業界未経験者を中心に採用活動を展開するNIS。他業種からの多様な人材を受け入れるため、2カ月でエンジニアスキルを獲得できる「通年Java研修」を導入しました。「受講者からは『自分に何が必要なのかわかった』『未経験でも自信がついた』という声が多いんです」というNIS管理部・人事課の佐藤雅彦さんと柳原涼花さんに、導入の経緯と効果について伺いました。
増加する異業種未経験の新入社員を戦力に
まずは御社についてご紹介をお願いします。
佐藤様:2009年に東京で創業し、現在は大阪でも展開しています。事業は主に3つです。1つ目はSES(System Engineering Service)事業で、お客さま先でのシステム開発支援が中心です。これが当社の売上の約8割を占める主力事業となっています。
2つ目は自社製品開発で、質屋向けのPOSレジシステムを手がけています。これは当社のエンジニアが独自に開発したもので、市場規模はそれほど大きくありませんが確実な需要があります。
3つ目は規模は小さいですが、お客さまからの依頼に応じてシステムの提案から開発、納品までを行う受託開発事業です。主にWebサイトの開発などを手がけており、お客さまのニーズに合わせたカスタマイズ開発を得意としています。
御社の採用状況について教えてください。
佐藤様:新卒と中途採用がおよそ半々の割合ですが、近年は特に中途未経験者の採用に力を入れています。異業種からの転職者も多く、他業種での経験が当社に新しい風を吹き込んでくれているのを感じます。例えば、飲食業や小売業からの転職者は顧客対応のスキルが非常に高く、リーダーシップをもってチームを牽引してくれます。また、製造業からの転職者は、品質管理の観点からシステム開発にアプローチするなど、新しい視点を持ち込んでくれるのが強みです。中途採用者は、転職に対する覚悟が強く、学習意欲も高いです。新しい分野で成功したいという強い動機を持っているため、非常に熱心に技術を学んでくれます。
柳原様:一方で新卒採用ではゼロから当社の文化や方針を吸収してもらえるのが大きなメリットです。中途と新卒の一方に偏るのではなく、両者のバランスを取りながら多様性と一体感を併せ持つ組織を構築していくのが現在の採用スタンスです。

東京ITスクールの研修プログラムを導入された経緯を教えてください。
佐藤様:最初に東京ITスクールにお願いをしたのが2020年の新人社員研修でした。当時は別の会社に研修を依頼しており、技術面の育成は順調でも社会人としてのヒューマンスキルに課題が残りました。そんなときに東京ITスクールから新人社員研修のご案内をいただきました。
導入の決め手は、技術面だけでなく、ビジネスマインドの育成にも力を入れている点です。例えば「7つの習慣」をベースにしたマインドセット研修が含まれており、社会人としての基本的な心構えから問題解決の方法論まで、幅広く学べる内容となっているのが魅力でした。さらに、ビジネスマナーや名刺交換のやり方など、実務に直結するスキルも学べる点も高く評価しました。特に異業種からの転職者にとっては、これらのスキルは非常に重要です。
柳原様:実は私自身、転職組で前職は流通業で店長をしていました。名刺交換をする機会がほとんどなかったので、入社時の研修でビジネスに必要な対人スキルを学べたのは、本当によかったと実感しています。

同年末には「受託案件体験型Java研修」をご利用いただいています。こちらはどのような理由から採用していただいたのでしょうか?
佐藤様:SpringやAWSといった現場で求められるトレンド技術を擬似的に現場体験しながら習得できるプログラムの構成が魅力でした。同時期には他社からも研修のご案内はあったのですが、黙々と学習するスタイルであったため、依頼に踏み切ることはできなかったんです。その点、受託案件体験型Java研修はプロジェクトにチームメンバーとして参加する体験ができるので、即戦力に近い人材の育成ができる期待が持てましたね。
2023年1月からはさらに「通年Java研修」をご利用いただいています。どのような課題の解決を見据えてご利用いただいたのでしょう。
佐藤様:主に中途採用の技術研修として利用させていただいています。4月入社なら新卒と一緒に研修できるのですが、時期をずらして入社した社員向けの研修として導入しました。
柳原様:近年は業界未経験者の入社が増えているため、研修を充実させる必要性を強く感じていました。また、求職者側も研修体制の有無や内容を判断基準とする傾向がありますので、アピールできる材料としても非常に有効だと感じています。
現在は3種類の研修をご利用いただいております。実際に受講した社員の方の反応はいかがでしょうか。
佐藤様:「しっかりとした研修を受けられてうれしい!」という声をもらっています。講習を受ける前は技術的なレベルはバラバラなんですが、2カ月の研修が終わると全員ほぼ同じ程度のレベルまで上がってくる。自分が成長している手応えを感じられているようです。中には製作課題にオリジナルの機能を追加するといっためざましい成長を見せてくれる新入社員もいます。
柳原様:新入社員研修も好評です。自分ができないことや苦手な部分に気がつくだけでなく、なぜそれをやらなければならないのかという気づきを得られているようです。研修中は日報を提出してもらっているのですが、日に日に内容がよくなっていくのが感じられますね。
特に印象的だったのは、挨拶の重要性について学んだ社員の変化です。彼は最初「なぜ挨拶が必要なのか、挨拶はしなければならないのか」という疑問を持っていたのですが、講師の説明により目から鱗が落ちる体験をして、自分から積極的に挨拶をできるようになりました。形式や義務のための行為ではなく、コミュニケーションの基本であることを理解できたようです。
佐藤様:また研修の参加者同士で教え合うという経験ができるのも刺激になっているといいます。同時期に研修を受けている他社からの参加者とコミュニケーションを取りながら切磋琢磨する経験は、研修終了後のチームワーク構築にもプラスの影響を与えています。

