【研修の目標設定】社員が学びたいことをどう把握して反映させるか
公開日:2024年06⽉14⽇最終更新日:2024年06⽉14⽇
研修に際して、社員はどのような期待感を持って臨んでいるのでしょうか。社員が学びたいことを理解できれば、それを研修の内容や目標に反映させてより万読度の高い研修が企画できるでしょう。
この記事では、研修に社員が学びたいことをどう生かすかについて解説します。以下の点を深堀していきます。
・社員が学びたいことの把握
・学びたいことの優先順位付け
・研修プログラムへの反映方法
研修の企画担当者の方はご一読ください。
社員が学びたいことの把握
まず、社員が学びたいことを把握する方法について解説します。以下の方法があります。
・社員の声を直接聞く方法
・アンケートやフィードバック集計
・ワークショップで意見交流
・面談の活用
・日常業務の観察と分析
・業績目標との関連付け
・社員のキャリアプランを確認
順に見ていきましょう。
社員の声を直接聞く方法
社員の声を直接聞く方法として、特定のテーマに焦点を当てた集会やミーティングを実施することが有効です。
たとえば月に一度の「学習の日」を設けて、サイレントディスカッションやラウンドテーブル方式で意見交換を行うと良いでしょう。
このほかにも、ランチタイムやアフターワークのカジュアルな場で社員が自分の学びたいことやキャリア目標を話しやすい環境を作ることも有効です。
また社員同士が互いに質問を投げ掛ける「ピアインタビュー」を設けることもおすすめです。
これらの方法は直接的なフィードバックを得るのに非常に役立ちます。ただし社員の意見を自由に聞く場を提供するだけでなくそれらを適切に収集し分析するシステムを整備することも重要です。
アンケートやフィードバック集計
アンケートやフィードバック集計は、従業員の学習ニーズを効率的に把握する一つの方法です。アンケートでは、具体的な学習テーマや必要なスキル、学習の形態や時間帯の希望など、具体的な情報を直接収集できます。フィードバック集計では、従業員が日常業務で経験する課題や不満を具体的に把握することが可能です。
これらの情報を整理・分析することで各従業員の学習ニーズを明確化し研修プログラムの改善や新たなプログラムの作成に役立てることができます。その際、アンケートの項目作成やフィードバックの集計方式には工夫が必要で、中立的な視点で分析することが重要です。
ワークショップで意見交流
ワークショップは、社員間の意見交流活動の一つとして非常に有効な手段です。一般的な会議と異なり、参加者全員がアクティブに意見を出し合うことで新たな視点やアイデアが生まれやすいのが特徴です。ワークショップを活用することで優れたアイデアや困っている課題など、普段の業務では見えにくい社員の学びたいことを把握することができます。
ワークショップは、それぞれの社員の声を直接、かつ公平に聞く良い機会となります。そのため、社員が学びたいことの把握という観点からも、ワークショップの適切な運用は重要と言えるでしょう。
面談の活用
面談は社員が学びたい内容を深堀りするための有効なツールです。直接対話を行うことで社員自身が何を学びたいのか、どの領域に興味を持っているのかを掘り下げることが可能です。また社員のキャリア観や将来の目標についても理解する機会となり、それを研修の内容に反映させることでより効果的なプログラムを作成することができます。
面談では、専門的なスキルだけでなくコミュニケーション力や問題解決能力といったソフトスキルの研修ニーズも見えてきますので、より広範な視点で社員教育に取り組むことができます。
日常業務の観察と分析
日常業務の観察と分析は、社員が学びたいことを具体的に知るための重要な手段です。
社員の日常の仕事内容を細かく観察し、その中での課題や改善点を洗い出すことで必要な学習項目を明確にします。
また分析は数字を通じて客観的な視点をもたらします。測定可能な指標を設定しその結果を分析することで何が弱点で改善が必要であるかを定量的に把握することが可能となります。
これらの観察と分析結果をもとに、具体的な研修プログラムを設計する素地となります。
業績目標との関連付け
業績目標と社員が学びたい内容の関連付けは、組織と個々の社員の成長に直結します。業績目標と学びたい内容がつながることで、社員のモチベーション向上と企業成果の向上を同時に達成する機会が生まれます。
具体的には、社員が求めるスキルが業績目標達成にどう影響を及ぼすのかを分析しそれを学習プログラムに反映します。たとえば営業部門の業績目標達成には新規顧客開拓のスキルが必要な場合、営業スキル向上の研修を実施することが考えられます。これにより社員のスキル向上と業績目標達成が両立可能となります。
社員のキャリアプランを確認
社員が学びたいことを反映する際、そのキャリアプランの確認は欠かせません。社員自身が目指すキャリアパスと、企業が進化し続けるために求めるスキルや知識は必ずしも一致しないためです。社員の個々のキャリアプランを尊重することでその学習意欲も高まります。
学びたいことの優先順位付け
次に、学びたいことを把握したら優先順位を付けていきます。以下の側面から解説します。
・緊急性と重要性の評価
・部署ごとのニーズ分析
・個人目標との整合性
・組織全体の成長目標との一致
順に見ていきましょう。
緊急性と重要性の評価
緊急性と重要性の評価は、学びたい内容の優先順位付けに欠かせないステップです。一見、すべてを同時に学びたくなるかもしれませんが、限られた時間と資源を考えると全てに手を出すことは困難です。
