研修目標で成果を上げる!効果的な設計法とは?
公開日:2024年03⽉13⽇最終更新日:2024年03⽉13⽇
企業で行う研修を成功に導く要素の1つに、目標設定があります。適切な目標を設定させることで、一人ひとりの達成度を高めることができます。
この記事は、企業の研修における目標について詳しく説明しています。以下の点について深堀していきます。
・研修の目標とプログラム構成
・研修の目標設定のポイント
・研修別の目標と内容
・研修の評価とフィードバック
研修の担当者の方はぜひご一読ください。
研修の目標とプログラム構成
研修の成功を左右する要素の一つは、目標設定とプログラム構成です。目標は受講者が設定するものと研修を実施する側が設定するものの2種類があります。目的と似ていますが、目的が「どのような課題を解決したいのか」を意味するのに対して目標は「課題解決のためにどのような変化が必要か」を意味します。
ここでは研修を実施する企業が立てる目標とプログラムについて、以下の視点からまとめます。
・研修の全体像と目的
・研修プログラムの具体的な内容
・目標設定の重要性
・成果測定の指標
順に解説していきます。
研修の全体像と目的
一般的に、研修は従業員のスキルを向上させるための組織的な試みであり、その目的は一人ひとりの従業員が最高のパフォーマンスを発揮することです。
目的は、研修の対象などによってさらに具体的に考えることが必要です。新人の最高のパフォーマンスとリーダーのそれとでは、求められるものが大きく異なるでしょう。プログラム内容は、その具体的な目的を達成できるように決めることが求められます。このように研修のプログラムと目的を具体的に設定することで成功につながると言えます。
研修プログラムの具体的な内容
研修プログラムの具体的な内容について考察すると、主に以下の四つの要素を中核に据えることが多いと言えるでしょう。
・講義形式の基礎知識学習
・グループディスカッション
・ロールプレイ
・レポート作成・プレゼンテーション
これらの研修内容は、職種や研修目的に応じてカスタマイズすることで効果的な人材育成に役立ちます。
目標設定の重要性
目標設定は研修の成果を最大化するための不可欠な要素です。
まず明確な目標がなければ、研修の進行方向がブレやすくなります。それはまるで航海する船に方角がない状態を想像していただけるとわかりやすいでしょう。
また目標が存在することで、受講者自身が何を学び何を達成すべきなのか、具体的なビジョンが明確になります。この視覚化は動機づけを高め、学習意欲を引き立てます。
さらに、目標設定は研修の評価も容易にします。具体的な目標と成果を比較することで、研修の有効性を数値化しやすくなり改善点を見つけ出す手がかりにもなります。
成果測定の指標
成果測定の指標として有効なものには、研修の目標達成度、受講者の満足度、知識・スキルの向上度があります。
研修の目標達成度は事前に設定した目標に対する達成具合を確認するためのもので、具体的な業務改善や行動変容があったかどうかを見ます。受講者の満足度は、研修の内容や講師への評価、運営状況などをアンケート等で測ります。知識・スキルの向上度は、テストやロールプレイ、模擬業務などを通じて、研修前後でどの程度向上したかを評価します。
これらの指標を通じて、研修の効果を定量的に評価し、研修プログラムの改善につなげていきます。
研修の目標設定のポイント
研修の目標設定は、その効果を最大化するために欠かせない工程です。以下に具体的なポイントについて説明します。
・研修実施の目的を理解してから設定
・具体的で測定可能な内容に
・達成可能な難易度に設定
・受講生間で目標を発表・共有させる
1つずつ見ていきましょう。
研修実施の目的を理解してから設定
研修実施の目的を先に理解することは、研修プログラム全体の方向性を定める重要なステップです。それがないと、手探り状態となり目指すべき結果が見えず、無駄な時間と労力を費やす危険性があります。
例えば、新入社員研修の目的を「会社のビジョンと価値観を理解し、自身の業務に活かすこと」に設定した場合、その目的を達成するためのプログラム内容は会社のビジョン説明、価値観に基づいた業務プロセスの説明などになります。
目的が明確になれば、教える内容も明確になるだけでなく、その結果を測定する指標も立てやすくなります。
具体的で測定できる内容に
研修目標の設定においては、「具体的で測定可能な内容」への着眼が重要です。これは、目標が明確であれば、達成度を数値化しやすく、結果の評価とフィードバックがスムーズになるからです。
たとえば、営業職研修の場合、目標を「売上向上」ではなく、「3ヶ月後までに新規顧客獲得数を前年比20%増加させる」など具体的かつ測定可能なものに設定します。
このように、具体性と測定可能性を持つ目標は、受講生のモチベーション向上にもつながります。また、目標達成の進行や結果を数値で把握しやすいため、研修効果の検証や改善策の検討が容易になります。
達成できる難易度に設定
目標を設定する際の難易度は、受講生が達成可能な範囲に収まるように設定することが重要です。過度に高い目標を設定すれば受講生が挫折してしまう可能性があります。あるいは逆に過度に低い目標は、研修の意義を問われることになります。
効果的な研修の目標設定は、一定の挑戦性を保ちながらも受講生が到達可能な範囲に設定することが大切です。それにより受講生自身の成長につながるものとなります。
受講生間で目標を発表・共有させる
受講生間で目標を発表・共有することは、学習のモチベーションとアカウンタビリティを高める非常に効果的な手法です。各受講生が自分の目標を明確にすることで、自己管理と自己調整のスキルを強化します。
