傾聴力とは?コミュニケーション上手になるために意識したい傾聴のコツ
公開日:2024年02⽉08⽇最終更新日:2024年03⽉05⽇
人とうまくコミュニケーションが取れない人の中には、いざ人と話そうとすると何を話せばよいかわからなくなってしまう人もいるでしょう。
しかし、コミュニケーションをするうえで重要なのは、自分が話すことよりも、相手の話を聞くことです。人は自分の話を聞いてくれる人に好感を抱きやすいので、傾聴スキルを身につけることで自然とコミュニケーション力が向上します。
この記事では、傾聴力がどのようなスキルか解説するとともに、コミュニケーション上手になるために意識したい傾聴のコツも解説します。
人と話すのが苦手な人は、ぜひ参考にしてみてください。
傾聴力とは?
「コミュニケーションは人の話を聞くことが大切」という話を聞いたことはありませんか?
人の話を聞くときに役立つのが「傾聴(けいちょう)」というスキルです。傾聴のスキルを身につけ、傾聴力を高めることは円滑な人間関係を築くのに役立ちます。
まずは傾聴について知ることから始めましょう。
そもそも「傾聴」とは
傾聴とは、人の話をしっかり聞いて理解することをいいます。カウンセリングやコーチングなどの場面で用いられることが多いテクニックで、相手から話や感情を引き出す際に非常に有用です。
最近、企業では傾聴スキルを持った人材を積極的に採用する傾向にあります。というのも、傾聴スキルがある人材は協調性が高く、どのようなチームに入っても円滑な人間関係を築いて、プロジェクトを成功に導く素養があるためです。
ビジネスにおいて、傾聴スキルは身につけておいて損はないスキルといえるでしょう。
傾聴の3つの種類
傾聴といっても、大きく3つのタイプに分けられます。それぞれの特徴を踏まえて、シーンに応じて使い分けることが重要です。
受動的傾聴
受動的傾聴は、相手の話を聞いて、言いたいことを受け止める傾聴です。受動的傾聴では適度に相槌を打ちますが、話の内容をジャッジしたり、相手の言い分を否定したり、アドバイスを行なったりはしません。
積極的傾聴
積極的傾聴は、相槌に加えて質問や続きを促す言葉を投げかけ、相手の話を積極的に聞こうとする傾聴です。
質問をすることで、相手は「この人はもっと自分のことを知ろうとしてくれている」と好感を持ちます。
また、質問や催促のしかたによってはより有用な情報が得られるなどのメリットもあるため、ビジネスでは積極的に活用するとよいでしょう。
反映的傾聴
反映的傾聴は、相手の言葉を繰り返しながら相槌を打つ傾聴です。相手が言った言葉をそのまま繰り返すと、相手は「自分の話を受け止めてくれた」と感じます。
「この人とならもっと話をしても安全だ」と思ってもらいやすくなるので、相手と信頼関係を築く際に役立つでしょう。
傾聴力を身につけるメリット
傾聴力を身につけると、次のようなメリットがあります。
相手と信頼関係が築きやすくなる
傾聴力を身につけると、相手と信頼関係が築きやすくなります。
人間は、自分の話を聞いてくれる人に好感を持ちやすい生き物です。誰でも自分の話を聞こうとしない人よりも、積極的に話を聞いて理解しようとしてくれる人と仲良くなりたいと思うでしょう。
傾聴力を身につけ、相手の話をよく聞くことを習慣にすれば、初対面の相手とでも信頼関係を築きやすくなります。
自己理解が深まる
人の話をよく聞くことは、自分自身を理解するのにも役立ちます。一見関係がなさそうに思えますが、人の話を聞いて深く理解することで、自分の考えとの違いに気付いたり、より良いアイデアが浮かびやすくなるためです。
傾聴力を高めると、次第に自分自身の考え方の癖や口癖などもつかめてくるでしょう。
たとえば、人の話を聞く中で「自分は人の話を否定しやすい」という癖に気付いたとします。
その癖を少しずつ直していくと、物事をよりポジティブに捉えられるようになるかもしれません。
自分の考え方の癖や口癖などがわかってくれば、それを少しずつ変えることで、物事の捉え方を変えることも不可能ではありません。
