研修にワークショップの手法を取り入れたい!成功するための秘訣

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研修にワークショップの手法を取り入れたい!成功するための秘訣

研修に双方向的な手法を加えたいとき、効果的なのがワークショップです。しかし具体的な設計方法などわからないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、研修にワークショップの手法を取り入れる方法について解説します。以下の点を深堀していきます。

  • 成功するワークショップの設計方法
  • インタラクティブなアクティビティの導入
  • ファシリテーターの役割とスキル

研修の担当者の方は参考にしてみてください。

なぜワークショップが効果的なのか

まずなぜワークショップが効果的なのかについて確認しましょう。以下の側面から解説します。

  • 学習効果の向上とモチベーション
  • 体験学習の重要性
  • インタラクティブな学びのメリット
  • ワークショップの心理的効果

1つずつ見ていきます。

学習効果の向上とモチベーション

ワークショップは、学習効果の向上や参加者のモチベーションの高揚に寄与します。学習者は情報を活動しながら身につけ、自己効力感を得ることができるからです。自己効力感とは自分が能動的に問題を解決できるという自信のことで、これがあると学習意欲が高まります。

またワークショップは参加者同士の相互作用を促し情報を深く理解するための新たな視点やアイデアを提供します。これが学習の質を高め、結果として学習効果を上げるのです。

体験学習の重要性

体験学習の重要性とは何かを理解するためには、まず学ぶという行為の本質を考えることが必要となります。

学習は情報の受け取りだけではなくそれを自分自身のものにするプロセスでもあります。だからこそ、体験を通じて学ぶことは非常に重要なのです。体験学習は、参加者が自分自身で課題を発見し解決策を見つけることを促します。

これは単に情報を与えられるだけの学習よりも、理解が深まりやすいと言われています。具体例として、科学技術館での実験ワークショップなどが挙げられます。参加者は自ら実験を行い、その結果から新たな知識を得るのです。このように体験学習は、より深い理解を促進し学習の効果を高めるために不可欠な手法となります。

インタラクティブな学びのメリット

インタラクティブな学習のメリットは多岐にわたっています。

第一に、参加者は自分自身がアクティブに問題を解決することで、より深く知識を理解し習得することが可能になります。この深い理解は、情報を単純に聞くだけでなくそれを利用して問題を解決した結果として得られます。またインタラクティブな学習は、単に知識を吸収するだけでなく自分自身で考える機会も与えます。これにより創造性や批判的思考、問題解決能力が育まれ、学習者はより独立した思考者になります。

さらにインタラクティブな学習は、実際の問題解決への直接的な経験を提供します。これは、将来的に同じまたは類似の問題に遭遇したときに自信と経験を提供するのに役立ちます。

ワークショップの心理的効果

ワークショップは、参加者の心理的なエンゲージメントを急速に高める効果があります。具体的には、自己効力感(自分自身の能力に対する信頼感)を高め、結果として自己成就感や自己肯定感を向上させます。また自分の意見が他人に認められる体験は、自尊心の向上に繋がります。さらに他者と協働する体験は、チームワークやコミュニケーション能力の向上、そして社会性の育成にも寄与します。これら全てが、参加者の内発的な動機づけを強化し持続的な学習行動の促進を可能にします。

成功するワークショップの設計方法

次に、成功するワークショップの設計方法についてまとめます。以下のポイントが挙げられます。

  • 目的とゴールの明確化
  • 参加者のニーズ分析
  • 適切な題材の選定
  • 時間配分の計画
  • グループ分けの進め方

1つずつ見ていきましょう。

目的とゴールの明確化

ワークショップの設計にあたり、目的とゴールの明確化は必要不可欠です。目的は、ワークショップを開催する総合的な理由を指し、ゴールは具体的な結果や達成すべき成果を示します。目的とゴールを明確に設定することで参加者がワークショップから何を得るべきか、またファシリテータがどのように進行すべきかの方向性が得られます。

たとえばIT企業の業務改善を目的に「効率的なプロジェクトマネージメントのスキルを習得する」というゴールを設定する場合、具体的なアクションプランや参考事例の提供、実践的な演習のプランニングなどが可能となり、結果的に参加者の学習効果と達成感を高めることが可能となります。

参加者のニーズ分析

参加者のニーズ分析は、効果的なワークショップ設計に欠かせない要素です。ニーズとは、参加者がワークショップから何を得たいのか、どんな課題を解決したいのかという要望や期待値のことを指します。これを把握することでワークショップが参加者の学習効果を最大限に引き出す内容となります。