変わる社内文化。長く幸せに働ける職場作りへ。
研修後の配属はどのように行っていますか?
佐藤様:研修後は、スキルの習熟度に応じて配属先を決めています。十分なスキルが身についた人材は先輩社員のもとで開発現場に入りますが、さらなるスキルアップが必要な人材は先輩が用意した課題を解く社内研修からはじめてもらいます。この社内研修は今年に入ってからはじめた取り組みです。客先に常駐せずにテレワークで対応する社員が増えてきましたので、すき間時間に後輩の指導に入ってもらっています。このような体制を作れたのはテレワークが増えてきたのもありますが、新入社員がJava研修を通じてベースとなるスキルを身につけられるようになった影響が大きいです。
研修期間中に人事として気をつけていることはありますか?
柳原様:研修期間中は私の方から積極的に連絡を取るようにしています。研修中は基本的に会社には出社しません。そのため入社したはずの会社の人とは誰にも会わずに別の会社で研修を受けているという状況になりますので、戸惑いを感じることも少なくないようです。そこで「あなたは私たちの会社の人間だから、何かあったらいつでも戻ってきていいよ」というメッセージを伝えるようにしています。
佐藤様:中には研修中に悩みを抱える社員もいます。ある新入社員は、研修中に「自分が本当に成長しているのかわからない」という不安を抱えていましたが、柳原がコミュニケーションを取っていてくれたおかげで早期にフォローすることができました。
柳原様:いずれは現場のエンジニア同士のコミュニケーションが生まれると思いますが、それまでは一番近いのは人事だと思いますので、不安を抱えたままにならないように連絡を取るようにしています。研修が終わるまでの間に会社との関係を作れないと、研修終了後に転職しますなんてことになりかねませんので、上手くフォローしていきたいですね。

東京ITスクールの研修を行うようになってから、社内に何か変化は起きましたでしょうか。
佐藤様:新入社員のベーススキルがアップしたのはもちろんなのですが、先輩社員側にもいい変化が生まれています。何か聞かれたときにしっかり答えられるように勉強する先輩エンジニアが増えました。また、以前よりも明らかに社内のコミュニケーションが活発になっています。SESという業態の特性上、一般的には社員同士の関係は希薄になりがちなのですが、異業種からの転職者が増えたおかげか仕事の後に社員同士で飲みに行くような機会が増えています。企画者が声をかけて、客先から参加する社員もいるようです。
柳原様:他にも、仕事が終わった後にエンジニアチームの先輩後輩が一緒にゲームをするようなシーンが当たり前になってきました。いろいろなカルチャーを持つ人が増えて定着するようになったのはいいですね。社内が日に日にいい雰囲気になっているのを感じます。
今後の展望についてお聞かせください。
佐藤様:若手だけでなく、全社員が定期的に学べる機会を設けたいと考えています。技術の進歩が速いIT業界では、常に新しい知識やスキルを身につける必要があります。また、ある程度同じマインドを持った仲間が集まる場所にしていかないと、組織体系がバラバラになるリスクが高まりますので、スキルとマインドの両面から学びの機会を作る必要を感じています。
当社の代表は「定年まで働ける会社を作りたい」という思いを持っています。そのためにも、長く活躍できる人材を育成するためのベースづくりが重要だと考えています。具体的には、年齢や経験に関わらずキャリアアップの機会を提供したり、働き方の柔軟性を高めたりすることで、社員が長期的なキャリアビジョンを描けるようにしたいと思います。このような取り組みを通じて、社員一人ひとりが成長を実感でき、長期的に活躍できる組織づくりを目指しています。
最後に、東京ITスクールに期待することはありますか?
佐藤様:研修の意図やカリキュラムの内容について共有していただける機会が増えると嬉しいですね。なぜこの技術を教えているのか、どのようなトレンドを踏まえてカリキュラムを組んでいるのかなど、背景にある考え方を知ることで、私たち人事側も研修の意図をより明確に理解できると思います。
本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
インタビュー・文/手塚裕之
写真/小堀将生

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