生産性向上のコツは?ポイントや具体的な施策を紹介
公開日:2024年01⽉30⽇最終更新日:2024年03⽉05⽇
生産性を向上させることは、少ない人員・手間で大きな利を得るために避けては通れないことです。
しかし、さまざまな施策を実施して生産性向上に取り組んでいる企業のなかには、思うような成果が出なかったり、コストが嵩んでしまったりしているところが少なくありません。
あるいは、現場では生産性を向上させたいと思っていても、上層部が頑なに首を縦に振らない企業もあるでしょう。
この記事では、生産性を向上させるメリットや具体的な5つの施策を紹介します。
生産性を向上させてビジネスをさらに成長・発展させたいと考えている人は、参考にしてみてください。
生産性向上とは少ない投資で大きな利を得ること
生産性向上の必要性が叫ばれて久しいですが、具体的に何を実現すれば「生産性を向上させた」といえるかはっきり理解できていない人もいるかもしれません。
生産性向上を実現するには、その意味を的確に把握する必要があります。
生産性向上とは、わかりやすくいえば「少ない投資で大きな利を得ること」です。費用や時間、工数といったコストをできるだけかけずに、大きな成果・利益を上げることこそが生産性向上の本質といえます。
生産性向上に取り組む際は、単に業務を効率化したり、コストカットをしたりするのではなく、最終的に少ない投資で大きな利を得られるかをきちんと考えて取り組むことが重要です。
生産性を向上させるメリット
生産性を向上させると、次のようなメリットがあります。
・少ない人手で従来と同じ量の業務が継続できる
・働く人の満足度が向上する
・顧客満足度が向上する
・コストの削減につながる
これから日本は少子高齢化が一段と進むため、労働人口の減少が避けられません。そのなかで国際競争力や豊かな暮らしを維持するには、生産性を向上させて少ない人手で今までと同じ量・レベルの業務をこなす必要があります。
業務の無理・無駄・ムラを省くなどして生産性を向上させることは、働く人のみならず顧客の満足度向上にも効果的です。
少ない労力で質の高い業務がこなせるようになれば、働く人は今以上に働きやすくなるでしょう。質の高いサービス・製品を提供できれば、顧客の満足度も向上します。
生産性向上には大きなメリットがあるため、できるだけ早期に取り組みを進めることをおすすめします。
生産性の種類
生産性には2種類あります。生産性向上を実現するにはそれぞれの特徴を知ったうえで、適切な目標を設定することが重要です。
物的労働生産性
物的労働生産性は、働く人1人あたりが生み出す製品の個数で生産性を測るもので、以下の簡単な計算式で求められます。
物的労働生産性=生産量や販売額÷労働量
たとえば、6時間で8個の製品を製造した場合の物的労働生産性は8÷6=約1.3個です。
物的労働生産性は、主に製造業などの生産性を把握するのに用いられます。
付加価値労働生産性
付加価値労働生産性は、働く人1人あたりが生み出した粗利の額で生産性を測るものです。以下の計算式を用いて求めます。
付加価値労働生産性 = 付加価値額 ÷ 労働量
付加価値額=製品やサービスの販売額・売り上げ-製品やサービスを提供するのにかかったコスト
仮に8時間働いて2000円売り上げ、経費で200円支払った場合は
付加価値額:2000-200=1800円
付加価値労働生産性:1800÷8=225円
となります。
生産性向上を図る際の5つのポイント
生産性向上を図る際は、次の5つのことを意識しましょう。闇雲にアイデアを出して実行に移しても、生産性は向上しません。
速やかに生産性を向上させるには、確かな効果のある施策を着実に実行していくことが重要です。
具体的な数字で目標を定める
生産性を向上させたいなら、具体的な目標を定めましょう。
「今よりもコストカットする」
「工数を減らす」
といった曖昧な目標では、どこをどのように改善すればよいのかわかりにくく、的外れな施策を行ってしまうおそれがあります。
目標を定めるときは、必ず具体的な数字で表しましょう。
「前年比10%のコストカットを実現する」
「1個製造するのにかかる時間を現在の2分の1にする」
