研修における講師の重要性とは?選び方・育て方を解説
公開日:2024年03⽉26⽇最終更新日:2024年11⽉07⽇
「研修を受けたけれど、講師があまりよくなかった」とは、しばしば聞く話ではないでしょうか。確かに、研修において講師の果たす役割は非常に大きいものです。
この記事では、研修の成功に大いに寄与する講師の役割とその重要性、選び方や育成方法を詳しく解説します。
教育担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
研修における講師とは? 役割と重要性
研修における講師の役割は、受講者の業務知識と理解を深め、その成長を促進するための指導・サポートを行うことです。単に知識を伝えるだけではありません。講師は教育のプロフェッショナルであり、教材の準備、授業の進行、受講者の理解度の確認など、学びのプロセス全体に関わるため、仕事の内容は多岐にわたります。
また、講師は研修の成果を左右する重大な要素であり、その資質やスキルは研修の効果に大きな影響を及ぼします。言い換えれば、講師が優れていればいるほど、研修の効果も高まると言えます。
研修の講師は、自社の社員の中から選ぶ場合と外部の講師に依頼する場合とがありますが、いずれの場合も能力や適正を見極めたうえで、質の高い教育を行える人材を選ぶ必要があるでしょう。
質の高い講師の特性
成功する研修には質の高い講師が不可欠です。講師には以下のような特性が求められます。
・教える技術の高さ
・自身の経験や知識を効果的に伝える能力
・受講者を理解し導く能力
・研修の目的に対する深い理解と共有
これらの特性が備わっているとより効果的ですが、教える経験がまだ少なかったり、技術や知識が非常に高くともコミュニケーション面で不安な人材もいることでしょう。その場合にはトレーニングや経験を通じて磨くことも可能です。
企業のビジョンや経営方針などについては、自社の社員が講師となることが多いでしょう。そのような場合は、上記のポイントを意識して研修の前に必要な育成を行うとよいでしょう。話し方やマネジメント、リーダーシップ関連の講座を受けることも効果的です。
研修の種類に合わせた講師の選定
研修の種類としては、以下のような内容が代表的です。
・新入社員向けのオリエンテーション…基本的なビジネスマナーや会社のルール、理念を伝える
・マネジメント研修…リーダー職や管理職向けのビジネススキルを教える
・技術研修やIT研修…業務に直結する専門的な知識や技術を伝える
研修のテーマに合わせて適任を選びましょう。また、多様なテーマに対応できる講師であれば、社員教育を広く任せることもできるため、講師が継続的にスキルアップしていくことも大切です。
研修講師に適性のある人材を選ぶポイント
良い講師となれる人物を選ぶためには、どのような点に気を付けたらよいのでしょうか。ここからは、社内で講師を選出する際、適性のある人材を見極める上でのポイントを紹介します。
①研修内容に関する高い知識・技術・実績を持っているか
まず講師として、実施したい研修のテーマ・目的に関する充分な知識やスキルを持っているかどうかを確認します。
該当の分野に関する深い理解と技術、実務としてそれを活用してきた経験が充分にあってこそ、人に教えることが可能になります。これまでの実績ベースで、しっかりとチェックした上で判断しましょう。
②人に教えるための適性があるか
リーダーとして部下を指導してきた、定期的に人前で話す機会がある等の「人に伝える」経験があるかどうかも、適性を見極める重要なポイントのひとつです。自身の仕事の技量が高いことと、人に教える能力は別のものです。
自身の業務スキルや知識を、 わかりやすく伝えることができるか、自ら困っている人のケアをすることが出来るかなど、日ごろの業務の様子を観察して判断しましょう。
③話し方・人柄が好ましいものであるか
仕事のための研修とは言え、受講生も人間です。研修の内容にもよりますが、立ち振る舞いやわかりやすい話し方、好印象を与えうる人物であるほうが適していると言えるでしょう。
いくらスキルが高くとも、高圧的な態度や聞き取りづらい話し方、暗い表情の講師では、受講する側も内容の理解がしづらかったり、質問がしにくいなど、ストレスになってしまいかねません。コミュニケーションがスムーズに行える、スキルと人間性のバランスが取れた人物を選びたいところです。
④要望や変更に対し、柔軟に対応ができるか
研修の内容は、受講生の状況に応じてペースや内容に変更が出てきたり、予定通りにいかないことも多くあります。そうした中で上がってくる課題や要望に対して、柔軟に適切な判断ができそうな人物であるかをチェックしましょう。
受講生はレベルや特性も様々ですから、不測の事態もしばしば起こります。そうした中で講師がこだわりの強いタイプだったり、決められた通りの対応しかできない人物だと、進行が非常に困難になるケースが予想されます。無理な内容を強要することは良くありませんが、ある程度臨機応変に対応できるタイプの人材のほうが講師には適していると言えるでしょう。
以上のポイントを踏まえて、研修の内容に適した人物を選びましょう。
講師の育成と研修プログラムの開発
社内で研修を内製する場合には、講師となる人材を育成していくと共に、効果的な研修プログラムを開発していく必要があります。
ここからは、講師を育成する上で必要な内容と、研修プログラムの開発方法について触れていきます。
講師育成のために必要な学び
社内で研修講師を育成する場合には、まず高い実務能力と経験がベースにあった上で、それを効果的に伝えるための技術を養うことが重要です。
