集合研修とは?オンライン時代でも重要な理由
公開日:2024年04⽉04⽇最終更新日:2024年11⽉19⽇
従来、研修とは集合研修のことを指していました。しかし改めて、集合研修とはどのようなものでしょうか?またパンデミック以降、オンライン研修の利便性が評価されています。集合研修はオンライン研修に取って代わられるのでしょうか?この記事では集合研修とはどのようなものか解説します。この記事を読むことで次のことが理解できます。
・集合研修とは
・集合研修とオンライン研修の比較
・集合研修・オンライン研修のメリット
・効果的な集合研修の実施方法
・オンライン研修との統合
研修の担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
集合研修とは?
まず、集合研修とはどのようなものか理解しておきましょう。以下の面から解説します。
・集合研修の基本概念
・オンライン研修との比較
・引き続き重要視される理由
順に見ていきましょう。
集合研修の基本概念
集合研修とは、一堂に集まった参加者が同時に学習を進める研修スタイルのことを指します。教育担当者や講師が直接指導を行い、参加者は顔を合わせて学び、ディスカッションや演習を通じて知識を深めていくという形式が特徴的です。
これに対し、オンライン研修は物理的な距離を問わず、インターネットを通じて学習を行う方式となります。両者はその実施方法や環境が大きく異なり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
オンライン研修との比較
オンライン研修の大きな利点は、場所や時間に束縛されずに学習できる点です。また、参加者が広範囲に及び、どこからでも参加可能な点も特筆すべきメリットと言えます。一方で参加者の技術的な理解度やインターネット接続の環境などによっては、十分な学習効果が得られないケースもあります。
対して集合研修は対面での直接的なコミュニケーションが行えるため、質問への即時のフィードバックや、学習者同士の深い意見交換などが可能です。また物理的な場所に集まることで生じる集中力の上昇や、実習などの実技研修も容易な点もメリットです。しかし集合研修には参加者全員のスケジュールを合わせる必要があり、自由度が低いというデメリットもあります。
このように、オンライン研修と集合研修、それぞれに一長一短があり、目的によって使い分けることが重要となります。
引き続き重要視される理由
集合研修が引き続き重要視される理由として第一に挙げられるのは、対面での直接のコミュニケーションとフィードバックの手間が少ないことです。これにより教師は瞬時に学習者の理解度を測り、必要な指導を行うことができます。また実地演習などのプラクティカルなスキルを磨くためには、対面の研修が最も効果的です。
第二の理由は集中力の向上です。集合研修は参加者を物理的に一緒の場に集めることで、他の作業や気晴らしから離れ、研修に集中する環境を作り出します。第三には、同僚との間に共有体験を作り出すことができ、組織の結束力を高めるという効果もあります。
以上の理由から、多くの企業が引き続き集合研修を重要視しています。
集合研修・オンライン研修のメリット
次に、集合研修とオンライン研修のメリットについてまとめます。ここでは以下の点に分けて解説します。
・集合研修のメリット:対面でのコミュニケーション、即時性のあるフィードバック、集中力の向上
・オンライン研修のメリットと限界:柔軟なスケジュール、広い範囲からの参加、技術的障壁や参加者の差
順に見ていきましょう。
集合研修のメリット
まず集合研修のメリットについて解説します。以下の2点が挙げられます。
・対面でのコミュニケーション
・集中力の向上
1つずつ見ていきましょう。
対面でのコミュニケーション
集合研修のメリットとして最も大きいのが「対面でのコミュニケーション」です。集合研修では参加者が直接面と向かって言葉を交わすことで、非言語的なコミュニケーション、つまり表情や身振りによる意味の伝達も可能となります。また同じ空間で共有することで、雰囲気や空気感を通じて学びの深度が増します。
受講者同士直接顔を合わせることで、仲間意識も自然と芽生え、その後の人間関係にもよい影響があるところも大きな利点です。チームワークやコミュニケーションを重視したい場合には、集合研修がおすすめかもしれません。また、講師とも日々直接会うことができるため、質疑応答がしやすく、疑問や不安を解消しやすいところも魅力です。また、講師の側も、同じ空間にいることで微細な受講生の表情や様子を肌で感じ、フォローもしやすいというメリットがあります。
集中力の向上
集合研修は、参加者が一同に会することで集中力を高めることが可能です。特に複雑な問題を解決するための討議や、新たなアイディアを生み出すためのブレインストーミングなど、高度に集中力を必要とする活動は、集合研修ならではのメリットを生み出します。
また、自宅などから個々に受講する場合と違い、他の受講生や講師が側にいることによる適度な緊張感も、研修への集中力を高めるよい効果があります。
オンライン研修のメリットと限界
オンライン研修のメリットとしては次の点が挙げられます。
・柔軟なスケジュール
・広い範囲からの参加
