研修を現場で活かす方法とは?研修転移のすすめ
公開日:2024年04⽉12⽇最終更新日:2024年04⽉12⽇
研修を現場で活かすことは大切ですが、両者が乖離してしまっている例も多く見られます。御社でも「理屈と勉強は違う」というようなあきらめや先入観が広がっていないでしょうか。この記事では、研修を現場で活かす方法について解説します。具体的には、以下の内容を理解できるようになります。
・研修を現場で活かす「研修転移」とは
・研修実施のポイント
・現場での活用と実践
・研修後のサポートとフォローアップ
企業の研修担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
研修を現場で活かす「研修転移」とは
「研修転移」とは、研修で得た知識やスキルを実際の業務に活かすことです。ただ実際のところ、研修後も変わらない職場の状況や研修内容を活用する機会の不足などが課題となることが多くあります。研修転移を実現するためには、研修の企画段階から実施、フォローアップに至るまでを一貫した流れとして考えることが重要です。
研修の企画と準備
まず、研修転移のための研修をどのように企画・準備するかについてまとめます。以下の手順で行います。
- 現場のニーズのヒアリング
- 参加者選抜のポイント
- 参加者のニーズのヒアリング
- 適切な研修形式の選択
- 効果的な研修のための環境づくり
順に見ていきましょう。
現場のニーズのヒアリング
研修転移を円滑に進めるためには、まず現場のニーズをきちんと把握することが必要です。具体的な方法としては、一対一の面談やワークショップ形式の会議を繰り返し行い、現場で直面している課題や必要とされるスキルを明確にしましょう。また、従業員からの匿名のフィードバックやアンケートを活用することも有効です。
このように現場の声を研修計画に反映させることで、効果的な研修転移を実現することが可能となります。
参加者選抜のポイント
研修の質を左右する重要な要素の一つが参加者選抜です。目的や目標に合った参加者の選抜が、研修の成功を大いに左右します。
選抜のポイントとしては、まず、参加者が研修の内容に興味や関心を持つことが重要です。研修のテーマや目標に関連する業務に従事する、あるいは将来そのような業務を担当する可能性のある人材を対象にすると良いでしょう。
また一定以上のレベルを求められる場合は、参加者の基礎知識やスキルを確認することも大切です。次に、参加者の研修への意欲も重要な選抜基準です。自己啓発の意欲が高い人材や、新たな知識やスキルを習得して業務に活かしたいという意識の高い人材を選抜すると、研修の効果が高まります。
参加者のニーズのヒアリング
研修を企画する際には、参加者のニーズを的確に把握することが不可欠です。これにより、研修が実践的なスキル向上や業務改善に直結させることができます。
具体的なヒアリング手法としては、直接の面談やアンケート調査が有効です。面談では、参加者が日々抱えている課題や改善したい点を具体的に把握することが可能です。一方アンケート調査では、集団全体の合意を見つけ出すことができます。
参加者自身が研修に何を期待しているのか、どのようなスキルを身につけたいのかを理解することで、適切な研修プログラムを企画し、効果的な研修転移を促進することが可能となります。
適切な研修形式の選択
研修の目的や参加者のニーズに合わせて最も適した形式を選択することで、参加者の理解を深め、現場での活用を促すことが可能となります。
例えば新入社員向けの基礎技術研修なら、一方的な講義スタイルよりも実技を交えたワークショップ形式が効果的です。一方マネジメント層向けには、ケーススタディや角度を変えた議論を行うロールプレイ形式を取り入れると良いでしょう。
研修形式の選択は、研修の成果を左右します。研修目的に対して最適な方法を選び、現場での活用を最大化しましょう。
効果的な研修のための環境づくり
効果的な研修を実現するために、適切な研修環境の構築が欠かせません。まず、学習意欲を引き出すための落ち着いた雰囲気が大切です。これには静かな環境と適度な広さを有する研修場所の確保、設備が整っていることが必要です。さらに、参加者が相互に意見交換を行いやすいレイアウトに配慮することもポイントとなります。
次に、学びやすさを追求した支援体制の整備も重要です。具体的には、専門的なスキルを持つ講師の配置や、何か問題があった際に対応可能なサポートスタッフの準備が必須です。この他にも、研修内容に応じた教材や専門書の用意、必要に応じたITツールの提供などが考えられます。
これらの環境作りを通じて、研修はただの一方的な知識の伝達でなく、相互の学びや発見、問題解決のための場として機能します。研修環境の整備は、参加者一人ひとりが主体的に学べるフィールドを提供し、研修転移を促進する重要な要素です。
研修実施のポイント
次に、研修を実施する段階でのポイントについて解説します。以下の点が挙げられます。
・実践的な内容
・能動的に取り組む仕掛け作り
・研修への動機付け
1つずつ見ていきましょう。
実践的な内容
実践的な内容とは、参加者が研修で学んだ知識や技術を現場で即座に活用可能な形で提供できる内容のことです。これには、業界や職場独特の課題解決を目指す内容設計や、具体的な事例を元にしたシミュレーションなどが含まれます。
例えば商社での研修では、海外取引の法律や習慣についての理論だけでなく、実際の取引の事例をもとにしたロールプレイを行います。これにより、研修参加者は自分の業務に直結した形で学び、理論を実際の問題解決に活用する力を養うことができます。
能動的に取り組む仕掛け作り
参加者が自ら能動的・積極的に学習に参加する環境を整えることで、長期的にスキルを定着させることが可能となります。そのためには、例えば参加者自身が課題や問題を発見し、解決策を模索する機会を設けることが有効です。また、研修中に作成したアウトプットを現場で実際に使用するなど、直ちに実務への反映を図る取り組みも推奨されます。