具体的にはアンケートや個別インタビュー、事前の情報収集等を通じて参加者の目指すゴールや抱える課題を明らかにします。たとえば社内研修の場合、新入社員が業務に必要なスキルを習得するのがゴールであれば、それを目指したカリキュラムを設計します。また同じテーマでも参加者のバックグラウンドや経験により必要な知識やスキルに差が出てくるため、それを考慮することも重要です。具体的なニーズを把握しそれを基にワークショップの内容を設計することで参加者全員が最大の学習効果を得られるように工夫することが求められます。

適切な題材の選定

ワークショップの題材は、その目的や参加者のニーズに直接関連するものでなければなりません。具体的には、参加者が関心を持つ分野や、組織の課題解決に有効なテーマが適しています。たとえば製造業で働くエンジニアを対象にした場合、生産効率の向上や最新の技術動向に関する題材が有効でしょう。またマネージメントに焦点を当てたワークショップでは、リーダーシップや人事管理に関する話題を扱います。さらに具体的かつ実践的な内容にすることで、参加者は学習を現場に活かしやすくなるでしょう。ただし題材を選ぶ際には、ワークショップの時間枠を考慮し内容が適切にカバーできる範囲と深さにすることも重要です。

時間配分の計画

ワークショップの計画時には時間配分の見直しが欠かせません。目標を達成するための一連の活動を適切にスケジューリングすることで参加者が情報オーバーロードに陥ることなく、効果的に学習できる環境を提供することが可能になります。

たとえば、エクササイズやディスカッションの時間は十分に計画することで参加者全員がアクティブに関与し意見を共有できるようにします。また休憩時間も適切に設けることで参加者の疲れを軽減し集中力を維持するのに役立ちます。

グループ分けの進め方

ワークショップでのグループ分けは、意図的なプロセスを必要とします。まず多様性を尊重することが大切です。人々は異なる背景や経験を持つことで新たな視点やアイデアをもたらしグループ全体の学習経験を豊かにします。またチーム内での役割分担も重要です。リーダーシップを取る人、情報を整理する人、タイムキーパーなど、さまざまな役割を明確にしそれぞれが責任を果たすことでチームの生産性を高めます。

さらにグループサイズも考慮に入れてください。小規模なグループはコミュニケーションが密で、大規模なグループは多様な視点を提供します。具体的な数は目的やアクティビティによりますが、一般的には4~6人が適切です。

インタラクティブなアクティビティの導入

次に、インタラクティブなアクティビティの導入について解説します。以下の側面からまとめます。

  • 実践的な演習の実施方法
  • ロールプレイの活用術
  • ディスカッションの促進方法
  • フィードバックの効果的な方法

順に見ていきましょう。

実践的な演習の実施方法

実践的な演習の実施方法について考える際は、まず実際の業務におけるシナリオを考えることが重要です。これは、演習が日々の業務に直結したものであるほど、学習の効果が高まるからです。具体的には、仮想的なプロジェクトを設定しその中で参加者が特定の役割を担って課題を解決するような形式が効果的です。

また演習の実施にあたっては、適切なケーススタディを用意することも重要です。ケーススタディは、具体的な事例を用いて問題解決を学ぶ手法であり、現実の業務を再現する上で非常に有用です。これにより参加者は実際の業務と同等の緊張感を持ちつつ学ぶことが可能となるでしょう。

ロールプレイの活用術

ロールプレイの活用術として、まずは具体的なシナリオの設定が重要です。参加者が置かれる状況を具体的に想定しその状況で何をどう行動すべきかを考えさせることで、理解を深めます。また役割に応じてアクティブに話す役と、客観的に観察する役を設けることで多角的な視点からの学習が可能となります。さらにロールプレイ終了後の反省会で、他の参加者から意見を聞くことで自己理解を深めることも大切です。

具体的な社内ケーススタディをロールプレイに取り入れると、より現実感を持って学習に取り組むことができます。

ディスカッションの促進方法

ディスカッションを活性化させるための方法には、主題に対する事前準備や明確な話し合いのルール設定、さらには適切なモデレーションが不可欠です。

事前準備は、収集した情報が議論を深めるための材料となり、参加者が自信を持って意見を述べることができます。ルール設定は、それぞれの意見が尊重され、生産的な対話が進行する基盤を築くための重要な要素です。

適切なモデレーションによって、議論は円滑に進行し異なる視点が適切に統合されて、より高度な理解を得ることが可能となります。

フィードバックの効果的な方法

フィードバックは、参加者が自身の行動を振り返り、学習経験をより深く理解するための重要な方法です。そのため、フィードバックの効果的な方法を知ることは、成功するワークショップを設計する上で欠かせません。