ただし同時に、技術的障壁や参加者の差が生じやすいという限界もあります。これらのメリットと限界について、順に見ていきましょう。
柔軟なスケジュール
オンライン研修の利点の一つに「柔軟なスケジュール」があります。
従来の集合研修は、特定の時間と場所に束縛される上に参加者の全員が同時に利用できる日程を調整することが難しいという点がデメリットです。入社時期がバラバラの場合や、まとまった期間を育成のために抑えることが難しいこともあるでしょう。
そのような場合、オンライン研修であれば、各参加者が自分自身のスケジュールに合わせて学習を進めることが可能です。オンラインで受講できる研修には、ライブ型の双方向での形式、または録画コンテンツをメインとしたeラーニング型のものがあります。
質疑応答や講師からのフィードバックを求めたい場合はライブ型の講座やセミナーを検討するとよいでしょう。複数の日程で展開していることが多いので、希望の内容とスケジュールに沿って受講することができます。
内容が決まっているものや、業務の空き時間を利用して受講させたい場合には、eラーニングが適しています。録画コンテンツになっているため、好きなタイミングで学習の開始、中断、再開ができます。既に現場で活躍している既存社員の教育や、集まることが難しいメンバーに同一の内容を学んでほしい場合に有効です。
このように、柔軟なスケジュールはオンライン研修の大きな利点であり、人材育成の効率化にもつながります。
広い範囲からの参加
次のメリットとして、「広い範囲からの参加」が可能であるという点が挙げられます。従来の集合研修では参加者が一か所に集まる必要がありましたが、オンライン研修であれば地理的な制約を気にすることなく、全国や世界中のどこからでも参加することが可能です。
特に、距離のある複数の拠点を持つ企業にとって、リモートワークが加速している現代においては、このメリットは大きな魅力となります。このおかげで一つの研修に多くの従業員が参加でき、その結果として研修の効率や効果も向上する可能性があります。
複数拠点の従業員が同一の教育を受けられることで、拠点ごとのサービスのクオリティや業務知識、スキルのばらつきを防ぐことができるため、結果としてブランドイメージの向上にもつながるでしょう。
もちろん遠隔地からの参加者向けには、事前の技術確認やサポート体制整備が必要です。しかしその準備が整えば、これまで以上に効率的な人材育成が可能となります。
技術的障壁や参加者の差
オンライン研修には利点も多い一方で、参加者ごとのITリテラシーの程度によって技術的な障壁や差が問題となる場合もあります。集合研修の場合は受講者が一堂に会するため、学習環境を一律にすることも容易ですが、オンラインの場合はそれぞれの自宅やオフィス、場合によってはカフェなどの公共の場から受講することもあり得ます。
その場合に、ネットワーク接続の不安定さやパソコンの操作スキルの差等、技術的な問題が学習の進行を妨げることもあります。また、時間帯や地域による通信環境の差、集中して受講できる状況を作れるかどうかなど、参加者間での環境差が研修の効果に影響を及ぼすこともあります。
リモートワークが進んだ現在でも、一部の地域ではインターネット接続が不安定な場所もあり、そのような状況下ではオンライン研修の質が確保されにくいという課題が存在します。また家庭環境によっては静かな学習環境が確保できない場合もあり、そのような状況下では集中力が途切れ、研修内容を十分に吸収することが難しくなる可能性があります。
受講者の状況や、学習を進める上でのベースがあるかどうかを確認した上で無理なく導入していくことが望ましいでしょう。
効果的な集合研修の実施方法
効果的な集合研修を実施する上でポイントとなるのは次の点です。
・ゴール設定と計画
・参加者の事前準備
・アクティブラーニングの取り入れ
・フォローアップの重要性
1つずつ解説していきます。
ゴール設定と計画
効果的な集合研修を実施するためには、まず「ゴール設定と計画」が重要になります。研修の目的やゴールを明確に設定して、それを達成するための具体的な計画を作ります。ゴール設定は研修の成果を見える化し、進行を管理するための基準となります。
一方計画はそのゴール達成に向けての道筋を示し、必要な教材や時間配分、研修方法などを決定します。例えば売上向上をゴールに設定した場合、販売スキル強化を主軸に研修内容を構築し、具体的な売上目標と時間配分を計画します。このプロセスを通じて研修が具体的な成果に繋がるように設計されるため、参加者も目標達成に向けてモチベーションを維持しやすくなります。
参加者の事前準備
参加者の事前準備は、集合研修が成功するための重要な要素です。理想的な事前準備は参加者にとっての事前学習の機会であり、関連する知識を吸収し、疑問や質問を持つことができます。具体的には、研修の目的と目標を理解し必要な資料やリソースを事前に提供することで、研修の日に深く議論しやすくなります。
具体的な事例でヒントになるのは、新商品の販売研修前に製品カタログや販売手法の概要を配布し、研修の日にはリアルなケーススタディやロールプレイを行うという手法です。これにより研修の効果は大幅に向上します。
アクティブラーニングの取り入れ
