OJT研修を効果的に!実施のポイントと相乗効果を生む方法とは
公開日:2024年03⽉26⽇最終更新日:2024年03⽉26⽇
実践的な技術を身につけるのに有効とされている研修方法がOJTです。しかしOJTは現場ならではのメリットも多数ありますが、現場がゆえのデメリットもあります。適切な方法で行うことが大切です。
この記事では、OJT研修についてまとめます。この記事を読むことで、以下の点が理解できるようになります。
・OJT研修の基礎知識
・OJT研修の実施方法
・OJT研修の課題と展望
・OJT研修で相乗効果を得るために
効果的なOJT研修を行うために必要な情報をまとめてあります。人事や総務などの担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
OJT研修の基礎知識
OJT(On-The-Job Training)研修は、職場で実際に仕事をしながらスキルを身につける教育訓練方法です。企業が自社の人材を育成するための重要な一環であり、従業員のスキルアップと業務効率化を目指すために広く活用されています。
具体的な業務の遂行を通じ、新入社員や職種を変えた従業員が必要な知識や技術・マインドを獲得できるメソッドとして多くの企業で導入されています。
ここではOJT研修の基礎的な知識についてまとめます。以下の3つの面について解説します。
・OJT研修の目的
・OJT研修のメリット
・OJT研修のデメリット
順に見ていきましょう。
OJT研修の目的
OJT研修の目的は、職場で業務をしながら学ぶことで社員一人ひとりが実践的なスキルを身につけて能力開発を行うことです。また、企業独自の業務フローや企業文化を直接学べるという点も大きな特長です。
いずれの点についても、具体的・実践的な知識やスキルが習得できるという点で共通しており、それがOJT研修ならではのメリットでありその実現が目的だと言えます。
そして個々の能力開発は、組織全体の生産性向上につながります。最終的にはそれが目的だと言えます。
OJT研修のメリット
OJT研修のメリットは多岐に渡ります。主なメリットとしては次の点が挙げられます。
・業務に即したスキルを習得できる
・効率的な人材育成が可能
・適切なフィードバックを通じて即座に自己改善ができる
・メンターとなる社員のスキルアップやリーダーシップの向上も見込める
OJT研修は実際の業務環境での学習を前提にしているため、具体的な業務スキルを身につけるのに最適です。また新入社員が先輩社員から直接指導を受けることで、スキル習得のスピードが上がります。
OJT研修のデメリット
OJT研修のデメリットには以下の点が挙げられます。
・トレーナーのスキルに強く依存する
・個別指導が基本であるため、一度に多くの人を対象とすることが難しい
・トレーナーが業務から離れる時間が必要で、トレーナーの業務が滞る可能性がある
・一対一の指導が基本で、研修生同士の情報共有が難しくなる可能性がある
OJT研修はトレーナーに依存しているため、トレーナーが教えるスキルや知識が不足しているとそれが直接研修の質に影響を与えます。またまとめて研修ができないため、研修費用が高くなる可能性があります。
トレーナーの業務が滞る可能性があるほか、逆にトレーナーが業務を離れられない場合は研修の方が手薄になるかもしれません。
これらのデメリットを理解し対策を立てることで、より効果的なOJT研修が実施できます。
OJT研修の実施方法
OJT研修の実施方法は、成功へと導くためには3つの重要なステップがあります。
・準備段階
・実施段階
・フォローアップ
それぞれ解説していきます。
準備段階
OJT研修を成功に導くためには、適切な準備が不可欠です。準備段階では、次の2点を行います。
・トレーナーの選定
・研修計画の立案
具体的に見ていきましょう。
トレーナーの選定
OJT研修の準備段階で一番重要なのが、トレーナーの選定です。成功するOJT研修には、経験豊富で適切な知識を持つトレーナーが必要不可欠です。トレーナーは、研修生の成長を促進する役割を果たすとともに、研修生と一緒に問題を解決するパートナーとなるべきです。
また、トレーナーはコミュニケーション能力が高く、指導力、そしてリーダーシップを持つ人物であることが求められます。全体的な研修計画を立て、研修生の理解度を確認し、必要に応じてフィードバックを提供する能力が必要です。このようなトレーナーの選定は、研修の成功を大きく左右します。
研修計画の立案
研修計画の立案は、効果的なOJT研修を行うための重要な一歩です。具体的には、以下の手順で行います。
まず初めに行うのは、研修の目的の明確な設定です。これにより、研修が何を達成すべきかを明確にし、フィードバックと評価の基準を設けることができます。
次に、対象となる社員の現状のスキルや知識、必要とされるスキルを評価し、改善が必要な領域を特定します。これは、研修が具体的に何に焦点を当てるべきかが明らかにするためです。
最後に、これらの情報をもとに研修の内容とスケジュールを作り、どのようなトレーニングをどのタイミングで行うかを決定します。
このような方法で、OJT研修が社員のスキルアップと組織の目標達成に有効に寄与するように計画することが重要です。
実施段階
次に、実施段階についてまとめます。次の2点に分けて説明します。
・実践的なトレーニング
・フィードバックの重要性
順に見ていきましょう。
実践的なトレーニング
