【人材開発支援助成金特定訓練コース】最適な利用方法を徹底解説
公開日:2024年03⽉13⽇最終更新日:2024年03⽉19⽇
将来的にも労働力不足が続くと予測される現在、人材開発が企業にとって重要な課題となっています。その解決のために利用できる助成金に「人材開発支援助成金」があります。
この記事では、企業が人材開発を進めるための「人材開発支援助成金」のうち「特定訓練コース」について詳しく解説します。具体的には以下の点についてまとめます。
・人材開発支援助成金の特定訓練コースの概要
・支給プロセス・申請方法
・訓練コースの計画立案
・助成金の活用方法
研修で助成金を利用できないか検討中の企業のご担当の方はぜひお読みください。
人材開発支援助成金の特定訓練コースとは
人材開発支援助成金は厚生労働省から企業に対して提供される助成金制度の1つで、企業がより高度なスキルを持つ人材を育成するための支援を目指すものです。
この助成金は特定訓練コースと一般訓練コースに分かれており、特定訓練コースは訓練効果が高い訓練や実施方法が対象となっています。
具体的には、企業が自社で行う経営革新や技術革新に必要な人材を育成するための訓練コースの経費を一部助成します。求職者や社員に対する新たなスキルの習得や能力開発を通じて、企業の競争力強化に貢献することが目的です。
この制度を活用することで、企業は人材開発にかかるコストを軽減しつつ、経営革新や技術革新に向けた訓練を実施することができます。
助成金の目的と概要
この助成金は、国が産業の競争力強化や働き手の生活の質向上を目指して提供しています。さらに、新たな技術の普及や業種・業態の変化に対応した人材育成を推進することも目的の一つです。
これにより企業は、新しいビジネスチャンスを捉えたり業績改善に繋げたりすることが期待できます。また助成金を活用することで、社員のスキルアップやモチベーション向上を図ることも可能となります。
対象となる企業の条件
人材開発支援助成金特定訓練コースを受けるための企業条件は、次のように定義されています。
・中小企業であること
・研修を行うための労働者がいること
・研修を必要とする業務に従事する労働者を雇用していること
一定の規模を超える大企業は対象外となります。具体的な基準は、中小企業基本法等に基づく中小企業者であることです。労働者は全員が研修対象者である必要はなく、一部の労働者に限定することも可能です。
そのほか、助成金申請時には企業が具体的な訓練計画を作成する必要があり、計画の審査を受けなくてはなりません。
これらの条件を満たしていれば、人材開発支援助成金特定訓練コースを活用することが可能です。
助成金支給のプロセス
人材開発支援助成金の特定訓練コースで助成金の支給を受けるためには、企業が研修実施の前に届出を行い、実施後に申請を行います。適格と判断された訓練プログラムに対して国から補助が出るシステムです。流れは以下の通りです。
・訓練計画を作成し、実施の1か月前までに提出
・訓練コースの実施
・終了後2か月以内に支給申請書を提出
・認定されると、助成金が企業に支給
注意点としては、訓練計画の内容が具体的で、かつ適切な研修方法が採用されていることが求められることが挙げられます。
必要書類と申請方法
人材開発支援助成金の申請には、必要書類の用意が重要です。申請に関する書類は様式が決まっており、厚生労働省のサイトでダウンロードすることができます。なお添付書類も必要になりますが、そちらはとくに書式は決まっていません。
計画提出時に必要になる書類は次の通りです。
・人材開発支援助成金 訓練実施計画届
・年間職業能力開発計画
・訓練別の対象者一覧
・人材開発支援助成金 事前確認書
・企業の資本の額、出資の総額、企業全体の常時雇用する労働者数が分かる書類(登記簿謄本、会社案内など)
・訓練対象者が被保険者であること及び職務内容が確認できる書類(雇用契約書(写)など)
・Off-JTの実施内容等を確認するための書類
このほかにも、申請するコースによって必要な添付書類があります。
支給申請時に必要な書類は次の通りです。
・支給要件確認申立書
・支払方法・受取人住所届
・人材開発支援助成金 支給申請書
・賃金助成・OJT実施助成の内訳
・経費助成の内訳
・Off-JT実施状況報告書
このほかにも添付書類が多数必要です。事業内訓練か事業外訓練か、どの訓練コースかによって書類は異なります。
申請には時間と労力が必要ですが、正確な準備と手続きが求められます。申請方法や必要書類の詳細については、詳しくは労働局のホームページを参照するか、直接窓口に問い合わせることをおすすめします。
訓練コースの種類と特徴
人材開発支援助成金特定訓練コースには、多種多様な訓練コースが存在します。それぞれの種類には特徴と目的があるので、自社の状況と目標に応じて選択することが重要です。
【技術習得型の訓練コース】
専門的なスキルや技術を身につけることが目的で、新規事業を立ち上げる際や技術革新に対応するための人材を育てるために有効です。
【リーダーシップ育成型の訓練コース】
組織を率いるリーダーやマネージャーを育成することが目的です。これにより、社内のコミュニケーションの改善や組織力の強化を図ることができます。
【人材定着型の訓練コース】
社員のモチベーションアップや定着率向上を目指すコースです。働き方の多様化や離職率の問題に直面している企業にお勧めです。
これらのコースにはそれぞれ特性があり、企業の現状や目指す方向性によって最適なコースが異なります。助成金を活用する際は、自社の状況をしっかり把握した上で適切な訓練コースを選択することが大切です。