講師を育成する上で学ばせたい内容としては、以下のようなものが代表的です。
・ティーチングスキル・・・指導力のベースとなる部分。受講者に的確に内容を伝え、理解を促すための技術。
・コミュニケーションスキル・・・受講生との双方向のやり取り(質疑応答や理解を促す声かけ)、不明点のキャッチアップやフォロー
・プレゼンテーション、話し方のスキル・・・研修内容を興味深く、魅力的に解説できることで、受講者の集中力・モチベーションを高めるための技術
上記の内容に関するセミナーや研修を受講することで、講師としての振る舞いや教え方のノウハウ、受講生との接し方などが理解できるでしょう。
また、インプットだけでなくロールプレイングやワークなど、実践ベースでの学びが豊富に経験できる研修を選ぶこともポイントです。
理解を深め、指導力を上げるための実践とフィードバック
講師育成のための研修やセミナー等を受講した後は、その内容を深く落とし込んで実践し、ブラッシュアップしていくための試みが必要です。
会社として行いたい教育内容をもとに、講師自身に指導案を作成させ、実際の研修を想定した模擬講義を行ったり、それに対する適切なフィードバックをしましょう。実践とフィードバックを繰り返すことで、講師としての指導力も向上していきます。
効果的なプログラムの構築
講師の育成と同じくらい大切なのが、効果的な研修プログラムを構築することです。
・明確な目標設定…客観的な自己評価と目標達成への意識向上
・受講者の知識レベルやスキルに合わせた内容の設計…効果の最大化
・定期的な見直しと受講者のフィードバックや成果の反映…内容の改善・向上
教育したい内容、ボリューム、そのための適切な期間など、研修を回しながら結果を評価し、都度ブラッシュアップしていくことが大切です。
研修プログラムが上質なものであれば、講師もそれに伴って効果的な講義をしやすくなります。相乗効果で質を高めていくためにも、講師の教育とプログラムの構築は両輪で行いましょう。
研修の評価とフィードバック
研修への評価は、講師自身の技術向上だけでなく自己認識の深化や研修プログラムの改善にも役立ちます。研修を行ったら、必ず評価を行うようにしましょう。
効果的な評価方法としては、研修終了後のアンケート調査があります。参加者から直接フィードバックを受け取ることで、講師の長所・短所を明確に把握でき、それに対応した育成策を立てることが可能になります。プログラムの内容についても、内容やペースは理解しやすく適切なものであったか、改善が必要な部分はあるかなど、細かく聞き出せると良いでしょう。
また、受講者や担当講師との1on1ミーティングやコーチングも有効です。研修を振り返り、感想や気づきとともに、今後への改善点も明らかにできるでしょう。これらの評価やフィードバックを通じて、受講生も講師も継続的に成長し、研修の質を高めることができます。
講師育成と研修の内製化は、ハードルも多い
ここまで講師の育成方法、研修プログラムの構築について述べてきましたが、自社で全てを内製するには、膨大なリソースがかかるであろうこともおわかりいただけたと思います。多くの企業が社員教育に対して課題を抱えていますが、実現したい教育内容に対し、必要なリソースが充分にないことも多々あるでしょう。
社員研修を内製化する場合は、こうした状況を十分に把握した上で、無理のないよう体制を整えていく必要があります。非常に時間も労力もかかる作業ですが、中長期的な目線でじっくりと取り組むことができれば、自社に特化した深い学びと効果的な成長を実現することができるでしょう。
外部講師の活用とそのメリット
先に述べたように、社員研修のすべてを自社で内製するにはリソースも時間も膨大にかかります。
そこで、外部講師を活用することも、効果的な研修を行う上での有効な選択肢のひとつです。
メリット①:教育のプロフェッショナルによる質の高い講義
外部の講師を活用するメリットとしてはまず、教育のプロフェッショナルによる学びが得られる点です。社員教育に特化しているプロの講師に依頼することで、一から講師を育成する必要がなく、講義の質も担保されます。
実務のスキル・技術の研修は外部のプロに任せて、企業理念やオリエンテーションは社内でといった活用法もあります。
メリット②:教育のためのリソースがかからない
外部の講師に研修を任せることで、内製する場合に比べて教育のためのリソースを最小限に抑えることができます。
専門の教育機関であれば、カリキュラムも豊富に持っているため、自社の欲しいスキルに合わせて研修プログラムを組むことも可能です。通常業務に支障をきたすことなく研修を行うことができるため、
メリット③:社内にはないスキルや知識の研修も可能
研修を内製する場合には、基本的に社内に既にある技術・知識をベースにした内容になりますが、外部講師を活用すれば、今後の業務領域のために学ばせたい技術や最新のスキルなども学ぶことができます。
新たなビジネス領域を開拓していきたい場合や、今後力を入れていきたい業務などに合わせ、フレキシブルに研修内容を選択できます。
以上のように、外部講師を活用することも良い面が多くあります。併せて検討してみましょう。
まとめ:研修講師の育成方法・選び方のコツ
いかがでしたか?自社での講師育成と研修運営について解説してきました。
・研修講師となる人材は、適正ポイントを見極めて選ぶ
・講師の育成には、教えるスキルを高める学びと豊富な実践が必要
・内製が難しい場合は外部講師の活用も効果的
貴社にとって最もよい形で、実り多い社員研修が実施できるよう願っております。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。