など、具体的な数字で目標を設定すると、何をすればよいのかが見えてきます。
可能なら、いつから改善に着手するか・いつまでに結果を出すかも決めておきましょう。
期限を決めずに生産性向上に取り組むと、いつまで経っても結果が出ないままズルズルと間違った施策を行ってしまうことがあります。
生産性向上に取り組む際は、いつからいつまで施策を実施し、いつまでに結果が出なかったらどうするかまで考えるとよいでしょう。
積極的にPDCAサイクルを回す
生産性を向上させるには、積極的にPDCAサイクルを回すことも重要です。
PDCAサイクルとは
P:Plan(計画)
D:Do(行動)
C:Check(評価)
A:Action(改善)
を繰り返しながら、物事の質を高めていくことをいいます。
生産性向上のための施策を計画し実行に移したら、必ず評価・分析を行いましょう。やりっぱなしでは、本当に効果がある施策だったのかわかりません。
何をしたら、どの程度効果があり、どのような結果になったのかを多面的に評価・分析し、改善点があれば次の施策につなげていってください。
実行する施策が間違っていることはよくあることです。最初から適切な施策を実施できることはそう多くありません。トライ&エラーを繰り返しながら、少しずつでも改善し続けることが、確実な生産性向上のカギとなります。
マルチタスクの量を減らす
現在は、ありとあらゆる業務をマルチにこなせる人材が重用されています。しかし、生産性を向上させたいなら、マルチタスクの量を減らすことも重要です。
コストを削減するためには、人員を減らして1人の人材がこなす業務の種類や量を増やすのが手っ取り早いのは言うまでもありません。
無理なくできる量のマルチタスクなら問題ありませんが、キャパシティを超えるマルチタスクは生産性を著しく下げてしまうので注意しましょう。
というのも、過度なマルチタスクを強いられると、肉体的にも精神的にも大きなストレスがかかります。大きなストレスにさらされると人は注意力が散漫になりミスを起こしやすくなるため、業務の質が下がってしまうのです。
過度なマルチタスクによってストレスにさらされ続けると、当然退職する人も出てきます。
結果として人手が不足して、日常業務が回らなくなることもあるので、マルチタスクはできるだけ減らすことを心がけましょう。
長時間労働を減らす
日本では未だに長時間働くのが是とされていますが、生産性を向上させるには長時間労働を減らすのが肝心です。
とにかく生産性を向上させたいからと、従業員に長時間労働やサービス残業などを強いる企業はまだまだ少なくありません。
しかし、長時間働けば人は必ず疲弊します。疲弊すれば、退職してしまうのも時間の問題です。
だからといって、業務量はそのままに書面上だけで長時間労働を減らしても意味はありません。業務量を変えずに労働時間だけ減らせば、時間内に完了できなかった業務を持ち帰ってこなしたり、サービス残業で完了させることが当たり前になります。
それでは長時間労働しているのと変わりません。
長時間労働を減らすと決めたなら、残業や持ち帰りで業務をする必要がないよう、業務量の調整も同時に行いましょう。
必要な投資はきちんと行う
生産性を向上させるには、それなりにコストがかかります。「できるだけ費用をかけずに生産性を向上させたい」というのが経営者の本音かもしれませんが、必要な投資はきちんと行いましょう。
なんでも削減すれば生産性が向上すると思っているなら、それは間違いです。
コスト削減のために人件費をカットする企業もありますが、闇雲に人件費をカットしても生産性が向上するわけではありません。
コストカットのすべてが悪いわけではありませんが、少しでも生産性を向上させたいなら必要なところには積極的に投資し、メリハリを持たせるようにしましょう。
生産性向上に役立つ5つの施策
ここからは、生産性向上に役立つ5つの施策を紹介します。
業務を効率化する
生産性向上には業務効率化が必要不可欠です。日々の業務に埋もれている無理・無駄・ムラを探し出し、積極的に改善していきましょう。
業務を効率化するには、業務効率化ツールやシステムを導入するのもおすすめです。
業務効率化についてはこちらの記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