自分自身を知るためにも、傾聴力を身につけてみましょう。
安心して働ける場が作れる
職場で働く一人ひとりが傾聴力を高めると、誰もが安心して働ける職場が作れます。
傾聴力が低い人が多い職場では、自分の意見を言うことは難しいことは想像に難くありません。意見を言っても無視される・意見をいうことすら許されない職場では、どのような人でも100%のパフォーマンスを発揮して活躍することはできないでしょう。
しかし、働く人一人ひとりが傾聴力を身につけると、安心して自分の意見を言える雰囲気ができあがります。
意見を受け止めてもらえる・意見を言うことが推奨されている環境では、新しいアイデアも生まれやすく、それが新たなビジネスチャンスを生むことも珍しくありません。
安心して働ける、一人ひとりがパフォーマンスを十二分に発揮できる職場を作るために、傾聴力は欠かせないスキルです。
傾聴する際に意識すべき6つのポイント
傾聴する際は、いくつか意識したいポイントがあります。次のポイントを意識せずにただ話を聞いているだけでは、相手に聞いていることが伝わりません。
相手から話を引き出すためにも、次の6つのことを意識してみましょう。
話を聞いていることを仕草で伝える
傾聴する際は、話を聞いていることを仕草で伝えましょう。
具体的には、うなずいたり、相槌を打ったりしてください。これらは非言語のコミュニケーションといわれ、行うことで相手が話しやすくなる効果があります。
相手が悲しい話をしているときは悲しそうな表情をする、嬉しそうに話しているときはこちらも明るい表情で応じるなど、表情にも気を配るとさらに相手は話しやすくなります。
相手の話を頭ごなしに否定しない
なんとなく話しにくい・話したくないと思う人の言動を見てみると、人の話を頭ごなしに否定している人が多いことに気付くでしょう。
傾聴する際は、相手の話を頭ごなしに否定しないことも大切です。
「嘘だ」
「嫌だ」
「ダメだ」
といったネガティブな言葉を向けられると、どんな人でも嫌な気分になります。
思わず口を突いて出てしまうことが多いのがネガティブな言葉ですが、傾聴する際はぐっと飲みこんで「そうなんですね」と一度受け止めることから始めましょう。
相手の気持ちにも注意を向ける
相手の気持ちに注意を向けることも重要です。相手が今、どのような気持ちでその話をしているのか考えながら話を聞きましょう。
日本人は、欧米の人に比べると自分のプライベートなことを話したがらない傾向にあります。
相手のことをもっと知りたいからと、プライベートに土足で踏み込むようなことはせず、相手の気持ちにも気を配りながら会話をするよう心がけましょう。
積極的に質問する
質問をされると、人は「この人は自分に興味を持ってくれている」と嬉しくなるものです。ぜひ積極的に質問をしましょう。
質問をする際は、YES・NOまたはA・B・Cで簡単に答えられる質問は避けた方が無難です。こういった質問はクローズドクエスチョンと呼ばれ、相手が答えた時点で会話がストップしてしまうため会話が続きません。
質問をする際はWhat・When・Where・Why・Howなど、相手が自由に答えられるオープンクエスチョンを用いるようにしましょう。
オープンクエスチョンで質問すると、会話も広がりやすくなります。
話の核を探る
傾聴するときは、常に話の核を探るようにしましょう。話の核とは、会話の主題です。ビジネスにおける傾聴では、この主題を明確に把握・共有することが、問題解決や行動変容を促すのに欠かせません。
話の核を把握せずに会話を続けると、目的のない、無意味な会話になってしまうことがあります。
自分が「話を聞いてよかった」と思うだけでなく、相手にも「話をしてよかった」と思ってもらうためにも、常に話の核を探りながら傾聴するようにしましょう。
自分の話ばかりしない
なんとなく苦手だと感じる人の言動を観察してみると、自分の話ばかりしていることに気付いたことはありませんか?
