を見学したり教え方を習ったりしていました。

四天王の一人は、とにかく楽しんで教えていました。自分が楽しまなければ受講生が楽しいわけがないというのがモットーでした。そして二人目は相手がなにを望んでいるのか、常に考えながら教育する人、三人目は非常にロジカルな教え方、四人目はITスキルがめちゃくちゃ高い人でした。

そうして分かったのは、どの講師の教え方も自分には合わないということでした。私は口で説明することがとにかく下手で、先輩講師たちの真似をしても伝わるはずがなかったからです。

なるほど。どのように改善したのでしょうか?

ちょうどその頃、私が受け持った研修で「さっぱり分からないから講師を変えてくれ」とクレームが入りました。どうすればいいのか分からなかったのですが、とにかく講師は辞めたくない。私はこういうつもりでしゃべっているんだと、ホワイトボードに私が頭の中でイメージしている内容を図にして書いたのです。すると、受講生に教えたい内容が届いたんです。

このとき、私に適した教育スタイルは言葉じゃなくて図なんだと気づきました。講師になって1年目。その間、苦しくて悲しくて何度も泣きました。講師になって2年目には、ある企業の研修の講師アンケートで1番に選ばれました。やっと報われたと思いました。

私に適した教育スタイルは言葉ではなく図で教えることだと気づきました

自分の可能性を信じて独立

入社5年目にして独立した理由は何だったのでしょう?

仕事は会社が取ってきてくれるし、給与計算や税金の計算もやってくれる。与えられた仕事だけやっていることに飽き足らなくなってきたからです。当時は、確か24歳。20代前半のうちに自分の可能性を信じて、すべて自分でやってみたいと思ったのです。

システムシェアードで講師をするようになったのは、どうしてですか?

取引先を増やそうと、システムムシェアードの講師募集に応募したのです。それで講師のお手伝いをはじめたのですが、ある研修で「シェアードさんの資料が少し物足りないな」と思い、捕足として自分でオリジナルの資料を作って使っていました。

すると、担当者の方から「余った資料があったらほしい」といわれたので差し上げました。それをきっかけにコンテンツ作りのお話に広がりました。サラリーマンとして講師をやっていれば、こういう展開は訪れなかったかもしれません。税金などについても、実際勉強してみるとものすごく面白いですね。独立したら結構な額の税金が発生するので、今は節税に燃えています(笑)。

システムシェアードだからこその、安心できるサポートのようなものはありましたか?

助かったのは、新人研修の前に企業さんが求めている人材像をきちんと伝えてくれたことです。たとえば、ある会社は「ITに関する話は触りだけでいいから人間性を育成して欲しい」と考えていますが、別の会社は「ヒューマンなところは不要だから、とにかくITスキルを教えてください」といった具合に、同じ研修でも、会社によって求める目的は違います。

こうした個別のニーズが分からないまま研修をしても中途半端なものになってしまいます。システムシェアードの場合は、各企業が求める教育の情報をしっかり伝えてくれるのでブレなくてすみます。さらに、会社の担当者と直接お会いできる。これは、講師として非常にありがたいですね。

各企業が求める教育の情報をしっかり伝えてくれるので助かります

講師のやりがいは、どんなところに感じますか?

やはり「ありがとう」と言われるのがうれしいですね。研修を依頼してきた会社の担当者、受講生などに随分といっていただきました。なかでもうれしいたのは「小川さんのおかげでここから先、進むべき道が分かりました」「ITの楽しさが分かりました」といった、一種の道しるべになれたと感じたときですね。IT業界には右も左も分からず入ってくる人も少なくありません。そうした人たちの不安を解消してあげられたと思ったときには、本当にうれしいですね。

どんな心構えで講義に臨んでいますか?

常に最高の教育を提供したいと考えています。新人の頃よりは短くなりましたが、今でも研修の前日の準備に1~2時間はかけています。よく知っていることだからいいやと妥協はしません。1年前より、わかりやすい講義になっていなくてはいけないと考えているからです。

最後に、これから講師をやろうとしている人に一言お願いいたします

同じ道を志してくれること嬉しく思います。参考までに、私が講師として意識していることをお伝えできればと思います。講師に必要な能力は「知識」と「伝え方」と「想い」の3つだと思っています。

1つめの「知識」はいい換えると「伝える内容を自分自身が納得、理解しているか」ということです。「知識」を蓄えることでその技術のメリットや使いどころを伝えやすくなります。

2つめの「伝え方」は「どのように相手に届けるか」です。私はPREP法と例え話と図を使った説明が得意なのですが、これは実際に講義を経験していくうちに身につくと思います。まずは「ガニェの9教授事象」に沿って伝えてみてはいかがでしょうか?

3つめの「想い」は受講生にどうなって欲しいかを考えることです。1カ月の研修であれば1カ月後にどうなって欲しいかのゴールをイメージすることで、それが原動力になります。

講師はとてもやりがいのある職業です。最悪、上手く伝えられなくても3つめの「想い」があればしっかり相手には届きます。自分の「想い」を大切にしてください。

インタビュー・文/竹内 三保子
撮影/小堀 将生

上手く伝えられなくても「想い」があればしっかり相手には届きます
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