レジリエンスとは?ストレスに負けないメンタルを身につける方法を解説
公開日:2023年11⽉08⽇最終更新日:2023年11⽉08⽇
学生から社会人になると、それまでとは大きく変わった環境の中で、メンタルを病んでしまう人も少なくありません。新入社員のメンタルケアに悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?
新入社員のメンタルケアを考える際に注目したいのが「レジリエンス」です。
レジリエンスを身につけることは、長期的に見て新入社員の働きやすさ向上・成長につながります。
この記事では、レジリエンスが低い人・高い人の特徴だけでなく、レジリエンスを高める重要性やその方法を解説します。
初めて「レジリエンス」という言葉を聞いた人だけでなく、どうすればレジリエンスを高められるのか悩んでいる人も、ぜひ参考にしてみてください。
レジリエンスとは?
新入社員のメンタルヘルスを考えるうえで、大切なキーワードが「レジリエンス」です。
レジリエンスとは、英語で「回復力」や「しなやかさ」を意味する単語で、メンタルヘルスの分野では「傷ついた心の回復力」や「しなやかな考え方」のような意味で使われます。
まずはレジリエンスについて詳しくみていきましょう。
新入社員の多くはレジリエンスが低い
学生から社会人になると様々なことが大きく変化します。なかには環境の変化がストレスになったり、逆境に押しつぶされてしまったりする人もいるでしょう。
新入社員は、基本的にレジリエンスがまだ高くありません。そのため、些細なことで心がポッキリ折れてしまい、メンタルを病んでしまうことが珍しくないと言われています。
レジリエンスの低さが退職の引き金になることもある
新入社員のレジリエンスの低さは、「3年目の退職」などに繋がることもあります。
どのような仕事であっても、逆境やストレスにさらされるのは避けられないものです。しかしレジリエンスの低い人が絶え間なくストレスや逆境にさらされていると、心はどんどん疲弊して、あるときポッキリと折れてしまいます。
それがきっかけで退職という選択をする新入社員も少なくありません。
せっかく教育した社員に退職されるのは、企業にとっても痛手です。それを防ぐには、入社後早い段階からレジリエンスを高める教育を行うことが重要です。
レジリエンスが低い人の特徴
ここからは、レジリエンスが低い人の特徴をみていきましょう。
次のような傾向がある人は、自分でメンタルのマネジメントをすることが苦手な傾向にあります。
もし新入社員に次のような特徴を持つ人がいれば、レジリエンスを高められるようできるだけ早めにフォロー・サポートをするとよいでしょう。
気持ちの切り替えがスムーズにできない
レジリエンスが低い人は、多くの場合気持ちの切り替えがスムーズにできません。
怒られたり、誰かに嫌なことを言われたりすると、そのときのネガティブな気持ちをいつまでも引きずってしまいます。
どれだけ引きずるかは個人差がありますが、ネガティブな気持ちをいつまでも引きずることで本来のパフォーマンスを発揮できなくなることもあります。それを防ぐには早期にレジリエンスを身につけ、スムーズに気持ちが切り替えられるようにすることが重要です。
特定の考え方に固執しやすい
レジリエンスが低い人は、特定の考え方に強いこだわりを持っていることが少なくありません。
「〇〇は※※でなければならない」という考えは、時に自分の首を絞めてしまいます。
考え方のこだわりは無意識であるものも多く、本人の経験に基づくものでもあるので、変えることは容易ではありません。
人にも自分にも厳しい
自分に厳しいだけなら「ストイックな人」で済みますが、他人にも厳しい場合は、少し注意が必要です。
自分だけでなく他人に対しても厳しい人は、多くの場合自分に自信がありません。
「こんな自分でもできることが、なぜ他の人はできないのだろう」という思いから、他人に厳しくなってしまっていることもあります。
一人で抱え込みやすい
一人で抱え込みやすいのも、レジリエンスが低い人の特徴です。
困りごとを抱えても人に相談できない・自分のキャパシティをオーバーする業務を任されても、他の人に「手伝ってほしい」と言えない人は、基本的に他人を信用していません。ある意味、人間不信に陥っているといえます。
人間不信はその人の過去の経験に原因があることも多いので、「信用してほしい」「任せてほしい」と何度伝えたとしても、本人の気持ちが変わらない限り、解消するのは難しいでしょう。
一人で抱え込みやすい人が気兼ねなく他人を頼れるような仕組みを作ることが重要です。
マイナスの面にばかり目を向ける
レジリエンスが低い人は、基本的に傷つくことや失敗することを恐れます。だからこそ、常に最悪のことを想定して行動していることが少なくありません。
