導入の背景
- 事例にはカスタマイズされたカリキュラムが含まれる場合があります。現在の提供サービスや研修のオーダーメイドについては、お気軽にお問い合わせください。
業務効率化に対して前向きな風土はあったが、学習機会がなかった
まずはじめに、貴社が取り組んでいる社員のITスキル教育に対する考え方をお聞かせください。
半田さま:弊社では新入社員や中途入社メンバーのITリテラシー向上を目的として、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)の取得を推奨しています。
日常業務の改善や業務効率化をスムーズに進めるためには、一定水準以上のExcelスキルが欠かせません。そのため、スキル習得のサポートとして、システム部主催の勉強会を毎月定期的に開催しています。
岡野さま:会社としても、デジタルツールを使って仕事の生産性を高めよう、という姿勢は強いです。物流業界は「労働時間が長い」というイメージが定着していますが、今はワークライフバランスを重視している方が増えてきています。これからの会社を引っ張っていくメンバーを採用し、気持ちよく働いてもらうためにも、生産性の向上のためにChatGPTなどのAIツールの活用は大切だと考えています。
代表の沼尻も、デジタル技術の活用に関して積極的で、「まずは一度使ってみよう」という姿勢を示してくれます。新しいチャレンジに対してNOといわない社風がありますね。
山中さま:私の周りでも「生産性を高める」というキーワードには前向きで、施策の目的が「業務効率化だ」ということを説明すると、変化が伴ったとしても「必要な時期にきているよね」と前向きに受け入れてくれ、協力してくれる文化があります。
岡野さま:ただ、テレビやWebでそのようなAIツールに関する情報を目にしても、実際の業務に活かすためには「具体的にどこからはじめればいいのか?」といった入り口がわからない社員は多くいます。そのため、MOSの勉強会と同様に会社が学びの機会をサポートすることが必要と考え、なにかよいきっかけがないかと探していたタイミングでした。
今回の研修を半田や山中が在籍しているシステム部のメンバーに受けてもらったのも、ITの社内推進を担っているメンバーが先陣を切って学び、活用していくことで社内に浸透させていく足がかりにしたいという狙いがありました。
「この場面なら生成AIを活用できるのでは?」活用できる場面に気付けるようになった
デジタル技術の活用に意欲的な姿勢があったからこそ、今回、テックアカデミーを活用いただいたのですね。受講いただいた皆さまは、生成AIを活用して「解決したい課題」は元々お持ちだったのでしょうか。
半田さま:システム部には、ヘルプデスクの効率化を図りたいという課題がありました。社内の各部門からはシステムの基本的なことや、データやツールに関する問い合わせが集まってきます。その質問を都度確認し、担当者に回答するのですが、無視できない工数がかかっています。
そのため、生成AIを活用し、回答までにかかる調査時間の削減や、ツールに詳しくない方にも伝わりやすい文章に添削して回答できないかと考えていました。
山中さま:これはシステムに関するやりとりの例ですが、現場で作業をしている方々、我々のようなオフィスで業務をしている方々、それぞれ詳しい分野・苦手な分野は必ずあります。ですから、根本的に「どんな役割の方でもわかりやすい伝え方」が大事だと考えています。しかし、それを人が一から考えると時間がかかってしまうため、生成AIを活用できないかと思っていました。
研修を受けていただいた後、早速業務で活用された具体例はありますか?
