教育とマネジメントの違いとは?上司が知っておくべきポイント

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教育とマネジメントの違いとは?上司が知っておくべきポイント

上司が部下に対して行うべきことに、教育とマネジメントがあります。両者は区別されるべきですが、意外にあいまいなまま部下に接していることも多いのではないでしょうか。

この記事では、教育とマネジメントについて、違いやそれぞれに関する上司の役割について解説します。具体的には以下の内容を深堀していきます。

  • 教育とマネジメントは目的が異なり、教育が個々の成長と能力向上を目指すのに対してマネジメントは組織全体の目標達成と生産性の向上を目指す
  • 教育における上司の役割には、モチベーション向上、継続的な学習の促進、フィードバック、評価などがある
  • マネジメントにおける上司の役割には、チームの目標設定、パフォーマンス管理、リソースの配分、プロジェクトの進捗管理などがある
  • 教育とマネジメントは適切なタイミングで柔軟にバランスを取ることが大切

部下を持つリーダー職の方、研修担当者の方は参考にしてみてください。

教育とマネジメントの違い

はじめに、教育とマネジメントの違いについて解説します。以下の側面からまとめます。

  • 教育の基本概念と目的
  • マネジメントの基本概念と目的
  • 教育とマネジメントの相違点

順に見ていきましょう。

教育の基本概念と目的

教育の基本概念は、個人の知識、技能、態度、行動などを開発・強化するためのプロセスです。目的は、受講者が自身の可能性を最大限に引き出し職場で効果的に働けるようにすることです。

たとえば新入社員研修では基礎知識の習得を目指しますし、階層別研修ではリーダーシップやマネジメントスキルの向上を目指します。これらは教育の一環となります。教育は個々の成長と組織の競争力向上に寄与するものです。

マネジメントの基本概念と目的

マネジメントとは、組織やプロジェクトを効率良く運営することを指します。その基本的な概念は「プランニング」「組織化」「指導」「コントロール」の4つで、これらを適切に組み合わせて活用することで組織の目標達成を目指すのです。マネジメントの目的は、業績を最大化しつつ、チームや組織全体の働きやすさや満足度を向上させることです。

教育とマネジメントの相違点

教育とマネジメントは、目指す結果が異なります。教育は個々の成長と能力向上が目標です。具体的には、専門スキルの修得や、問題解決力、コミュニケーション能力などを高めることです。

一方、マネジメントは、組織全体の目標達成と生産性の向上を目指します。これを達成するために、リーダーはリソースの最適な配分、パフォーマンスの管理、チームの調整役などを担います。また教育は一人ひとりの成長を促すことに焦点を当てた個別指導的なアプローチであり、マネジメントはチーム全体をまとめ上げて結果を生み出す集団式のアプローチが求められます。

これらの違いを理解し適切に活用することが、組織と個別の成長を両立させる鍵となります。

教育に焦点を当てた上司の役割

次に、教育に焦点を当てた上司の役割についてまとめます。以下の点が挙げられます。

  • モチベーション向上のための方法
  • 継続的な学習の促進
  • フィードバックの重要性
  • 教育プログラムの設計
  • 結果の評価と改善

順に見ていきましょう。

モチベーション向上のための方法

モチベーション向上のための方法としては、目標設定、正しい評価とフィードバック、そして報酬と認知の提供が挙げられます。ひとつひとつを見てみましょう。

第一に、達成可能で具体的な目標を設定しそれを明示することです。これにより従業員は自身の仕事が会社全体の目標にどのように関連しているのか理解し、自分自身が重要な役割を担っていることを実感できます。

第二に、正しい評価とフィードバックを提供することです。これは、従業員の業績を公正に評価し適切なフィードバックを提供することで能力を正しく認識させ、自己実現の喜びを感じさせます。

最後に報酬と認知の提供です。適切な報酬制度は、従業員の努力を評価し次の目標達成に向けた動機付けをすることにつながります。また小さな成功でも認めて称賛することで従業員の達成感や自信を増大させ、モチベーションをさらに高めることができます。

これらの方法により従業員のモチベーション向上を促すことが可能となります。

継続的な学習の促進

継続的な学習の促進は、上司の重要な役割の一つです。継続的な学習は、社員が新しいスキルを獲得しその能力を磨き続けることに繋がります。

このためには、上司側が社員の学習をサポートし学習の機会を提供することが必要となります。たとえば社内での研修や勉強会の設定、オンラインコースへの参加を推奨するなどのアプローチがあります。

同時に、社員が自身のキャリアパスについて考え、自己啓発を行う機会を設けることも重要です。これにより社員は自分自身の成長を実感しより高いパフォーマンスを発揮するでしょう。

フィードバックの重要性

フィードバックは、上司が部下と効果的なコミュニケーションを図る上で不可欠です。これにより部下は自身のパフォーマンスの強みと改善点を理解し、自己成長に向けた具体的な行動を決定することが可能になります。

フィードバックは、両方向性があるという点でも重要で、部下から上司へのフィードバックによって、組織全体の進歩がもたらされることもあります。個人の成長だけでなく組織全体の進歩を促進する有効な手段と言えるでしょう。

教育プログラムの設計

教育プログラムを設計する際には、最初にその目標を明確に定義することが重要です。目標は、スキルの向上、能力の開発、新規プロジェクトへの準備など、具体的かつ達成可能であるべきです。さらに企業全体のビジョンや目標に合わせて調整することで、個々の成長が組織全体の成功につながる構造をつくることができます。

