UMLとは?初心者SEが押さえておきたい基礎知識と入門に最適の講座を紹介!
公開日:2024年03⽉05⽇最終更新日:2025年02⽉21⽇

システムエンジニア(SE)のキャリアを始める前に、初心者が理解し、習得しておかなければならない重要な技術の一つが、UML(統一モデリング言語)です。
しかし、UMLとは何か、どのように活用するのかを正しく理解し活用していくためには、初めての方でも理解しやすい入門的な教材が必要です。
この記事では、
①UMLの基礎知識
②その活用のメリット
③入門に最適な講座
上記の紹介を通じて、初心者でもすぐにUMLを学べ、活用できるような入門編の情報を提供します。この記事を読み終えるころには、あなたもUMLの基礎知識を身につけ、SEとしてのキャリアをスタートさせる準備が整うことでしょう。
UML入門:基礎知識
UML(Unified Modeling Language)は、システムの構造や振る舞いを視覚的に表現するための標準化されたモデリング言語です。
ソフトウェアエンジニアリングにおいて、UMLはソフトウェアの設計や開発のプロセスを整理し、無駄なく効率的に行うための最適なツールとして広く利用されています。
特に、大規模なソフトウェア開発プロジェクトでは、UMLを用いて各部分の機能やそれらがどのように連携するかを図示することで、プロジェクト全体の可視化と理解が深まります。
また、クラス図、ユースケース図、アクティビティ図などのさまざまな図を使ってシステムの様々な視点からモデリングすることができます。これにより、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、問題発生時の解決を迅速に行うことが可能となります。
UMLを学ぶことで、システム設計者や開発者は、システムの全体像を把握し、より具体的で効率的な開発プロセスを進めることができます。
UMLの概要
UML(Unified Modeling Language)とは、情報システムの設計や分析、ドキュメンテーションなどを視覚化するために使用される汎用モデリング言語です。また、システム開発のプロセスを標準化する目的も持っており、オブジェクト指向設計や分析のための表現力豊かな図表法を提供します。
UMLを効果的に活用することで、ソフトウェア開発者はシステムの構造や動作を明確に理解し、その設計を詳細に文書化することが可能となります。これにより、開発者間のコミュニケーションが改善され、機能の見直しや追加、修正も円滑に行えます。
UMLを活用する目的
UMLを活用する目的は大きく分けて3つあります。
1つ目は、ソフトウェアの設計と開発のプロセスを視覚的に表現し、開発チーム間のコミュニケーションを助けるためです。図を用いることで、設計や実装の詳細を明確に示すことが可能となり、各メンバーの理解を深めることができます。
2つ目は、システムの全体像を把握するためです。大規模なソフトウェア開発では、システム全体を一度に理解することは難しく、UMLを用いることで、システムの各部分と全体の関連性を理解する手助けとなります。
3つ目は、将来のシステム改善や拡張をスムーズに行うためのドキュメンテーションです。設計図としてのUMLは、現行のシステムの概要を明確に描き出すための強力なツールであり、将来的な改善や拡張を計画する際の参照資料となります。
これらを通じて、UMLは開発プロセスをより効率的で、理解しやすく、そして管理しやすいものにします。
UMLを活用するメリット
UMLを活用することで、ソフトウェア設計プロセスが格段にスムーズになります。
一つ目のメリットとして、UMLを用いることで複雑なソフトウェア設計問題を視覚化することができ、これが設計のおおよその概要を理解するのに役立ちます。また、全体の流れを把握することで、新規参加者もプロジェクトに容易に参加できるようになります。
二つ目のメリットはコミュニケーションの改善です。UML図は共通のビジュアル言語を提供し、チームメンバーやステークホルダーとの間での誤解を減らし、より効果的なコミュニケーションを可能にします。
最後に、UMLは設計のドキュメンテーションを容易にするため、今後のメンテナンスやリファクタリングが容易になります。これらのメリットを活かすことで、SEとしての生産性と効率性を大幅に向上させることが可能です。
UML構造図の種類
UML構造図の種類は、大きく分けて10種類存在します。それぞれが、システム開発の異なる局面や目的のために用いられ、開発プロセスを効率化し、わかりやすくする役割があります。