実践的なトレーニングは、従業員が実際の仕事場面で求められるスキルを習得することを目的としています。具体的な業務を通じて、新入社員は業務遂行能力、問題解決能力など必要とされるスキルを身に付けることができます。
ただし、現場での実践的なトレーニングは、新入社員の能力や経験によって内容を柔軟に変えたり、トレーニングの進行速度を調整するなど、適切な指導が必要です。
フィードバックの重要性
OJT研修におけるフィードバックは、研修参加者が学んだ知識や技術を適切に活用しているか、またその結果を正確に理解しているか確認するための手段です。具体的には、研修後、トレーナーから参加者に対して結果に基づく評価とアドバイスを行うことで、参加者の意識向上やモチベーション維持に繋がります。
なお、フィードバックは、細かな点まで具体的かつ明確に示し、参加者が自身の強みと弱点を理解しやすいようにすることが求められます。
フォローアップ
最後のステップはフォローアップです。以下の2点について解説します。
・研修成果の評価
・継続的なサポート
それぞれについて見ていきます。
研修成果の評価
OJT研修の成果を評価するためには、具体的で明確な指標を設定することが重要です。これには、習得スキルの具体性、職務遂行能力の向上、業績への影響などが含まれます。
さらに、研修後に従業員が新たな知識やスキルをどの程度活用できているか監視することも必要です。このような評価は、研修の有効性を確認するとともに、改善の余地を探るための貴重な情報を提供します。
継続的なサポート
OJT研修のフォローアップとして重要なのが「継続的なサポート」です。このサポートがなければ、研修後のスキル定着や知識の応用は難しいと言えます。継続的なサポートは主に、研修後も定期的にフォローアップを行い、一人ひとりの成長状況を確認し、問題点や改善点を指摘し、助言を行うという形で進められます。
実際の業務に応用できているか、スキルは定着しているか、さらなる向上のために何が必要かなど、研修生自身が気づきにくい部分を、経験豊富なトレーナーが的確にフィードバックします。これにより、研修生は自己の成長を客観的に理解し、自己改善に繋げていけます。
OJT研修の課題と展望
メリットの多いOJT研修ですが、適切な運用のためには課題も認識しておく必要があります。ここでは次の3点について解説します。
・現代の労働環境における課題
・技術の進化とOJT研修
・今後のOJT研修の可能性
順に見ていきましょう。
現代の労働環境における課題
現代の労働環境は多様性が求められ、新しい技術や知識が日々更新される高速な世界です。そのため、OJT研修の効果を最大限に引き出すためには、変化に柔軟に対応できる体制作りが必要となります。
具体的な課題としては、1つ目に多様なスキルを持つ労働者が増え、その教育や指導方法が従来とは違う点があります。2つ目には、新技術の導入によるスキルギャップが生まれ、それを埋めるための研修が必要となる点です。
これらの課題への対応には、トレーナー自身が進化する環境に対応する知識やスキル、そして柔軟な思考が必要となります。新しい時代の課題に立ち向かうためには、OJT研修の進化とイノベーションが求められます。
技術の進化とOJT研修
現代の技術進化は、OJT研修にも大きな影響を与えています。先進技術の導入により、効果的な研修実施が可能になり、さらには研修の質自体も向上しています。
例えば、VRやARの技術を利用することで、現場の状況を再現した研修が可能になり、受講者は具体的な経験を通じて学びを深めることができます。従来のリアル世界でのOJTではありませんが、バーチャルなOJT研修と言えるでしょう。また、AIを用いた研修システムの導入により、個々の受講者の学習進捗や理解度を把握することができ、よりパーソナライズされた研修の提供が可能となっています。
しかしながら、このテクノロジーの進化は特定のスキルセットを持つトレーナーを必要とし、またその導入にはコストが伴います。企業は、技術の導入による利益とコストのバランスを常に考慮しながら、最適な研修方法を見つけるための努力を続けていかなければなりません。
今後のOJT研修の可能性
OJT研修の未来性について考えると、AIやVRといった先端技術の活用が注目されます。AIを用いれば、個々の研修生に合わせた柔軟なスキル向上プログラムの提供が可能になるでしょう。またVRを利用すれば現実に近い環境での訓練が行え、より実践的なスキルを磨くことが期待できます。
さらにリモート研修の需要増加に伴い、オンライン上での効果的なOJT研修手法の開発も進むことでしょう。これらの技術が組み込まれたOJT研修は、従来の研修よりも効果的かつ効率的な人材育成を実現し、企業の競争力強化に貢献する可能性があります。
ただし、それらを実現するには、十分な技術の理解と適切な教育設計が必要であり、これからの研修担当者には新たなスキルが求められることでしょう。
OJT研修で相乗効果を得るために
OJT研修で相乗効果を得るためには、理論的な知識の習得とOJTの実践的な学習を組み合わせることが重要です。効率的に知識を学び、OJT研修でその知識を骨肉化させることが相乗効果を生みます。
とくに効果的なのは、社内外の専門家や外部機関と連携してより専門的な知識を取り入れることです。社内の知識だけでなく外部の最新のノウハウも組み合わせることで、更なるスキルアップを促進することができます。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。