どんな話題でも「私は」と自分の話をしはじめて、会話を乗っ取ってしまう人がいますが、それでは相手から有用な情報を得ることはできません。
傾聴する際は、自分が話すのではなく相手に話させることを意識しましょう。「話し過ぎた」「楽しく話ができた」と感じるときは、話し過ぎです。
慣れないうちは相槌と質問、相手の言葉の繰り返しに集中すると、徐々に話す・聞くのバランスが掴めるようになってきます。
傾聴力向上に役立つ3つのテクニック
ここからは、傾聴力向上に役立つ3つのテクニックを紹介します。どれもすぐに実践できるものなので、試してみてください。
相手の仕草や表情を真似る「ミラーリング」
誰もがすぐに実践しやすいテクニックが「ミラーリング」です。相手の仕草や表情を真似ることで、相手に親近感を持ってもらいやすくなります。
人は、自分と似ている人や物に対して親近感を覚えるという特性があります。
相手の仕草を真似るのはハードルが高い場合は、相手の表情を真似ることから始めてみましょう。
相手と同じテンションで話を聞くことを意識すると、ミラーリングしやすいです。
相手の言ったことを繰り返す「バックトラッキング」
相手が言ったことを繰り返す「バックトラッキング」も有効なテクニックです。
たとえば相手が「昨日、部長に怒られたんだ」と話しだしたとします。
そのとき「部長に怒られたの?それはたいへんだったね」など、相手の言ったことを繰り返すと、適切な相槌が打てるだけでなく、会話も広げやすいでしょう。
バックトラッキングには、
・事実を繰り返すもの
・感情を繰り返すもの
・相手の話を要約したもの
の3種類があります。
シーンに応じて使い分けられるようになると、さらに会話の質が高まるでしょう。
相手のペースに合わせて話をする「ペーシング」
人と話をするときは、相手のペースに合わせて話をしましょう。相手にペースを合わせることを「ペーシング」といいます。
ペーシングの際に意識することは、スピード・トーン・相槌のタイミングです。
まずは相手の話をよく聞きながら呼吸のテンポを合わせるようにすると、次第にペーシングのコツがつかめてきます。
傾聴力を鍛える方法
ここからは、傾聴力を鍛える方法を紹介しましょう。
聞き上手な人を真似る
傾聴力を鍛える最も簡単な方法は、聞き上手な人を真似ることです。
身近に「なんとなく話しやすい」「この人には余計なことまで話してしまう」という人はいませんか?そういった聞き上手な人の言動を真似ると、次第に自分も聞き上手になれるでしょう。
相槌のタイミングや仕草・表情などを観察して、真似できそうなことからはじめてみてください。
聞き上手な人を真似るのはコストがかからず手軽にできる方法ですが、そのテクニックを自分のものにするには時間がかかる点がデメリットです。
研修を受ける
身近に聞き上手な人がいない・もっと論理的に傾聴力を身につけたいと思っている人は、研修を受けるのがおすすめです。最近は、オンラインで気軽に受講できる研修も増えています。
コミュニケーション研修では、コミュニケーションスキル向上に必要な理論も学べます。
人を観察するのが苦手だったり、なぜそのテクニックが有効なのかきちんと理解したうえでスキルを身につけたい人に特におすすめです。
ただし、費用と時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。
傾聴力を身につけるのにおすすめの研修
「明日から使える傾聴テクニックを身につけたい」
「傾聴のテクニックをスキルアップ・キャリアアップに役立てたい」
という人には、東京ITスクールの『「超・傾聴力」習得講座(知識編)』がおすすめです。
こちらの講座では、傾聴のポイントや、仕事で傾聴が役立つ場面などを中心に、傾聴の知識を身につけることができます。
特に
・上司の考えを忖度するのが苦手だ
・指示の意図を理解しないまま業務を進めがちだ
という人におすすめの内容ですので、ぜひこの機会に受講してみてはいかがでしょうか。
傾聴力を身につけてコミュニケーションスキルを向上させよう!
「人の話を聞くことは大事だ」といわれることは多いものの、どうすれば人の話が聞けるようになるか・聞いていることが伝わるかわからないという人は少なくないでしょう。
そのような場合に役立つのは、傾聴のテクニックです。
東京ITスクールでは、傾聴力向上に役立つ『「超・傾聴力」習得講座(知識編)』のほかにもさまざまな研修を実施しています。
ニーズに合わせたカスタマイズ研修も承っていますので、興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。