これらの構造図を理解し活用することで、システム設計の過程がより明確になり、把握しやすくなります。
クラス図
クラス図は、UMLの最も基本的であり、最も広く用いられる図の一つです。実際のシステムの設計を可視化し、システムが持つ構造やオブジェクト間の関連性を明確にする役割があります。
具体的には、クラス図はシステム内のクラス(オブジェクトの設計図みたいなもので、その特性や動作を定義します)、それらが持つ属性(クラスの特性を示すデータ)、そして操作(クラスが行う動作)を描きます。
さらに、これらクラス間の関連(例えば、あるクラスが他のクラスを利用したり、あるクラスが他のクラスを継承する等)を示すことにより、システム全体の概要をわかりやすく表現します。
このように、クラス図はシステム開発の初期段階で、設計者が現実の世界を抽象化し、システムで解決しようとする問題をモデリングする際の重要なツールとなります。
コンポーネント図
システム開発の過程において、その構成要素を整理し、機能を分割して可視化するために用いられるのがコンポーネント図です。
この図では、システム内の主要なコンポーネントとそれらの関連性が明示されるため、その全体像を把握しやすくなるとともに、一部のコンポーネントの変更が全体にどのような影響を及ぼすかも推測しやすくなります。
さらに、この図を活用することで、システム内の各コンポーネント(モジュール)がどのような機能を持ち、どのように相互作用しているのかを明らかにすることが可能となり、ソフトウェアのアーキテクチャを明確に表現することができます。
オブジェクト図とは
オブジェクト図は、システム内のオブジェクト間の関係性とその状態を具体的に描き出すUMLの一種です。クラス図がクラス間の関係性を表すのに対し、オブジェクト図は実行時のオブジェクト間の関係性を視覚化します。
これにより、「何」がシステム内で起こっているかだけでなく、「どのように」それが行われているかを具体的に捉えることができます。
また、オブジェクト図は特定の瞬間のシステムのスナップショットを提供するため、システムの動的な挙動を理解することが可能になります。
これはシステム開発において重要な洞察を提供し、エラーの特定やパフォーマンスの最適化に役立つため、あらゆるSEが理解しておくべき内容と言えるでしょう。
アクティビティ図
アクティビティ図は、とあるプロセスの流れを視覚的に表現するための図です。一つの行動から次の行動への移行を矢印で示し、どの行動が先に行われ、どの行動が後に行われるのかを明確にします。
この図を使うことで、あるプロセスを遂行するための段取りや、その中での各行動の関連性、それぞれの行動の順番や、条件分岐などが一目で理解できます。このため、プロセスの設計段階や検討段階で大変有効に活用できます。
ただし、アクティビティ図はプロセスの流れを表現するためのものであり、オブジェクト間の関係性やシステム全体の構造を明らかにするものではありません。
シーケンス図
シーケンス図はUML構造図の一種で、オブジェクト間のインタラクションを時間顺序に沿って表現するための図です。これからのシステム開発で非常に重要な役割を果たします。
シーケンス図は、オブジェクトがメッセージを送受信する順序を示すため、システム内でのプロセスフローを理解するのに役立ちます。
つまり、システム内で何が起きているのか、どのオブジェクトが関与しているのか、そしてそれらがどのように相互作用しているのかを視覚的に表現することが可能になります。
これにより、設計者や開発者がシステムの動作を把握しやすくなります。また、シーケンス図によって、システムの振る舞いを効果的に文書化でき、他のチームメンバーやステークホルダーとのコミュニケーションがスムーズになります。
これが、シーケンス図がUMLモデリングにおいて重要な位置を占める理由です。
ユースケース図
ユースケース図は、UMLの重要な図の一種で、システムの動作に関連する機能を視覚的に表現します。具体的には、システムとその利用者(アクター)との間で行われるインタラクションを明示しています。
ユースケース図は、要件収集や要件定義の段階で用いられることが多く、システムが行うべきタスクやサービス、そしてそれらがどのような関係者と関わるのかを理解するのに役立ちます。
また、ユースケース図は、顧客やクライアントに対してシステムの全体像を明確に伝えるのにも大いに利用されます。
各ユースケースは、システムが達成すべき特定の目標を示し、これらはアクター(システムの利用者や他のシステム)との相互作用を通じて達成されます。
コミュニケーション図