まずフィードバックは具体的かつ特定の行動に焦点を当てるべきです。一般的なフィードバックよりも具体的なフィードバックの方が、参加者にとって理解しやすく、適用しやすいからです。またフィードバックのタイミングも重要で、行動の直後に提供することで参加者は行動と結果の関連性を明確に捉えることができます。

次にフィードバックはポジティブな観点から始め、次に改善が必要な点に移ると効果的です。これにより参加者は自己肯定感を保ちつつ、自身の能力向上のための指導を受け入れやすくなります。またフィードバックは具体的な提案を伴うべきで、参加者が自身の行動を改善するための有用なガイドラインを得ることができます。

最後にフィードバックは双方向のコミュニケーションであるべきです。参加者からも意見や感想を求め、それをフィードバックの中に取り入れることでより効果的な学習経験を提供できます。

ファシリテーターの役割とスキル

最後に、ファシリテーターの役割とスキルについてまとめます。以下の点が挙げられます。

  • ファシリテーターの基本的な役割
  • 効果的な対話技術
  • 問題解決のサポート
  • 参加者のエンゲージメント維持

順に見ていきましょう。

ファシリテーターの基本的な役割

ファシリテーターの基本的な役割は、ワークショップが目指すゴールに向けて、参加者全員が活発に参加し自己表現をし新たな知識やスキルを得られる環境を整えることです。また参加者が話題に対する洞察を深め、新たな視点を見つけ出す手助けをします。この役割は、ワークショップが目的を達成し参加者が最大の学びを得られるようにするために不可欠なものです。

効果的な対話技術

ファシリテーターの役割とは切り離せないのが、効果的な対話技術です。対話技術は、ファシリテーターがワークショップの目的を達成し参加者全員を巻き込むための重要な手段となります。

まず良い質問をすることが基本となります。質問を通じて参加者に考える機会を提供し深層的な理解を促すことは、対話のゴールです。質問の種類はオープンエンドのものが適しており、それは参加者に自由に答える機会を与え、より広範な視点を引き出します。

次に聞き取り力も重要です。ファシリテーターは、どのように反応があったのか、どのような意見が出たのかをしっかりと掴む必要があります。具体的な言葉や表現を再度使い、参加者が自分の意見が理解されていると感じさせることも重要です。また対話の流れを管理するスキルも重要となります。議論が脱線しないように、また一部の人が話し過ぎて他の人が発言できないといった状況を避けることも、ファシリテーターの役割です。ディスカッションのバランスを保つことで全員の発言を尊重し対話を円滑に進めることができます。

これらの対話技術は、参加者間の信頼を築き、ワークショップの効果を最大限に引き出すために必要な要素となるのです。

問題解決のサポート

ファシリテーターの重要な役割の一つは問題解決のサポートです。ワークショップでは参加者同士が頭を悩ませ、共に解決策を見つけることが多々あります。その際、ファシリテーターは適切な質問を投げかけることで、参加者が自己の考えを深めたり新たな視点を得たりするお手伝いをします。またグループ内で意見が対立した際には中立的立場を保ちつつ、円滑なコミュニケーションを促進する役目も果たします。更に、ファシリテーターは参加者が固定観念に囚われてしまった時には、その視野を広げるための様々な手法を提供し、問題解決への道筋を示すことも求められます。

このように、ファシリテーターは問題解決のプロセスを進行させ、参加者が自分自身で解を見つける手助けをする存在なのです。

参加者のエンゲージメント維持

参加者のエンゲージメントを維持するためには、活動の過程で絶えず参加者を巻き込む必要があります。そのためには、参加者それぞれの興味や関心をきちんと把握しておき、それに基づいた活動を計画することが肝心です。またワークショップの進行中は、参加者が自身の意見やアイデアを自由に発表できる安全な環境を作る必要があります。これにより参加者は自分の考えが尊重されていると感じ、より積極的に参加しようという意欲を引き出せます。

同時に、達成感も大切な要素です。小さな目標を設定しそれを達成した時には、適度な賞賛やフィードバックを与えましょう。これにより参加者は自分が成長していると感じ、さらに積極的に参加する動機づけになります。また参加者が互いに交流し協力する機会を増やすことも大切です。これは、新たな視点やアイデアを共有し自分自身の考え方を広げる良い機会となります。

以上の工夫により参加者のエンゲージメントは持続的に維持され、ワークショップの成功につながります。

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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。趣味は筋トレと映画鑑賞。


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