ここでいう緊急性とは、学びたい内容が業務遂行にどれだけ必要とされているか、また早急に学ぶべきかを意味します。一方、重要性はその知識が社員個人のスキルアップや、企業の成長にどれだけ寄与するかを評価します。
この二つの要素を評価し優先順位をつけることで、効率的かつ効果的な研修プログラムを作成することが可能となります。
部署ごとのニーズ分析
部署ごとのニーズ分析は、各部署が直面する課題や目標を明確にしそれに合わせた学習内容を提供するための重要なステップです。
各部署のマネージャーとの協議を通じて、特定のスキル向上が求められるか、新たな技術の対応が必要かなど、部署特有のニーズを把握します。たとえばマーケティング部門ではデータ分析力の強化が求められるかもしれませんし開発部門では新しいプログラミング言語の習得が必要かもしれません。
このように部署ごとのニーズを深堀りすることで社員一人ひとりが抱える学習ニーズと、組織全体の目標とを最適にマッチさせることが可能となります。
個人目標との整合性
個人目標と学びたいことの整合性は、社員が働きやすい環境を作り、モチベーションを維持するために大切な要素です。社員が自身のキャリアパスを見据え、必要なスキルや知識を得ることができる研修を提供することで仕事への熱意や職場での満足度が向上します。
研修内容は社員の個々の目標に準じたものにすべきで、業績だけでなく個人の成長を重視した人材育成が求められます。
組織全体の成長目標との一致
組織全体の成長目標と社員の学習ニーズを一致させる取り組みは、全体としての生産性向上に寄与します。
具体的には、たとえば企業が新市場への参入を目指している場合、その業界に関する知識や技術の研修ニーズが高まるでしょう。一方、組織がAIやデータ分析力の向上を目指す場合、これらの分野に関する研修が必要となります。またスタートアップ企業では、新規事業開発やマーケティング力強化のための研修が重要となります。
これらの組織全体の目標とそれに関連する研修ニーズを明確にし社員一人一人の学習ニーズとリンクさせることで業績向上につながる人材育成が可能になるのです。
研修プログラムへの反映方法
最後に、研修プログラムへの反映方法について解説します。以下の方法があります。
・カスタマイズ研修の作成
・eラーニングの活用
・外部講師の招致
・実践的なプロジェクト学習
・フィードバックの定期収集
1つずつ見ていきましょう。
カスタマイズ研修の作成
カスタマイズ研修の作成は、社員一人ひとりの学習ニーズに対応した研修プログラムを作成する方法の一つです。これにより社員の個々の能力やスキルのレベル、業務の特性、さらにはキャリアの展望に合わせた学習が可能となります。
具体的には、社内のエキスパートによる教育や業務指導、外部の専門家を招いてのセミナーや、仕事に直結したプロジェクトを通じた実践的な学習などが含まれます。
カスタマイズ研修の作成は、ターゲットとなる社員の学習ニーズを正確に理解し一人ひとりに合った内容を設計することが必要です。そのためには、事前のヒアリングやアンケートを活用してニーズを把握しそれを反映したプログラムを設計することが重要です。また研修の効果を確認し必要な改善を行うためにも、研修後のフォローアップやフィードバックの収集も欠かせません。
eラーニングの活用
eラーニングの活用は研修プログラムにおいて重要な要素になります。これは、社員が自由な時間に学び、自分のペースで理解を深めることができるからです。また進行度の確認や復習も容易で、一人ひとりの理解度に応じた適切なフィードバックが可能です。
これらの理由から、eラーニングの活用は企業の研修効果を向上させる有効な手段と言えます。
外部講師の招致
外部講師の招致は、特化した知識やスキル、視点を取り入れることができる優れた方法です。業界の専門家や第一線で活躍している実務者を招くことで社員の学びに幅と深みを与えることが可能になります。
ただし外部講師を効果的に活用するためには、社員の既存のスキルレベルや学習ニーズを踏まえた上で、適切な講師を選定する必要があります。
実践的なプロジェクト学習
実践的なプロジェクト学習を研修プログラムに組み込むことで社員は自身の学びを直接職場での成果につなげることができます。たとえば社員が自身のアイデアを具現化するためのリソースを提供する方法があります。社員は新規プロジェクトを立ち上げ、自立学習を進め、その結果を組織全体で共有することで、自分自身のスキル向上だけでなく組織の成長にも寄与します。
こうした取り組みは、社員のモチベーションを高めるとともに、新たな知識やスキルの習得を促進します。また企業としても社員の具体的な成果を目の当たりにすることで、研修の効果を具体的に把握することができます。
フィードバックの定期収集
フィードバックの定期収集は研修プログラムの効果測定と改善に必要不可欠です。具体的には、研修後に社員からのフィードバックを収集しそれを分析することで研修の内容や進行方法が実際に社員の学びに繋がっているのかを確認します。
またフィードバックは一度だけでなく定期的に行うことが重要です。これにより研修の効果が時間経過と共に社員のパフォーマンスにどのように影響しているかを把握することが可能となります。
このようにフィードバックの定期収集は研修の質を維持、向上させるための重要なプロセスと言えます。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。