従業員のモチベーションを向上させる
生産性を向上させるには、働く人のモチベーションを上げることも重要です。働く人がもっと貢献したい・ここで働き続けたいと思えるような仕組み・環境を作りましょう。
具体的には
・公正かつ客観的な人事評価制度を整える
・職場の風通しをよくして、コミュニケーションを活性化させる
・従業員が自ら考え行動できる環境を整える
などです。
従業員のモチベーションが向上し、職場に対する愛着が湧いてくれば、生産性はおのずと向上します。
どのような職場ならもっと働きたい・働きやすいかを考え、変えるべきところは柔軟に変えていきましょう。
業務マニュアルを作成する
業務マニュアルを作成するのも、生産性向上に効果的です。業務マニュアルがなく、口頭で説明するだけだったり、見て覚えさせたりするところもありますが、それでは業務を担当する人によって質や所要時間にバラつきが出やすくなります。
しかし、業務マニュアルを作成すれば、マニュアル通りに行うことで誰でも同じ品質で、スムーズに業務がこなせるようになるでしょう。
マニュアル作成は、知識の属人化を防ぐのにも役立ちます。
特定の人でないとわからない・解決できないことがあると、その人がいない間は業務がストップしてしまいます。
働く人が同じ知識を共有できる仕組みを整えることは、無駄な待機時間を減らすのにも効果的です。
適切に人員を配置する
業務ごとに適性や求める人材は異なります。その業務に適した人材を適切に配置することも、生産性向上に欠かせません。
細かい作業が苦手な人を、細かい作業が続く業務に配置すれば、質が落ちるだけでなくかかる時間も大幅に増えてしまうでしょう。
生産性を向上させるには、働く人一人ひとりの特性や適性を見極め、本人の希望も踏まえながら適切に配置することが重要です。
外注や自動化ツールを活用する
最近は、さまざまなツールやサービスが展開されています。生産性向上を考えるなら、ぜひ積極的に活用しましょう。
たとえば、勤怠管理システムやペーパーレス化ツールなどを使えば、より効率的に勤怠管理・書類管理が行なえます。
もし人手不足で業務を担える人材がいないなら、外注を検討するのもよいでしょう。単純な事務処理などを外部に委託すれば、従業員のリソースにゆとりが生まれるため、本来注力すべき業務に集中しやすくなります。
生産性向上に役立つITツールのスキルを学ぶには
生産性向上に役立つ施策を紹介しましたが、最も早く効果が表れやすいのが業務効率化ツールの導入です。しかし、なかにはきちんと使いこなせるか不安に思っている人もいるでしょう。
そのような人におすすめしたいのが東京ITスクールの『ITツールを活用し生産性を向上させることが出来る人材を育成する研修パッケージ』です。
こちらの研修パッケージでは、ChatGPTやSlack、Zoomといったビジネスで広く活用されているツールの基本的なスキルが身につけられます。
業務改善に必要なITリテラシーも含めて学べるまたとない機会ですので、興味を持たれた方はぜひ受講をご検討ください。
生産性を向上させてビジネスをさらに成長させよう!
生産性の向上は、事業を成長・発展に必要不可欠です。生産性を向上させたいなら、まずは日々の業務を見直すことからはじめてみましょう。
日々の業務に埋もれている改善点を洗い出し、具体的な目標を定めてさまざまな施策を行っていくことが重要です。
とはいっても、何から手を付ければよいかわからない人もいるでしょう。
そのような場合は、業務効率化や従業員のモチベーション向上、業務マニュアルの作成、ITツールの導入などから始めるのがおすすめです。
生産性向上に役立つITツールについて学ぶなら、ぜひ東京ITスクールの『ITツールを活用し生産性を向上させることが出来る人材を育成する研修パッケージ』を活用してみてください。
東京ITスクールではこのほかにも様々な研修・講座を実施しております。カスタマイズ等も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
関連記事
現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。