ポジティブな人は「どうしてそんなにネガティブなことばかり考えているのだろう」と思うかもしれませんが、レジリエンスが低い人にとっては不意の衝撃え心が傷つかないようにするのに必要なことです。
挑戦することを恐れる
レジリエンスが低い人のなかには、極度の完璧主義者もいます。完璧主義の人にとって、少しでも失敗することは許せないことです。
そのような人は、往々にして挑戦することを恐れます。なぜなら、挑戦して失敗することは、自分にとって耐え難いものだからです。
100%成功が約束されているなら思い切って挑戦する人もいるかもしれませんが、多くの挑戦は失敗する可能性を多分に含んでいます。
失敗したとしても「挑戦した」という事実は変わらず、失敗から何かを学び取ることこそが成長には欠かせません。
しかし、レジリエンスが低い人は挑戦することを避けてしまうため、成長の機会が限られてしまいます。
レジリエンスが高い人の特徴
ここからは、レジリエンスが高い人の特徴を解説します。レジリエンスが高い人の特徴を知れば、レジリエンスを高めるヒントが見つかるかもしれません。
気持ちの切り替えが上手い
レジリエンスが高い人は、気持ちの切り替えが上手い傾向にあります。
怒られたり、何か気になることを言われたりしても長く引きずりません。「寝たら忘れる」という人もいるでしょう。
自分で意識的に気持ちを切り替えられるようになると、情緒が安定します。情緒が安定すれば、常に一定の質のパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。
多様な考え方を受け入れる柔軟性がある
多様な考え方を受け入れる柔軟性があるのも、レジリエンスが高い人の特徴です。
「〇〇は※※でなければならない」というこだわりを捨て、「そういう考え方もある」「□□さんはそう考えているのか」と多様な考え方を受け入れられるようになると、自分と他人の考え方の違いがそこまでストレスに感じられなくなります。
「自分は自分、他人は他人」と自他の境界の線引きがはっきりしているため、他人の考えや感情に振り回されにくいのです。
失敗に寛容
レジリエンスが高い人は、人の失敗に寛容です。誰かが失敗しても、そこからリカバリーする方法を考える余裕があります。
自分にも人にも厳しい人は、失敗の原因を探り、自分(ときには他人)を厳しく責め立ててしまいます。
しかし、それでは物事は前に進んでいきません。
失敗を受け入れる心の余裕を持つことは、自分にも他人にも優しくするのに必要不可欠です。
人と協力することを厭わない
どんな仕事でも、一人ですべてをこなすことはできません。レジリエンスが高い人は、一人で抱え込まず、必要に応じて人に頼む・相談するなど、協力することを厭わない傾向にあります。
人と上手く協力するためには、コミュニケーションスキルを磨くことが重要です。レジリエンスが高い人は、高いコミュニケーションスキルを有していることが少なくありません。
物事の良い面にも目を向ける
物事は多面体です。良い面もあれば悪い面もあります。レジリエンスが高い人は、物事の良い面にも目を向けています。
決して悪い面から目を背けているわけではありませんが、悪い面は悪い面として受け止め、良い面はきちんと評価するフラットな視点を持っていることが少なくありません。
失敗を恐れずに挑戦する勇気がある
上に挙げた「失敗に寛容」「物事の良い面にも目を向ける」という特徴を備えているため、積極的に挑戦するのもレジリエンスが高い人の特徴です。
たとえ失敗に終わったとしても「成功させるにはどうすればよいのか」「何が原因だったのか」を考えるため、挑戦の成否を問わず成長の機会を得ることができます。
レジリエンスを高める重要性
社会人として仕事をするうえで、レジリエンスは非常に重要なものです。
先天的なもの・性格によって高低が決まっているものというイメージもありますが、レジリエンスは後天的に高めることができます。
レジリエンスを高める重要性をみていきましょう。
心身共に健康に働き続けることができるようになる
レジリエンスを高めると、自分で自分の感情やメンタルをマネジメントできるようになります。
仕事をしていると、大きなストレスにさらされたり、思い通りに行かなかったりすることも少なくありません。
レジリエンスの低い人は、そういった環境では早々に潰れてしまいます。
しかし、レジリエンスを高めれば、精神的ひいては肉体的な健康を維持しやすくなるでしょう。
社会の変化にも対応できるようになる
近年はビジネスのグローバル化・デジタル化によって、社会が目まぐるしく変わっています。
人間は基本的に変化を嫌う生き物です。環境やシステムの変化は、大きなストレスになり得ます。
レジリエンスを高めれば、そのような状況でも常に質の高いパフォーマンスを発揮し続けることができるでしょう。
組織として目標達成しやすくなる
