オンライン研修でのグループワーク、効果的な実施のポイント
公開日:2024年05⽉24⽇最終更新日:2024年05⽉24⽇
オンライン研修でのグループワークは、ただ単に参加者同士が一緒に取り組むだけではなく、効果的に実施することで深い学びと良好な人間関係の構築が期待できる取り組みです。
しかし、適切な進行方法や参加者の準備が不十分だと、その効果は半減してしまう可能性もあります。
この記事では、
①グループワークの目的とメリット
②参加者の事前準備とモチベーション向上のための施策
③効果的な進行方法とファシリテーション
この3つについて詳しく解説し、オンライン研修でのグループワークを効果的に運用するための具体的な知識を身につけることができます。教育担当者の方、経営者の方のご参考になれば幸いです。
グループワークの目的とメリット
グループワークは、参加者が共同作業を通じて互いに学び、スキルアップを図るための手段として大変有効です。
具体的には、
- チームビルディングの促進
- コミュニケーション能力の向上
- 実践を通じたスキルアップ
といった効果が期待できます。以下にひとつずつ解説します。
チームビルディングの促進
チームビルディングの促進は、グループワークの重要なテーマのひとつです。ランダムに組まれたメンバーが一つのチームとして共通の目標に向かって協働するためのスキルを高めます。
異なるスキルや得意・不得意を持つメンバーが互いの強みを活かし、理解し合う機会を提供します。これは、共に働く者同士が互いに敬意を持ち、信頼関係を築く上で貴重な学びになります。
コミュニケーション能力の向上
仕事をする上では、自分の意見や感想を表現する際のコミュニケーションスキルが欠かせません。特に、メッセージの鮮明さ、論理的な説明力、丁寧なリスニングといったことが求められる場面も多々ありますよね。
これらのスキルを高めるには、討論やプレゼンテーション、シミュレーションゲームなど、自発的な意見表現や他者への理解を促すワークが有効です。
また、参加者同士での建設的なフィードバックや意見交換を通じて、各々が自身の強みと改善点を理解でき、具体的な改善策を立てることでより成長につながります。
実践を通じたスキルアップ
具体的な実務状況を模したタスクや課題を通じて、新たな知識を得るだけでなく、その知識をいかに実用的に活用するかといった力も鍛えられます。
他の参加者と共同で作業を進めることにより、コラボレーションや問題解決、リーダーシップといった一般的なビジネススキルの向上にも寄与します。
さらに、グループワークの過程で自身の強みや課題を見つめ直す機会も得られるため、自己理解という観点からも有益です。そのため、具体的な実践の場を提供することは、オンライン研修をより有意義で効果的なものにするポイントと言えるでしょう。
参加者の事前準備とモチベーション向上のための施策
オンライン研修のグループワークでは、参加者が安心して臨むための事前準備と、モチベーションを高めるための試みがあることで効果が大きく変わります。
目標設定と期待値の明示
個々の参加者が何を達成するために参加しているのか理解し、グループワークを通じて何を学び、どう成長してほしいのかを明確に示しましょう。「何のために行うか」がはっきりしていることで、参加者のモチベーションが向上し、積極的な参加意欲を引き出すことができます。
事前に目的や期待値が明示されていることで、ワークの中でも参加者一人ひとりが自分がどのような貢献をすべきか、また自分達のグループが何を達成すればよいかを判断する助けになります。
これにより、個々のタスクに対する取り組み方だけでなく、全体の進行と結果に対する考え方や視点も明確になります。
オンラインツールの共有、環境構築
オンライングループワークの成功には、適切なツールの共有と環境構築が不可欠です。まずは、使用するオンラインツールを全参加者に共有し、その操作方法を明確にすることが大切です。
Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなど、使いやすさや機能性を考慮してツールを選びましょう。次に、インターネット接続やオーディオ、ビデオ設定など、研修をスムーズに進行するための環境構築を行います。
参加者が各自で受講環境を整えられるよう、事前に詳細なガイドラインを配布することもおすすめです。
これらのステップを丁寧に行うことで、技術的な障害による研修の遅延や中断を防ぎ、参加者全員がグループワークに集中できる環境を整えることができるでしょう。
講師と参加者の事前交流
オンライン研修では、参加者と講師の事前交流も重要なステップとなります。他者とのオンラインでのコミュニケーションに慣れていないと、受講を不安に感じる参加者も多いでしょう。
講師が事前にコミュニケーションをとることで、参加者が安心感を得られるだけでなく、講師側も参加者の事前知識やスキルレベルを把握する機会になります。
また、講師は事前交流を通じて参加者の関心事や課題を理解し、それを研修の内容や進行に反映することが可能となります。具体的には、個別のオンライン面談や、メールでの質疑応答、参加者同士のディスカッションを促すためのオンライン掲示板の活用などが考えられます。
研修が始まる前から参加者の学びの意欲を高められるので、是非積極的に実施したいですね。
効果的な進行方法とファシリテーション
オンライン研修のグループワークを効果的に進めるには、
- 適切なタイムマネジメント
- グループダイナミクスの理解
- 必要に応じたサポートと介入
この3つを押さえておくとよいでしょう。以下に順番に解説します。
適切なタイムマネジメント
ワーク中のタイムマネジメントにおいては、全体の流れや各アクティビティの所要時間を明確にしておく必要があります。事前の準備やリハーサルが役立つでしょう。
