導入の背景
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いわれたからやる、ではなくボトムアップ型でのDX推進を
会社全体でDXを進めていくことになった背景について、教えていただけますか。
齋藤さま:元々弊社ではBluetoothを使ったバス内の混雑時の状況の配信、Googleのバス位置情報の配信、MaaSや自動運転などデジタル技術を活用した取り組みを行っていました。コロナ禍をきっかけに人の移動が減ったことで、バスを使う人が少なくても利益が出るような構造改革やビジネスモデルを作る必要がありました。そこで2021年から西武バス独自のDX戦略を作ることとなりました。
DXを進めていく上での課題はありましたか。
齋藤さま:大きく3つあります。1つ目は会社全体でDXを取り組むに当たり、私が所属する企画部や、情報システム部(当社の場合は情報システム担当が企画部にある)が中心となるシステム導入だけで新しいことを行うには限界があるということです。
DXを推進する企画部とシステム導入を担当する情報システム部はもちろん関わる必要がありますが、自分たちだけでなく1,800名を超える社員を巻き込む必要があると思っています。どんなにすばらしいシステムでも、当事者意識が少ない中での導入は成功しないからです。
2つ目は、トップダウンではなくボトムアップで進めるべきだという点です。トップダウンで新たなシステムや仕組みを導入した場合、「コストや時間をかけたのに現場で使われない」といったリスクが高いと、これまでの経験から実感しているためです。
本社や上司主導だと導入自体が目的になってしまうことがあり、上司がどんどん指示したり動いてしまうことで、現場は「誰かがうまくやってくれているのだろう」とどこか他人事になってしまう。さらには導入後にどんなシステムだったのかを知るというケースを経験したことがあります。そのため全社員にDXに対して当事者意識を持ってもらい、むしろ現場からこういうシステムを導入してもらいたいという意見や要望を出しやすい環境を作る必要があると思っています。
3つ目は改革をしたいがどのように実行すればよいかわからない社員を救ってあげることです。
実際に普段の業務や、既存事業をデジタルを活用して、よい方向に変えていくべきだと感じている社員はいると思うのですが、そのためになにをすべきかわからず、進まないケースが見られます。自分のアイディアを具現化したり、引き出しを増やすためには、DXやマネジメント、データ分析の能力などの専門スキルを身につける必要があります。
社員の意識を変えることが、DXを進めていく上で重要になりそうですね。
齋藤さま:はい。DXというと敷居が高く難しい印象になってしまいがちですが、ハードルを下げて、もっと身近に感じてもらいたいと思っていました。「あ、これもDXにつながるのか」と感じてほしいんです。その壁がなくなることで、各部署から自然にアイディアが湧き上がるなど、ボトムアップでよい連鎖が生まれるようにしたいと考えています。
社員のマインドを変えるため、各部署でDX推進リーダーを育成
テックアカデミーを活用しようと思った経緯について、教えてください。
齋藤さま:研修方針として、社員意識の変革に関してはまずは人事主導で社内研修を実施しようと考えていました。その後、ステップアップとしてDXの専門的な知識を身につけてもらおうと思っていたのですが、社内に専門的な知識を持った人がいないため、外部の研修を活用することにしました。具体的には現状把握や分析力、課題解決に必要なITスキルやサービスの理解、システムの設計力、利用者視点のデザイン力が学べる教材や学習サービスが理想でしたね。講義形式ではなく、自ら学習するスタイルのものがよいなと思っていたところ、テックアカデミーの存在を知りました。
今回「DXマネジメントコース」を選択いただきましたが、どのような方が受講されたのでしょうか。
齋藤さま:業務を熟知していて、変革が必要という意識を持っている中堅社員4名です。
受講したうちの1人は私の部下である企画部の石田で、2人目は管理本部の人事部、3人目は事業本部でバスの運行に携わる計画部の者、4人目は事業部の営業担当の者です。
DX推進を担う企画部の私と上司で話し合いメンバーを選抜しました。
はじめての取り組みだったこともありますが、いきなり大人数に受講してもらうのではなく、あえて各部署を代表して1人選抜することにより、部署内、そして全社へと浸透しやすいのではという思いがありました。
受講後、受講した社員からの反応はいかがでしたか。
齋藤さま:以前よりも業務改善に対する反応がよくなりました。これまでも業務の役に立ちそうなツールや情報を共有する機会が多かったのですが、一方的なコミュニケーションになってしまうことが多かったです。研修を通してDXそのものや業務改善方法、ITツールに関しての理解が深まったことによって、共有された社員側もこちらの意図を汲み取ることができたり、このツールを使ってこんなことができそうだという会話が生まれました。
社内のDXの理解や意思統一をすることからはじめたい
今回受講された石田さまにお話を伺いたいと思います。普段どのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか。