具体的な設計方法としては、「ADDIEモデル」が参考になります。それは、分析(Analyze)、設計(Design)、開発(Develop)、実施(Implement)、評価(Evaluate)の5段階で進行します。それぞれの段階で必要な要素を検討し整理し実施することで、受講者に最大の効果をもたらし組織全体の成長に寄与する教育プログラムを設計できます。

結果の評価と改善

教育プログラムの結果評価と改善は、その効果を確認し必要な調整を行う重要なプロセスです。目標とする成果が達成されているか客観的に判断するための評価基準や方法を設定しそれに基づいてデータ収集と分析を行うことが必要です。

たとえば研修後の従業員のパフォーマンス向上や、業務への適用度などを確認します。また参加者からのフィードバックも重要な評価の一部です。これらの評価結果は、プログラムの内容や方法を改善するための貴重な情報源となります。

結果の評価と改善のサイクルを繰り返すことで、教育プログラムは継続的に向上しより効果的な人材育成を実現します。

マネジメントに焦点を当てた上司の役割

続いて、マネジメントに焦点を当てた上司の役割について解説します。以下の点があります。

  • チームの目標設定
  • パフォーマンス管理
  • リソースの適切な配分
  • プロジェクトの進捗管理
  • チームビルディング

1つずつ見ていきましょう。

チームの目標設定

チームの目標設定は、マネジメントの重要な役割の一つです。共通の目標を設定することでメンバー同士が協力し合い、一致団結して業務に取り組むことが可能になります。そのため、目標設定は明確かつ達成可能なものであることが重要です。

具体的には、SMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)に基づいて設定します。それぞれ、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性(Relevant)、時間制限(Time-bound)を意味します。

企業の中には、この原則に基づいてチームの目標を設定しその達成度を定期的に評価、フィードバックすることで成果を上げているところもあります。

パフォーマンス管理

パフォーマンス管理は、上司が社員の働きを評価しその結果に基づいてフィードバックを提供し改善を促す役割を担います。最も一般的な方法は、定期的なパフォーマンスレビューを行うことです。これにより社員は自身の仕事の質と量、スキルの発展、職務へのコミットメントなどを判断する基準を得ます。

リソースの適切な配分

マネジメントにおけるリソースの適切な配分は、プロジェクトの成功に直結します。リソースとは、チームメンバーの時間やスキル、会社の財務や物資などを指します。

まずプロジェクトの目標と期限を明確にし、それに応じて個々のタスクをリストアップします。その上で、各タスクがどれだけのリソースを必要とするか評価し、リソースが足りていない場合は再配分を検討します。

ここで重要なのは、リソースの限りがある中で「どのタスクにどの程度のリソースを割り当てるか」を最適化することです。これは全体の効率性を高め、無駄を排除します。

プロジェクトの進捗管理

プロジェクトの進捗管理はマネジメントの重要な課題であり、タスクの完了状況や進行具合を把握し必要に応じて対策を講じます。上司としては、各メンバーが担当するタスクの進行状況を定期的にチェックし、問題が発生した場合はその原因を解明し適切な対策を立てることが求められます。

このようなプロジェクトの進捗管理を行うことで、計画通りにプロジェクトを進めることが可能となり結果的には会社全体の生産性向上に寄与します。

チームビルディング

チームビルディングは、マネジメントの重要な要素であり、個々のメンバーが一体となって取り組む力を高める手法です。また個々のスキルや意見を尊重しそれを最大限に活用する環境をつくることでメンバーのモチベーションを高め、全員が目標達成に向けて協力する意識を醸成します。

上司としては、定期的にフェースツーフェースの時間を設け、メンバー一人ひとりの声を聞くことが大切です。

教育とマネジメントのバランスの取り方

最後に、教育とマネジメントのバランスの取り方について解説します。以下の側面からまとめます。

  • 適切なタイミングでの教育提供
  • 柔軟なマネジメントスタイルの適用
  • 成功事例の共有

順に見ていきましょう。

適切なタイミングでの教育提供

適切なタイミングでの教育提供は、教育とマネジメントのバランスをとるための重要な要素です。タイミングは個々の状況によりますが、一般的には新しいスキルや知識が必要となる前、あるいは新しいプロジェクトや役職に就く前が最適です。しかしこれが常に可能とは限らず、従業員自身が何らかの課題に直面したときや能力開発のニーズがあると認識したときに、適切な教育を提供することも求められます。

このように、適切なタイミングで教育を提供することで従業員の能力開発と組織のパフォーマンス向上に寄与することができます。

柔軟なマネジメントスタイルの適用

効果的なマネジメントには柔軟性が求められます。

チームメンバーそれぞれの個性や能力を理解し、彼らが最大限にパフォーマンスを発揮できるような環境を作り出すことが求められます。そのためには、マネジメントスタイルを固定せず、状況や目的に応じて変化させる柔軟性が必要です。

たとえば新人や未熟なメンバーを指導する際には、指示型のマネジメントを適用することで安心感を与え、正しい道筋を示すことができます。一方、経験豊富なメンバーに対しては、参加型のマネジメントを行い、自己判断と責任感を育てることで自主性と創造力を引き出すことができるでしょう。

成功事例の共有

成功事例の共有は教育とマネジメントのバランスを保つために重要な要素です。成功事例を共有することで同じ目標に向かうチーム全体が学び、参考にすることができます。また具体的な成功例を共有することで目標達成の道のりが具体的にイメージしやすくなり、モチベーション向上にも寄与します。

このように、成功事例を共有することでチーム全体の学習や進歩に寄与します。

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鈴原

東京ITスクール 鈴原

講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。趣味は筋トレと映画鑑賞。


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