コミュニケーション図は、システムのオブジェクト間の関連性と相互作用を可視化するためのUML図です。
この図を使用することで、システム内の各オブジェクトがどのように情報を交換し、全体としてどのように動作するのかを簡潔に表現することが可能となります。
特に、複雑なシステムの各部分の間で発生する通信の流れを理解する際に有用です。また、オブジェクトが時間と共にどのように相互作用するのかを示すため、プロセスの流れやタイミングの把握にも役立ちます。
この図は一見複雑に見えますが、一度理解してしまえばシステム設計における強力なツールとなります。
ステートマシン図
ステートマシン図は、システムやオブジェクトなどの動作を表現するのに最適なUML図であり、特定の状態とその遷移を図示します。
具体的には、オブジェクトがある状態から別の状態へ遷移する際の条件やイベントを明確に示す役割があります。例えば、オンラインショッピングサイトにおける注文プロセス(カートに追加、購入手続き、注文確認、配送)などは、ステートマシン図で明確に表現することができます。
ステートマシン図を学ぶことで、システムの動作を効率的に理解し、それを元に設計や開発を進めることが可能になります。
初心者SEにとって、ステートマシン図はシステムが具体的に何をするのか、どのようなプロセスを経るのかを視覚的に理解するための重要なツールとなります。
配置図
配置図は、システムの物理的な構造の視覚化に使われ、ハードウェアのリソースとソフトウェアのコンポーネントがどのように関連しているかを示します。
具体的には、配置図はプロセッサ、ネットワーク、デバイスなどのハードウェア要素と、それらを使って実行されるソフトウェア要素との関係を示す図です。これにより、システムのパフォーマンス特性やシステムを通過するデータの流れ、システム内の各部分がどのように相互作用するかなどを理解するのに役立ちます。
システムの概念設計フェーズで作成されることが多く、システムの物理的な配置や通信の経路を明確にすることで、システム全体の理解を深め、設計や開発のプロセスを補助します。
パッケージ図
パッケージ図は、システムの全体的な構造を理解するための図で、クラスやサブシステムなどの要素をまとめてグループ化したパッケージと、それらのパッケージ間の関連や依存関係を視覚化します。
この図を使用すると、大規模なシステムでもその構造を簡単に把握でき、特に複数の開発チームが関与する際に各チームの作業範囲や関連性を明確に示すのに有用です。また、システムの再利用性や保守性を向上させるための便利なツールとしても利用されます。
パッケージ図は、システム設計の初期段階で利用され、全体像をつかみやすくするために重要となります。
UMLについて学ぶには
UMLを学ぶためにはまず、基本概念からスタートしましょう。UMLの基本的な図や記号の理解を深め、それぞれが何を示すのか、どのように使われるのかを学びます。
次に、実際のケーススタディを元にシステムモデリングを行い、理論を実践につなげていきます。ネット上には無料で使えるUMLツールもありますので、これを使って自身で図を描いたり、既存の図を解析したりしてみると良いでしょう。また、UMLに関する書籍やオンラインコースも多数存在します。
特に初心者におすすめなのは、ゼロから学べる入門書、または視覚的に学べる動画教材です。これらを活用しながら、段階的に複雑なモデリングに挑戦していくことで、UMLの理解を深めることができます。
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UMLの知識・スキルを身につけてSEとしてのキャリアをスタートさせよう!
UMLの知識とスキルを身につけることで、システムエンジニアとしてのキャリアを有利に進めることができます。システムの設計や開発にUMLを活用することで、より効率的かつ精確なモデリングが可能となり、プロジェクトの成功に直結します。
また、UMLは広く認識されている標準的な言語であり、この技術を身につけることで多様な開発環境やプロジェクトに対応する能力が向上します。
さらに、UMLの知識を活用すれば、自身の開発プロセスを第三者に対して明確に伝えることができ、コミュニケーション力も向上します。これらの技術を駆使して、あなたのSEキャリアを次のレベルに引き上げましょう。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
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