研修導入で失敗しない!これだけは押さえておきたいポイント
公開日:2024年04⽉04⽇最終更新日:2024年04⽉04⽇
労働力の確保が難しい現在、社員の戦力化や定着のために重要な働きをするのが研修です。まだ研修を導入していない企業や、新しい種類の研修を導入しようという企業もあるのではないでしょうか。この記事では、研修を導入するときのポイントについて解説します。具体的には、以下の内容についてまとめます。
・研修導入のポイント
・研修実施の準備
・研修内容の詳細な構成
・研修実施における注意点
企業の研修担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
研修導入のポイント
研修導入のポイントには、具体的には6つの要素が存在します。
・研修の目的を明確にする
・研修の内容を決定する
・対象者のニーズを把握する
・効果的な研修方法を選択する
・実施計画を立てる
・講師やトレーナーを選定する
順に見ていきましょう。
研修の目的を明確にする
明確な研修の目的設定は、成功する研修導入の第一歩です。目的が曖昧だと研修の内容もあいまいになりがちで、参加者は何を学び何を得るべきか分からず、結果を出すことが難しくなります。具体的な目的を設定することで、研修が具体的な成果に結びつく道筋を示し、参加者のモチベーションを高めます。
一方企業側にとっては、目標設定が明確だと研修の成功を評価しやすくなります。たとえば、「リーダーシップ研修」の場合、その目的は「新たなプロジェクトリーダーがリーダーシップを発揮できるようにする」や、「現場のマネージャーがチームの生産性を上げる能力を身につける」など、具体的で達成可能なものにするべきです。
研修の内容を決定する
研修の内容を決定する際には、目的に合わせたテーマの選択や研修形式の設定が重要となります。また参加者のスキルレベルやニーズを考慮し、実務に活かせる具体的なスキルを身につけられる内容にすることが効果的です。
例えばリーダーシップ研修であれば、具体的なマネジメントスキルを身につけられるテーマとすることが求められます。また、研修形式も重要で、一方的な講義形式だけでなく、グループディスカッションやロールプレイを取り入れて、実践的な経験を得られるように工夫が必要です。
対象者のニーズを把握する
対象者のニーズを把握することは、研修の効果を最大化するための重要な要素です。一律の研修を行うのではなく、対象者のスキルレベル・モチベーション・学習スタイル等を理解し、それに適した内容と方法で研修を行うことが求められます。具体的には、まず対象者一人一人との面談やアンケートを活用して、個々の学習のニーズや目標を把握します。
例えば新人エンジニアであれば、基礎的なプログラミングスキルやチームでの開発経験を積みたいというニーズがあります。一方中堅エンジニアであれば、特定の技術領域のスキルアップや管理職へのステップアップを望んでいるかもしれません。これらのニーズを正確に把握することで、それぞれに合わせた効果的な研修が計画できます。
効果的な研修方法を選択する
効果的な研修方法を選択する際には、以下の3つの要素を考慮することが推奨されます。
・研修の形式: オンライン研修か対面研修か、またはハイブリッド型か
・実施スタイル: 基調講演、グループディスカッション、ケーススタディ、ロールプレイなど
・フィードバックの方法: 講師からの直接のフィードバックや同僚からのフィードバック、自己評価など
これらは研修の目的や参加者の能力レベルにより選択するとよいでしょう。
たとえば、新入社員向けの基礎知識研修なら対面の基調講演形式が適しているかもしれません。逆に経験豊富なエンジニア向けの新技術研修では、オンラインでのケーススタディ形式で深い洞察を得ることができます。
またフィードバック方法も重要です。直接的なフィードバックは即時的で具体的な改善が可能ですが、同僚からのフィードバックや自己評価も自己反省や視点の多様化を促し、より深い学びに繋がります。
研修方法の選択は研修の成功に直結するため、よく検討して選択しましょう。
実施計画を立てる
実施計画を立てる段階では、全体的なタイムラインを描き、研修の開始から終了までの流れを明確にします。具体的な研修スケジュールの設定、各セッションの時間配分、休憩時間の設定などが含まれます。
また、実施日、開始終了時間、場所もこの段階で決定しましょう。詳細は後述します。
講師やトレーナーを選定する