岡野さま:先日お客さまへの提案書を作る際に、はじめの挨拶を盛り込む必要がありまして。決まった型があるわけではないので、毎回意外と時間が取られていたのですが、ChatGPTと対話を重ねながら仕上げていくことで、スムーズに作成できました。
「もっとこんなニュアンスを加えたい」「このような状況のお客さまなので、これくらい謙遜した表現にしたい」と考える瞬間は皆さんよくあると思うのですが、言い換えや別の表現を探すのには、どうしても時間がかかってしまいます。それがわずか10分ほどで完了しました。実際に活用して実感したのですが、毎日のちょっとした業務の効率化が、1カ月など長いスパンで見ると大きな差となってくるなと感じます。
型が決まっていない、参考にする情報が少なく、一から自分で組み立てなければいけない文章・資料・設計書に取り掛かるときに、「どこからスタートすべきかわからない」と悩んでいる社員を見かけることがあります。どう進めるべきか一人で悩み、迷路に入り込んでしまい、叩き台を作るだけで1時間ほど費やしてしまうようなケースです。
それが生成AIでプロンプトを書けば、60点くらいのクオリティですぐに叩き台を出してくれます。この叩き台を用意できるかどうかの差は大きいものです。最終的なアウトプットは、そこから磨き込んでいけばいいわけですから。
半田さま:私は研修の最終課題「業務の課題をプロンプトエンジニアリングで解決しよう」の箇所がまさに役立ちました。「物流倉庫の定期修繕計画を作成するアプリケーション」を開発していたのですが、アプリケーション内の入力項目を設計する必要がありました。
通常は現場担当者に事前にヒアリングをしてから担当部門に提案するのですが、今回は設備担当者が多忙のため、ヒアリングの時間を十分に確保できませんでした。従来であれば書籍やWebを使い、時間をかけて調査しなければならない状況でしたが、この場面で生成AIを活用しました。
設備担当者という役割をChatGPTに与え、「物流倉庫の管理に必要な項目について3名で話し合って決めてください。」というプロンプトを入力して議論させ、必要な管理項目をリストアップさせました。
そこで出してもらった項目を活用し、「修繕計画アプリケーション」開発したところ、とても好評でした。半月ほど経ちましたが修正依頼はまだ出てきていません。
山中さま:設備系統など、私たちが手がけるアプリケーションは専門的な知識や情報を理解して作る必要があります。そんなとき、ヒアリングが必要になるのですが、現場が忙しいとヒアリングの工程で止まってしまい、1〜2週間が経ってしまうこともあります。しかし、先ほど半田が話したように、こちらでプロトタイプを作成して現場に提案できれば、議論が進みやすいと思いました。私は開発環境で使用するコマンドプロンプトの選定にも活用していきたいと考えています。
「まずは小さくスタートし、議論しながら精度を上げていく」PDCAが回せる組織へ
半田さま:今日のインタビューには同席できなかったメンバーが、先ほど話したヘルプデスクの効率化にも乗り出してくれています。実際に問い合わせ内容をChatGPTで出力させ、担当部門に返答させるという動きがありまして、オペレーションも少しずつ変わってくるなという手応えを感じています。
研修で身につけたスキルが、早速業務の中で活用されはじめているということですね。いきなり大きな結果を求めずに、まずは小さく素早く施策のサイクルを回すことは、生成AIを活用する上でとても大切だといわれています。
岡野さま:先ほどのたたき台の話ではありませんが、仕事の進め方にしても生成AIの活用にしても、まずは多少粗削りな状態であっても一度アウトプットして、周囲とすり合わせることが大切ですよね。一人で悶々と悩む必要もありません。
付け加えると、一人で悶々と考える必要もないと思います。「こうした方がよいね。このやり方がよさそうだ」といった議論をしながら作る方がクリエイティブですし、仕事も楽しいと思うんです。その壁打ち相手としても、生成AIはとても有効だと思います。
最初から完璧なものを作ろうと一人で悩みすぎると、もし「180度方向性が違っていた」となったときに、それまでの時間がすべて無駄になってしまいます。それは部下にとっても酷なことですし、モチベーションの低下にもつながりかねません。
テックアカデミーの研修を通じてこのような取り組みができ、とても満足しています。今回は5名での受講になりましたが、私自身、生成AIの使い方はかなり変わったと感じています。これまでは「その業務にそんなに時間かけなくてもよいのにな」と思う場面が多かったです。「生産性を高める」アクションを推進していくために、ルーチン業務はなるべく効率化して、本来時間をかけるべき仕事に集中してもらいたい。なので社員がもっと気軽にツールを活用できる環境にしていきたいですね。もちろん生成AIの教育も必要です。
半田さま:私としては各部門の業務内容を把握できている人に研修を受けてもらいたいです。カリキュラムの中にも、実際の業務に当てはめながらプロンプトの考案をする課題があるので、彼らに受けてもらったら、それだけでかなり変化があるんじゃないかなと思っています。各部門に相談役がいるイメージです。
岡野さま:私は伊藤忠テクノソリューションズさまとお取り組みされていた、ワークショップ形式の研修をいつか実現できないかと考えています。「社員間で生成AIの活用について自発的に議論が生まれている」そういう姿が理想です。