アクティブラーニングとは、参加者が積極的に学習内容に関与し、自ら考え、行動することを促すアプローチです。具体的にはグループディスカッションやワークショップ、ケーススタディなど、参加者自身が主体となって学び、知識を経験から得る方法を指します。
参加型の学習方法は、単に知識を伝えるだけでなく参加者に知識を活用するためのスキルを提供します。アクティブラーニングは、参加者が自分自身の学習経験に深く関与し、新たな知識を自己の経験と結びつけ、理解と適用の両方を向上させることが可能です。
また対話や協働によって参加者間のコミュニケーションを促進し、チームビルディングの機会も提供します。これにより、集合研修は単なる情報伝達の場から互いに学び合う場へと進化します。
フォローアップの重要性
フォローアップは、研修の成果を定着させ、実業務に活かしていってもらうために不可欠です。研修の成果を最大化するためには、研修後のサポートや指導、進捗の確認といったフォローアップ活動が欠かせません。
研修を受けて終わりでなく、フィードバックの機会を設けたり、行動計画を立ててその後に活かす動きを続けていく事ことで研修の真の効果が発揮されます。引き続き経過を見守りながら、必要な学習や対話の機会を作っていけるよう、中長期的な目線で考えていきましょう。
集合研修を支えるテクノロジー
集合研修の成功は、新たなテクノロジーを活用した効果的な運営によっても大きく左右されます。以下の点について解説します。
・利用可能なツールとアプリ
・ハイブリッド型研修の可能性
・技術の進化に伴うスキルセットの変化
順に見ていきましょう。
利用可能なツールとアプリ
集合研修においては、様々なツールやアプリが活用可能です。
例えば研修の前後向けなら、SaaS型LMS(Learning Management System)は集合研修のスケジューリング、コンテンツ管理、進行状況の追跡などを一元的に管理できます。またアンケートツールを使えば、研修の効果測定や参加者の意見収集が容易になります。
さらに研修中もGoogle SlidesやPreziを使用すれば、講師が進行中のスライドを参加者と同時に共有でき、投票アプリの「Poll Everywhere」は、瞬時に参加者の反応を取り入れることが可能となります。
これらのツールを巧みに活用することで、集合研修の効果を最大化し、より深い学習体験を実現することが可能となります。
ハイブリッド型研修の可能性
先のセクションで、集合研修とオンライン研修の特徴、その違いについて解説しましたが、両者のよいところを組み合わせた「ハイブリット型研修」を選択する企業も増えてきています。
例えば、対面でのディスカッションやワークショップなどは集合研修で行い、一方で自己学習や情報の収集はオンライン研修で行うという取り組みが多くの企業で展開されています。 学びの内容や目的に合わせた受講形式を柔軟に選択できることで、より広範な教育内容に対応することが可能になります。
ただ、効果的に運営するためにはしっかりとしたカリキュラムと実施計画がカギになります。受講形式が変動するということは、受講者に対しスケジュールを確実に共有し、エラーのないように努める必要があります。また、いたずらに受講形式が変わるだけで内容が見合わない場合、逆効果となってしまう場合もあります。
自社で全てを構築するのは難しい部分も多いですが、目的に応じて外部の研修を活用することも効果的です。研修会社には豊富な教育ノウハウがあるので、カリキュラムづくりからプロに相談することもできるでしょう。
技術の進化に伴うスキルセットの変化
技術の進化に伴って、研修を受講する上でのベースとなるスキルセットも求められてきています。特にオンライン研修では、デジタルツールを効果的に活用する能力が求められますので、PCの基本操作やコミュニケーションツールの利用、ビデオ会議システムの操作など、ITリテラシーをある程度身に付けていることを前提としたものが多くなってきています。
また、ITリテラシーだけでなく、オンラインコミュニケーションにおけるエチケットも重要視されています。対面研修では自ずとありのままのコミュニケーションが生まれますが、オンライン研修では意識的な行動が求められます。例えば自分が話しているときは他の参加者を見やすいようにカメラをオンにする、無駄な音を出さないようにマイクをミュートにするなど細かな配慮が求められます。
以上のような新たなスキルセットは、「デジタルネイティブ」世代でもない限り、自然と身につくものではありません。必要に応じて事前のフォローが必要になることもあるでしょう。
そのような場合には、基本的なITリテラシーを身に付ける研修も多数あります。この場合は当然ながら対面型の集合研修が適しているでしょう。オフラインでの指導を通して、徐々にツールの取り扱いやネットワークの概念を身に付け、オンラインでの学びや業務に対応できるように導いていくことが求められます。
集合研修とオンライン学習のそれぞれの良さを理解して、効果的な育成を
いかがでしたか?集合研修とオンライン研修の特徴とその違い、それぞれの進め方についてご紹介しました。双方にメリット・デメリットがあるので、目的に応じて使い分けられるようになれると、育成に大変効果的です。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。