また、同僚と目標を共有することで、互いの成功へのコミットメントが強まり、全体的な学習環境が向上します。研修の成功を確実にするために、受講生の目標設定と発表・共有は欠かせない要素と言えます。
研修別の目標と内容
研修の目標は、参加者の能力向上のためにそれぞれの研修の内容に合わせて設定します。ここでは以下の研修について具体的な目標例をまとめます。
・営業職研修
・技術職研修
・管理職研修
・新入社員研修
・コンプライアンス研修
・マネジメント研修
研修別に設定される目標は、職種や役職、組織のニーズによって異なります。それぞれの目標が達成できるような内容に研修プログラムを構成し、具体的な行動を促すことで、研修の効果を最大化することが可能です。それぞれの例について見ていきましょう。
営業職研修の目標
営業職における研修の主な目標は、以下のような例があります。
・新規顧客獲得のスキル向上
・既存顧客との関係強化
・営業戦略の理解・実行
・プレゼンテーション技巧の向上
・コミュニケーション能力の強化
これらの目標について、より具体的かつ定量的に設定することで、営業職の業績向上を目指すことが可能となります。
技術職研修の目標
技術職の研修の目標は、主に技術力の向上と問題解決能力の習得に重きを置きます。特に、最新の技術トレンドを常にキャッチアップした専門知識を身につけ、それを実務に活用できる能力を養うことが望まれます。
また、複雑な技術的課題を解決するための論理的思考力やチームでのコミュニケーション能力も重要な目標の一つです。このような目標設定が行われることで、技術職の研修は個々の技術者のスキルアップだけでなく、組織全体の技術力の向上につながります。
管理職研修の目標
管理職研修の目標設定は、一般的な職種研修とは一線を画します。それは彼らが担う役割が組織全体の運営と直結しており、研修の目的も具体的なスキル向上だけではなく組織運営に対する理解や人材育成能力の強化が求められるからです。中心となる例を挙げましょう。
・部下のモチベーション管理能力の向上
・組織マネジメント能力やリーダーシップ力の強化
これらの目標は、組織全体の業績向上や職場の風土改善に直結します。詳細に課題を洗い出して適切な目標を設定しましょう。
新入社員研修の目標
新入社員研修の目標は、何よりも基本的なビジネススキルの習得と企業カルチャーへの理解を深めることです。初めて企業に足を踏み入れる新入社員たちが自立して業務を遂行できるようになるには、以下のような基本的なスキルを身につけることが不可欠です。
・ビジネスマナー
・コミュニケーション能力
・タスクの優先順位のつけ方
さらに企業のビジョンや倫理観、働き方など企業カルチャーを理解することで、新入社員は企業の一員として適応し、自身のパフォーマンスを発揮することが可能となります。
コンプライアンス研修の目標
コンプライアンス研修の目標は企業の価値観やビジネスのルールを理解し遵守することです。これは法令遵守だけでなく、ハラスメント対策や情報管理など企業活動全般に影響を与えます。
また、社員の意識改革を促すことで、適切な対応能力を身につけ、信頼と安心を提供できる企業を目指すものとなります。
マネジメント研修の目標
マネジメント研修の目標を設定する際は、参加者が自身のリーダーシップスキルを向上させることを目指すべきでしょう。具体的には、以下のスキルを高めることが求められます。
・部下とのコミュニケーション能力
・問題解決能力
・プロジェクト管理能力
また、最終的な目標は組織全体のパフォーマンス向上に寄与することです。そのための業務への落とし込みや評価の仕組みづくりは、研修が具体的な成果につながるようにするために不可欠です。
研修の評価とフィードバック
研修の評価とフィードバックは、その成果を効果的に把握し、改善を進めるための重要なステップです。ここでは以下の3つの点に分けて解説します。
・研修後の評価方法
・フィードバックの実施方法
・改善への取り組み
具体的に見ていきましょう。
研修後の評価方法
研修後の評価方法の具体例としては、以下の3つが挙げられます。
・受講者の学びの振り返り…研修内容が自身のスキルアップにどのように結びついているかを自己評価する
・講師や他の受講者からのフィードバック…学習者の行動変化や理解度を評価する
・実際の職場でのパフォーマンス…研修を通じて得た知識やスキルが実務にどう活かされているかを評価する
これらの方法は、受講者が研修を通して何を学び、どのくらい成長したかを評価するのに有効です。
フィードバックの実施方法
フィードバックの具体的な手法としては、1:1の面談形式で行う個別フィードバックや、受講生全員の前で行う集団フィードバックがあります。
個別フィードバックでは、受講生が自分の強みや改善点を認識し、自己啓発へのモチベーションを高めることが期待できます。一方、集団フィードバックでは、他の受講生の意見を聞くことで視野を広げる効果があります。
どちらの手法も組み合わせることで、受講生の理解を深め、研修の効果を最大限に引き出すことが可能です。
改善への取り組み
改善への取り組みとは、研修の結果を検証し、必要な修正や改善を進めるプロセスです。評価とフィードバックの結果、目標が達成されなかった場合や受講生からの意見を踏まえて、プログラム内容の見直しや教材の改訂、またはインストラクターの教育方法などの改善が求められます。
組織全体へのフィードバックとして、研修の結果を公開し、全体の学びにつなげることも重要です。これらの取り組みにより、企業の人材育成は更なる進化を遂げることができます。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。