訓練コースの計画立案
訓練コースの計画立案は、以下の手順で行います。
1. 訓練の目的の明確な設定
2.受講対象者の選定基準の決定
3.訓練カリキュラムの組み立て
4.訓練実施期間の計画
以上のステップを踏むことで、企業は人材育成の戦略を具体的に形にすることができます。それぞれのステップについて解説していきます。
1. 訓練の目的設定
訓練の目的を設定する際には、まずは企業のビジョンと目標を確認しましょう。企業ビジョンに対応したスキルを強化することが、人材育成における最大の目的といえます。
具体的な訓練の目的としては、新規ビジネス進出に必要なスキルを獲得する、既存業務の効率化を図るための業務スキル向上などが考えられます。
また、社員のキャリア形成を支援するためのスキル獲得も有効な目的といえます。例えば、IT業界の企業では、最新技術の習得やプロジェクト管理スキルの向上などを訓練の目的とするケースが多く見られます。
これらの目的設定を通じて、具体的な訓練の内容やカリキュラムが明確になり、助成金を有効利用するための計画が立てやすくなります。
2. 受講対象者の選定基準
「受講対象者の選定基準」について考える際は、以下の視点が重要となります。
・スキルや役割の選定…企業の中長期的なビジョンと人材戦略をもとに選定し、訓練の対象となるスキルに直結させる
・社員の選定…社員本人の意欲やキャリアプラン、現在のスキルレベルなどを考慮し、スキルを身につけることで業績に貢献できるかどうか判断
・研修の選定…訓練の対象になる社員に合わせて選定。助成金の対象となる訓練には、新人や中途採用者、特定の役職や部署の社員が対象になることが多い
これらの視点で検討することで、助成金を適切に活用し、効果的な人材育成を進めることが可能となります。
3. 訓練カリキュラムの組み立て
訓練カリキュラムの組み立ては、特定訓練コースの中心部分と言えるでしょう。何をどのように学ぶかが、訓練の成果を大きく左右します。
まず、企業のビジョンや戦略に沿ったスキル・知識を明確に設定し、それを習得するための具体的な内容、手法を考えましょう。
また、研修の受講者が自身の成長を実感できるように、途中評価や最終評価を設けると効果的です。そうすることにより、参加者の学びが深まって実践力が向上します。
4. 訓練実施期間の計画
訓練実施期間の計画について考える際、まずは目標の達成に必要な時間を見積もることが重要です。訓練コースの目的やカリキュラム、受講対象者のスキルレベルなどを元に、理想的な学習期間を設定しましょう。
しかし、あまりに長すぎる期間は受講者のモチベーション低下を招く恐れもあるため、適度な長さに抑える工夫も必要です。
また、全ての訓練を一度に実施するのではなく、段階的に行うことで効率的な学習が可能になります。例えば、基礎知識の学習と実践研修を分けて時間を設けることは一つの方法です。
その他にも、訓練期間中の成果評価やフィードバックの時間も計画に含めると良いでしょう。これにより受講者が自身の成長を実感し、学習モチベーションを保つことができます。
助成金の期間や制限も考慮に入れ、最適な訓練スケジュールを組むことが求められます。計画の立案には時間と労力が必要ですが、これが良質な人材育成につながります。
助成金の活用方法
人材開発支援助成金を最大限活用するためには、その手法と適用のノウハウは貴重な情報源となります。以下の点について解説します。
・訓練コースへの予算配分の方法
・助成金申請の最適なタイミング
これらの内容を理解することで、助成金の適正な活用と運用、研修計画の策定に役立てることが可能となります。順に見ていきます。
訓練コースへの予算配分
訓練コースへの予算の配分は、教育内容、訓練期間、人数によって変わります。
まず、訓練の目的と必要なスキルを明確に設定し、それに対応する訓練カリキュラムを組み立てます。
次に、訓練受講者の数を検討します。人数が多ければ、訓練コースの費用も増えるので、適切な人数に設定することが重要となります。また、外部講師を活用する場合はその費用も考える必要があります。
これらを踏まえて訓練コースを組むように心がけてください。
助成金申請のタイミング
訓練実施計画届は、研修実施の1か月前までに提出しなければなりません。その前に計画を立てて必要書類を準備しなければならないので、時間の余裕をもって取り掛かりましょう。
また支給申請書は、研修が終了した日の翌日から2か月以内に提出しなければなりません。こちらも添付書類が多く取りまとめの作業は煩雑になるので、期限に間に合うよう効率よく準備しましょう。
助成金の利用が可能な東京ITスクールの研修サービス
人材開発支援助成金の特定訓練コースの活用は、企業の人材育成戦略に大きな力を与えます。
東京ITスクールでは、最新のIT技術やビジネススキルを身につけるプログラムが用意されており、助成金を活用することができる研修が多くあります。
助成金申請のサポート体制も整えていますので、申請書類の自動生成のほか、助成金に特化した専属のサポートチームが貴社の助成金活用のお手伝いをいたします。
助成金を活用することで、質の高い研修を低コストで実現することができ、結果として企業の人材育成と組織の競争力向上に寄与することとなるでしょう。
ご興味がおありの場合は、まずはご相談ください。わかりやすい資料もご用意しています。
講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。