適切な講師を選ぶことで、効果的な研修が実現し、参加者の理解や学習効果を向上させることができます。講師の選定にあたっては、専門知識や経験、教育スキルを持っていることはもちろん、参加者との適切なコミュニケーション能力も重要なポイントとなります。
例えばITエンジニアの研修であれば、最新の技術知識を持ち実務経験が豊富な講師を選ぶことが必須となります。また講師がIT業界での最新事例を取り入れながら講演することで、参加者は自身の日常業務に活かせる知識を得ることができます。
研修の内容や目的に合わせて、講師やトレーナーの選定を行い、より効果的な研修を実現しましょう。
研修実施の準備
次に、研修実施の準備についてまとめます。以下の点について解説します。
・研修の日程を決定する
・必要な資料・設備の準備
・参加者への事前通知
・質問や不明点への対応
1つずつ見ていきましょう。
研修の日程を決定する
まず、研修の開催日程は講師や参加者の業務に支障をきたさないよう決定することが大切です。週末や祝日を利用する場合、参加者が自宅で学習できるオンライン研修を選択すると良いでしょう。ただし自由参加でない場合は給与の支払いが必要です。
また、研修の開始時間や終了時間も注意深く設定すると、参加者の集中力や体調を考慮した最適な学習環境を整えることが可能となります。例えば、業務終了後の夕方から研修を開始すると、参加者は一日の疲労感から集中力を欠く可能性があります。
必要な資料・設備の準備
まず、研修の内容に応じた教材や資料を準備する必要があります。これには、テキストブックやスライド、参考資料などが含まれます。また実践的な演習を行う場合は、必要なツールや器具を準備することも求められます。例えばプログラミングの研修では、各参加者が使用するPCやソフトウェアのインストールが必要となります。
設備についても忘れてはなりません。プロジェクターやホワイトボード、Wi-Fi環境など、研修を円滑に進行するための基本的な設備を揃えることが必要です。
参加者への事前通知
参加者への事前通知には、研修の目的、日時、場所、必要な持ち物などが明記されることが理想です。また事前に研修の内容を簡単に紹介し、参加者が事前学習を行えるよう配慮すると、研修当日の理解度が高まります。
例えば事前に参加者全員に研修の概要をメールで送付すれば、研修当日には全ての参加者が同じスタートラインに立つことができ、研修の効果を最大化できます。
質問や不明点への対応
研修の事前準備として重要な点の一つが、参加者からの質問や不明点への対応です。まずは事前によくある質問を予測し、それに対する回答を準備しておくことが求められます。それにより、研修時間内に突発的な質問が出てきた場合にも、スムーズに対応することが可能となります。
また質問への対応は研修の質を高める重要な要素であり、手間を惜しまず準備をすることで参加者の理解促進につながります。すべての質問に即座に答えられない場合でも、後日返答することを明確に伝えて必ずフォローアップをするという姿勢が大切です。
研修内容の詳細な構成
研修内容の詳細な構成について解説します。ここでは以下の内容に分けてまとめます。
・基礎知識の獲得(ケーススタディ・ワークショップ)
・スキルアップ研修(実践演習・グループワーク)
順に見ていきましょう。
基礎知識の獲得
新たなスキルの習得や既存の知識の強化には、まず基礎が必要となります。それはまるでビルを建てるときにしっかりと地盤を確保するようなもので、しっかりとした基礎があることで後の学習がスムーズに進み、理解も深まることでしょう。
ここでは、基礎知識獲得の方法としてケーススタディとワークショップについて解説します。
ケーススタディ
ケーススタディは研修における重要な部分で、実際のビジネスシーンで起きた問題や状況を元に参加者が考えたり、討論したりするものです。これにより理論だけでなく実践的な知識やスキルを身につけることができます。
例えば、アップル社がどのようにイノベーションを生み出し市場をリードしたのかといった事例を取り上げ、その成功要因や問題解決のアプローチについて学ぶことができます。
ワークショップ
ワークショップは、研修において実用的なスキルと知識を身につけるための優れた形式です。実際の作業環境を再現することで、すぐに仕事に活かせる具体的な技術や手法を学ぶことができます。また、グループで行うことでコミュニケーションやチームワークの向上も期待できます。
実例として挙げられるのは、社員研修の一環として商品開発のワークショップを実施する方法です。これにより新規サービスのアイデア出しやビジネスモデルの構築を経験し、実践的な視点を育てます。
スキルアップ研修