石田さま:普段は企画部でバスの自動運転など次世代モビリティの担当をしております。会社でDX戦略に合わせて、DX推進するためのリーダーの1人として選抜されました。私以外に受講した社員もリーダーに選ばれています。
今回テックアカデミーを受講されていかがでしたか。
石田さま:DXとIT化の違いや、ビジネストレンド、ロジカルシンキングなどの思考法、データの扱い方や開発の手段などDXを推進する上で必要なことを広く学習することができました。課題発見やデータをスプレッドシートで管理するなど、すぐに業務でも活用できそうな内容もありました。
2カ月の受講期間、どのように学習を進めましたか。
石田さま:業務の合間に受講したり、じっくり考えて課題提出する必要がある、応用のものについては自宅で取り組むなど、バランスを考えながら学習を進めました。メンタリングは基本的に夜に設定していました。メンタリングではカリキュラムの課題を見てもらい、わからない部分の補填をしてもらっていました。課題の難易度によっては早く終わったときもあったので、そのような場合はテキストの重要な部分や普段メンターが使っている便利なツールなどを教えてもらいました。実際に今でもそのツールを使っています。
カリキュラムやメンタリングで特に印象に残っていることはありますか。
石田さま:特にプロジェクト検証の課題が一番印象的でしたね。企業のボトルネックなどの前提条件を読んで、その条件の元になにができるか、どのような改善策が必要かを考えるなど、応用の課題になればなるほど手応えがありました。
またメンターの「プロジェクトは自分一人で行うものではない。自分だけが理解できても意味がないので、ロジックツリーなどで粒度を揃えて、誰が見てもわかりやすいように情報を整理するとよい」という言葉が印象に残っています。DXを行う上でプロジェクトは切り離せないものなので、腑に落ちました。今後自分がリーダーとしてプロジェクトを進めていく立場になるので、最終的にプロジェクト外の人がシステムなどを利用することを考えたときに意識したいと思いました。
今後学習したことを業務でどのように活かしていきたいと考えていらっしゃいますか。
石田さま:まだ具体的な実務の部分に落とし込めていないのですが、社内でDXを広めていくにあたり、DXの理解や意思統一をすることからはじめたいと思っています。DXは手段の1つであって、目的ではありません。まずそこが社内でぶれてしまうと社員全員が同じ方向を向いて取り組むことができないと思っています。
直近ですと上司にプロジェクトを起案・稟議を行う際や、経理部門に請求書を提出する際に、シームレスかつペーパーレスで実現するための動線を設計できそうだなと感じました。
最後にDXのリーダーとしての意気込みを教えてください。
石田さま:リーダーに選ばれたことはとても光栄なことだと感じています。DXはデジタル化をして終わり、ではありません。先ほど齋藤が話していた通り、身近な業務に繋がる小さなDXを積み重ねて、会社全体に関わる大きなDXにも挑戦し続けたいと思っています。継続的にDXを進めることは、西武バスを利用するお客さまや社員が豊かな生活を送れるようになることにつながるので、無限の可能性を感じています。ぜひ今回の学習で学んだことを業務に活かしていきたいと思います。
まずは各部署で小さい成功体験を増やし続けたい
全体を通して受講の満足度はいかがでしたでしょうか。
齋藤さま:カリキュラムの内容は元々、社員に学習してもらいたい内容だったため、実施してよかったなと感じています。私自身は受講していないのですが、受講した社員の進捗について管理者サイトから確認していました。どの社員がどこでつまずいているのかなど、直接コミュニケーションを取らずともオンラインで知ることができたのでよかったです。
一つ欲をいえば、受講した社員が課題に対してどのような考えを持ってどのように回答をしたのかがわかるとよりよかったなと思います。
研修を実施して会社として今後どのようにDXに取り組まれていく予定でしょうか。
齋藤さま:まだテックアカデミーを受講していない残りの5部署のメンバーの受講も検討中です。どの部署も業務の電子化や業務効率化できる部分はかなり多いと思うので、学習の成果が出ることを期待しています。
先ほどもお伝えした通り、DXが「壮大なもの」「成果を出さないといけないもの」であるというプレッシャーを社員に与えてしまうと、嫌悪感を先に抱いてしまい新しい一歩を踏み出せなくなってしまうと思っています。
そこで、各部署のリーダーたちが今回学んだことを元に、身の回りの比較的小さい規模の業務改善から、会社やお客さまなど外部にも影響する大きい規模のことに挑戦する姿を見せることで、周囲が「私もやってみたい」「このやり方の方がいいよね」という声が自然に出てくると考えています。身近なことから各部署が小さな成功体験を積み重ね、社員の意識を変えることが、弊社のDXの1つ目のステップとして重要だと思っています。各部署が継続的に取り組んでもらうためにスコア化なども検討しています。
個人的にはRPAを活用し、これまで手動で行っていた日々の作業を簡略化させたり、社内で当たり前のようにやっていた業務をどんどん効率化していきたいと思っています。エンジニアでないと作れなかったり、修正を加えたりできないものだと意味がないので、どの社員でもかんたんに作ったり、使えるようなツールなどを取り入れていきたいです。