組織を構成するメンバーのレジリエンスが高まれば、組織として目標が達成しやすくなります。
現代では、ありとあらゆる企業が「変わること」を求められています。そのような状況において、失敗を恐れずに挑戦し、自らを変えていくことは、成功をつかむのに必要です。
メンバーひとりひとりのレジリエンスが高まれば、挑戦からイノベーションも起こりやすくなります。難しい目標にも恐れずに立ち向かえるようになるため、結果として組織の目標達成力が向上するでしょう。
レジリエンスを高める6つの方法
ここからは、レジリエンスを高める6つの方法を解説します。
自分で自分を認める・褒める癖をつける
レジリエンスが低い人は、往々にして自分に自信がなく、自己肯定感も低い傾向にあります。
レジリエンスを高めたいなら、まずは自分で自分を認める・褒める癖をつけましょう。
しかし自信がない人の場合「自分には褒めるところがない」と感じる人もいるかもしれません。
そのようなときは、毎日無理なく達成できる目標を設定し、それを達成すること習慣づけるのがおすすめです。
日記を書く・週に1回ジムに行くなど、どんな目標で構わないので「できる自分」を作ることからはじめてみてください。
物事の良い面に目を向けるよう意識する
物事には、良い面もあれば悪い面もあります。悪い面ばかりに目を向けがちですが、良い面も探してみましょう。
悪い面に思える事柄でも、味方を変えれば良い面に変わることも珍しくありません。
自分が受けた最初の印象で物事を判断するのではなく、違う視点から見ることを心がけてみましょう。
「自分ならできる」と自分の力を信じる
レジリエンスが低い人は、「自分は〇〇だからできない」「自分には無理」と自分の力を過小評価しがちです。しかし、時には根拠のない自信を持つことも必要です。
根拠のある自信は、根拠が崩れると自信も一緒に崩れてしまいます。
しかし、根拠のない自信は崩れません。
「失敗しても何とかなる!死ぬわけじゃない!」
「きっとうまくいくと思う!」
「自分ならできる気がする!」
といった根拠のない自信は、一歩踏み出す勇気をくれるでしょう。
気持ちを切り替えるスイッチを作る
気持ちの切り替えが苦手な人は、気持ちを切り替えるスイッチを作るのも良い方法です。
スイッチは、なんでもかまいません。手を叩く・コーヒーを飲む・氷を食べるなど、「これをしたら嫌なことを考えるのはやめる」というきっかけの行動を決めてみてください。
嫌なことは、忘れよう忘れようとすると、かえって頭の中に浮かんでしまうものです。
スイッチ行動をした後は、別のことを考える・趣味に没頭するなどするのもよいでしょう。
長期的な視点に立って考えるよう心がける
長期的な視点に立って物事を考えることも重要です。その時の印象で判断するのではなく、「どういうことなのか」「なぜこうなったのか」「この結果、どういうことが起こり得るのか」をじっくり考えてみてください。
その時は「最悪だ」と思う出来事でも、じっくり考えるとそこまで悪い物ではなかったということも少なくありません。
白黒思考・ゼロイチ思考をストップする
白か黒・ゼロかイチなど、「AでなければB」という思考に囚われていると、レジリエンスが低下してしまいます。
世の中の物事はほとんどが白か黒・ゼロかイチで判断できないグレーで曖昧なものです。
普段から白黒・ゼロイチ思考をするくせがある人は、物事を判断する前に「もしかしたら〇〇という可能性もあるかもしれない」と立ち止まって考えるクセを付けましょう。
レジリエンスを高めるのに役立つ研修
レジリエンスを高めるには、上で解説したような方法を試すのがおすすめです。
より理論的かつ効率的にレジリエンスを高めたいなら、東京ITスクールの「壁を乗り越えるヒト・そうでないヒトの違い講座」を受講してみましょう。
こちらの講座では、レジリエンスの考え方に加えストレスコーピングやアンガーマネジメントなど、社会人としてメンタルを健やかに保つうえで欠かせないノウハウを総合的に学んでいただけます。
講義はオンラインで受講できるため、PCとネット環境があれば受講する場所も選びません。
「逆境に弱く、すぐに心が折れてしまう」
「こだわりが強く、仕事しづらさ・生きにくさを感じている」
という人は、ぜひこの機会に受講をご検討ください。
心の柔軟性を高めて困難を乗り越えよう!
社会人として健康に働き続けるためには、逆境やストレスに負けない心の柔軟性を身につけることが重要です。
心の柔軟性を身につけるには、レジリエンスを高めることを意識しましょう。
心のレジリエンスを高めるには、自分自身を認め、自分に自信を持つことが重要です。
東京ITスクールでは、レジリエンスを高めるのに役立つ「壁を乗り越えるヒト・そうでないヒトの違い講座」以外にも様々な講座を開講しています。
興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。