スキルアップ研修は、参加者が実際の業務で直面する可能性のある状況を模倣し、それに対応するためのスキルや知識を身につけることを目的としています。この研修では、多くの場合、現場の実情に基づいたケーススタディやロールプレイを通じて、理解を深めることが求められます。
ここでは具体的な手法として、実践演習とグループワークを解説します。
実践演習
実践演習では、具体的な業務遂行能力の向上を目指します。研修内容を実際の業務に即した状況設定で行い、参加者にその場で考えて行動させることで、理論だけでなく実際のスキルも身につけさせます。
例えばプログラミング研修の一部としてコーディング演習を行い、実際の業務を想定した課題に取り組む時間を設けるなどです。これにより参加者は理論的知識だけでなく実践的な技術も磨くことができ、即戦力として期待できます。
グループワーク
グループワークは多くの企業が採用しており、例えば新入社員研修において実際のビジネスシーンを模したケーススタディを用いたグループワークなどが考えられます。参加者は共通の課題解決に向けて互いに意見を出し合い、分析や提案を行います。
これにより、協調性やコミュニケーションスキル、問題解決能力の向上が期待できます。また他のメンバーの視点を理解することで、多角的な思考力も養われるでしょう。
研修実施における注意点
最後に、研修実施における注意点について解説します。以下の3点があります。
・参加動機を高める工夫
・研修中のコミュニケーション促進
・実践的な内容を含める重要性
順に見ていきましょう。
参加動機を高める工夫
参加者の動機を高める効果的な手法としては、以下の3つが挙げられます。
・研修の目的と参加者の個々の目標を関連付ける
・実践的で具体的な研修内容を提供する
・参加者の成長や学びを可視化する
まず研修の目的と参加者の目標を関連付けることで、参加者自身が研修による自己成長の姿をイメージできます。例えば研修開始前に自身の期待値や目標を書き出す時間を設けることで、研修の目的と参加者の目標は一致するという認識を持たせることが可能です。
次に、具体的な研修内容を提供することで参加者の興味や関心を引きます。これには事例紹介やロールプレイなど実際の業務に直結する内容が効果的です。
最後に参加者の成長や学びを可視化することで、モチベーションを維持し、研修への取り組みを促します。具体的には、研修前後での自己評価やフィードバック、進捗の共有などが有効です。
これらの工夫を通じて、参加者は研修に自発的に参加し、積極的に学ぶ態度を持つことが期待できます。
研修中のコミュニケーション促進
研修中のコミュニケーション促進は、学習効果の向上や相互理解の醸成に欠かせない要素です。参加者間の交流を促す手法として、グループディスカッションやロールプレイが一般的に用いられます。これを通じて、異なる視点の検討や意見交換が活発化し、参加者自身の理解や見識を深めることができます。
また、参加者の中には互いに交流することに抵抗感がある人もいるため、講師やトレーナーが積極的に話題提供を行うとともに、参加者全員が発言しやすいような雰囲気作りに努めることが重要です。
さらに研修の成果を最大化するには、実践的な課題を通じて参加者間の深いコミュニケーションを促すことが効果的です。これにより、理論だけでなく実践的なスキルも身につけることが可能となります。
実践的な内容を含める重要性
実践的な内容を取り入れることは、研修の成果を飛躍的に向上させる要素の一つです。
一方的な情報伝達型の学習と違い、自ら問題を解決する過程を通じて深い理解やスキル習得が可能になります。また実際の業務シーンで直面する問題を再現することで、現場への理解を深めることができます。さらに実践を通じて直面する難問や課題は、組織内のコミュニケーションを活性化させる要素ともなり得ます。
研修導入の際には、このような実践的な内容を含めることが重要であることを忘れないでください。
研修を導入するなら東京ITスクールへ
企業の人材育成の一環として研修を導入する際には、ぜひ東京ITスクールの研修をご利用ください。エンジニア向けのIT研修に強みがあります。もちろんビジネススキルやビジネスマナーなど、そのほかの研修も充実しています。
対象となる階層についても、新入社員向けの基礎的な内容から中堅社員のスキルアップ研修までご用意しています。貴社のニーズにマッチした講座が見つかります。
ご質問やご興味がおありでしたら、お気軽にご連絡ください。
関連記事
講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。