次に、進行中にも時間を意識し、延長や時間超過を防ぐ工夫が必要です。例えば、タイムキーパーを任命する、アラームやタイマーを活用するなどの方法が考えられます。
グループワークでは自由な議論の時間も大切ですが、適切に時間を区切り、制限時間の中で目的に沿った議論ができるようにすることも大切です。
グループダイナミクスの理解
グループダイナミクスとは、グループ内で発生する互動パターン、影響関係、意思決定プロセスの各要素の総称です。適切に理解・対応することで、意見の衝突を適切に調整し、生産的な議論を促します。
特に、リーダーシップの役割、意思決定プロセス、対立と協調のバランスは重要な要素です。これらを適切に管理することで、グループ全体の学習効果と満足度を向上させることが可能となります。
必要に応じたサポートと介入
ファシリテーターとして、適切なタイミングでサポートと介入を行うことも重要です。これによりグループワークの進行はスムーズになり、めまぐるしく変わる状況にも臨機応変に対応できます。
介入のタイミングは、参加者が話し合いに詰まった時や、話題が本筋から外れてしまった時などの場面が考えられます。具体的なアドバイスや質問を用いて、参加者たちの意見や考え方を引き出せるとよいですね。
しかしながらあくまで考えるのは参加者それぞれなので、サポートは必要な分にとどめ、介入しすぎることは控えましょう。
問題解決型グループワークの活用
問題解決型のグループワークは、具体的な問題を共同で解決するための活動で、参加者の思考力や協働スキルを高める効果があります。
一般的なグループワークと異なり、問題解決型のアクティビティは、具体的な課題に対する解答を見つけることを目指します。これには、ケーススタディやブレインストーミングなどの手法が活用されます。
ケーススタディの活用法
ケーススタディは問題解決型グループワークの中でも特に効果的な手法で、参加者が具体的な事例を通じて問題解決のスキルを磨くことができます。
具体的な事例を用いることで、抽象的な理論だけでなく現場での経験を共有し、理解を深めることができます。また、事例を使うことで、参加者間での認識のズレを最小限に抑え、フェアな議論を進めることが可能となります。
具体的な事例を参加者全員で共有することで、理論だけでなく実践的な知識も得ることができます。
ブレインストーミングの効果
ブレインストーミングは新しいアイディアを引き出し、創造性を促進する非常に効果的な手法です。この手法は、多くの異なる視点から問題を探索し、すべてのメンバーが自由に意見を出せる安全な環境を提供します。これにより、単体では見逃すかもしれない新たな視点や解決策が見つかることもあります。
また、ブレインストーミングは参加者のコミュニケーション能力を鍛えるための良い場でもあります。他の人の意見を尊重し、自身のアイディアを明確に表現することは、コミュニケーション能力を向上させ、結果的にはチーム全体のパフォーマンスを高めることにつながるのです。
ただし、ブレインストーミングを効果的に行うには、適切な準備と流れが求められます。具体的な問題を設定し、明確な目標を設け、また全ての意見が平等に尊重されるルールを設けるなどの工夫が必要です。
ファシリテーターの役割
ファシリテーターはグループワークの「進行役」であり、その役割は極めて重要です。彼らの主な役割は、ミーティングや議論が円滑に進行することを確保することです。
彼らは参加者の間での意見の対立や誤解を適切に管理し、全員が意見を述べ、理解し、共有するのを助けます。また、ファシリテーターはタイムキーパーとしての役割も担い、グループが焦点を失わずにタスクを時間内に終えることができるようにします。
さらに、適切な問題解決方法を提供し、ブレインストーミングセッションを通じて新しいアイデアを引き出すのも彼らの役割です。結局のところ、ファシリテーターはチームの成果を最大化し、全員が活動に積極的に参加できる環境を作り出すことが求められます。
研修後のフォローアップ
オンライン研修の後のフォローアップは、学びを定着させ成果を最大限に引き出すために不可欠なものです。研修の内容を振り返り学んだことを具体的な行動に繋げることで、一時的な知識獲得から持続的な能力向上につながります。
フィードバックの収集と分析
研修後のフィードバック収集と分析は、実践の成果を確認し、改善を促す有効な手段です。フィードバックは、参加者自身の反省・振り返りと共に、他のメンバーや講師からの評価も取り入れるべきです。
具体的には、参加者の振る舞い、コミュニケーションスキル、解決策の提案力等を評価項目として設定します。評価は、数値化することで客観的に比較・分析しやすくなります。これにより、個々の成長、チーム全体の課題、次回の研修計画等のデータベースを作ることができます。
期末の評価だけでなく、途中評価も行い、必要に応じてカリキュラム等の修正・調整に活用することも重要です。
学びの定着と応用
オンライン研修の学びは、すぐに忘れてしまうことが少なくありません。しかし、定着と応用のポイントを押さえて活動することで、受けた研修が実務に生かせるスキルへと変わります。
まず、学びを定着させるためには反復が重要です。研修終了後も自分の学んだ内容を復習し、それを定期的に繰り返すことで記憶が深化します。また、学んだことを自分の言葉で説明してみる、他の人に教えるなどすると理解が深まります。
応用力を身につけるためには、日々の業務にどう結びつけるかを常に考えることが大事。具体的な課題や問題に対して、学んだ知識やスキルをどう活用できるかを考えると、一層スキルが定着します。
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SESで現場PG、SEとして活躍後、受託開発のPMとして多数の開発プロジェクトを経験。
主に金融系案件を担当。
現在はこれまでの経験を活かして東京ITスクールのカリキュラムや教材開発業務に従事。
趣味はサイクリング。