これらの仕掛けは、単なる知識のインプットではなく、自己啓発とスキルの実践を同時に促進します。
研修への動機付け
動機付けの方法は、参加者個々の意欲や関心、学習意識、目指す目標や現在のスキルレベルによって変わるため、一概には言えません。しかし、以下の実践的な手法が効果的だとされています。
・明確な目標設定
・期待値の明示
・自己効力感の醸成
まず「明確な目標設定」です。研修へ参加する目的や具体的なスキルを確認し、参加者自身がそれを理解し、納得できる目標を設定します。目標が明確であれば、その達成に向けた動機づけが強まります。
次に「期待値の明示」です。研修でどのようなことを学び、それが現場でどのように活かせるのかを具体的に示すことで、参加者の学習意欲を高めます。
そして最後に「自己効力感の醸成」です。参加者が自分自身の能力に自信を持ち、研修で身につけたスキルを現場で活用する自信が持てるよう、研修内外での成功体験を積む機会を設けます。
これらの手法を組み合わせることで、研修への動機付けを効果的に行うことが可能です。
現場での活用と実践
次に、現場での活用と実践について解説します。以下の側面からまとめます。
・実践への意識づけ
・現場での取り組み
・コミュニケーションの活性化
・成果測定とフィードバック
1つずつ見ていきましょう。
実践への意識づけ
研修の成果を現場での成果につなげるためには、受講者自身が研修で学んだことを現場に持っていく意識が不可欠です。
具体的には、研修で学んだスキルや知識をどのように現場で活用するかを研修参加者に予測させ、それを具体的行動計画に落とし込ませることが有効です。またその行動計画を定期的に確認し、研修後の行動変容を促進させることも重要となります。
現場での取り組み
現場での取り組みは、研修の成果を実際の業務に生かす重要なフェーズです。取り組みをリーディングするトップマネージメントのサポート体制が大切です。リーダーが研修の価値を理解し、現場での取り組みを推進する姿勢が明示されると、一体感を持って取り組むことが可能になります。
研修の企画段階で現場にヒアリングしておく目的は、現場の協力を得やすくするのもその1つです。ヒアリングを内容に反映させることで現場の利益に直結すると理解でき、現場も納得・理解しやすいからです。
コミュニケーションの活性化
研修参加者が現場で学んだことを活用するためには、コミュニケーションの活性化が不可欠です。実践への意識づけや指導者からのフィードバックだけでなく、参加者同士の交流や意見交換も重要な要素となります。これにより他の参加者の経験や視点を共有し、自身の理解を深めることが可能となります。
一方で現場でコミュニケーションが活性化するためには、組織全体での取り組みが必要です。具体的には、研修後も定期的な情報共有や研修の内容に関するディスカッションの機会を設けるなど、積極的なコミュニケーションを促す環境を整備することが求められます。これにより学んだことを現場で活かす意識が強まり、研修の効果を高めることが期待できます。
成果測定とフィードバック
研修の成果を測定しフィードバックを行うことは、研修が現場で活きるかどうかを判断する重要なステップです。
まず成果測定は研修内容の理解度や技能の向上を確認するためのもので、具体的にはテストやロールプレイ、プレゼンテーションなどが有効です。
フィードバックは、参加者が自己認識を深め必要な改善点を把握するための重要な手段です。良いフィードバックは具体的で、行動を矯正するための具体的な提案を含んでいます。また、フィードバックを受け取る参加者が自身の弱点を理解し、改善する意欲を持てるようポジティブな言葉遣いも重要なポイントとなります。
研修後のサポートとフォローアップ
最後に、研修後のサポートとフォローアップについてまとめます。以下の点が挙げられます。
・個別フォローアップの仕組み
・グループによる学びの共有
・継続的なスキルアップ支援
1つずつ見ていきましょう。
個別フォローアップの仕組み
研修後の個別フォローアップは、参加者が学んだ知識やスキルを現場で適用し成長を続けるために重要なステップです。これには、定期的なチェックイン、個別の再学習機会の提供、パーソナライズされたフィードバック提供などが含まれます。これらを仕組化し、研修で学んだことを現場の実務につなげます。
参加者の進捗状況や問題点を把握し必要なサポートや改善策を提案するために、フォローアップ時のコミュニケーションも重要です。
グループによる学びの共有
グループによる学びの共有は、研修の効果を高める重要な要素です。個々に得た知識や経験をグループで共有することは、新たな視点を得たり理解を深めたりするきっかけになります。また他のメンバーの取り組みを知ることで、自身の学習や実践の動機づけにもつながります。
継続的なスキルアップ支援
研修が終わった直後こそ、新たに得た知識やスキルを試す機会が多く、失敗を恐れずに挑戦することで感じたことや学びを深めることが可能です。しかし、そのためには組織としての支援が必要です。
支援方法の一つに、反省会やディスカッションの時間を設け、一人ひとりがどのように新たに得た知識やスキルを活用したのか共有する場を作ることがあります。こういった場を通して、他者の経験から学びを得ることも可能です。また、この時間を活用して、具体的なアクションプランを作成し、実践するためのサポートを行うことも重要です。
さらに、一人ひとりのスキルアップのためには、定期的にスキルのレベルチェックを行い、必要に応じて個別のフォローアップ研修を行うという取り組みも有効です。例えば多くの企業では年次研修や定期的なスキルチェックを活用して、社員一人ひとりのスキルレベルを確認し、必要に応じて個別の研修を提供しています。
これらの継続的なスキルアップ支援は、研修の効果を高めより深い学びを実現するために欠かせない取り組みです。組織全体で取り組むことで、一人ひとりの成長だけでなく、組織全体の成長にも寄与します。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。