ハラスメントを防ぐには?管理職以外も受講したいおすすめの研修を紹介
公開日:2023年12⽉01⽇最終更新日:2023年12⽉01⽇
昨今、セクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)といったニュースは当たり前になり、特別なもの・由々しき事という意識が薄れつつあります。
しかし、セクハラやパワハラといったハラスメントは業務に大きな影響を与えるため、「どこにでもある些細な事」と軽く考えるのはよくありません。
この記事では、ハラスメントの種類や定義といった基礎知識のほか、起こりやすい職場の特徴なども踏まえつつ、ハラスメントをなくす方法を解説します。
ハラスメントに悩む管理職の方はもちろん、ハラスメントを未然に防ぎたい方もぜひ最後までご覧ください。
職場で起こりやすいハラスメントの種類と定義
「自分の職場に限ってハラスメントは起こらない」と思っている方もいるかもしれませんが、ハラスメントは実に身近なものです。
まずは、職場で起こりやすいハラスメントの種類と定義をみていきましょう。
パワーハラスメント(パワハラ)
パワーハラスメントは、厚生労働省によって次のように定義されています。
①優越的な関係を背景とした言動であって ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 ③労働者の就業環境が害されるものであり、 ①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。 (引用:ハラスメントの定義) |
具体的には、上司が部下に対して、
・上の立場であることを利用して無茶な要求を行う
・業務上適切とは言えない指示をする
といったことがパワーハラスメントです。
客観的にみて、業務に必要かつ適切な範囲において行われる指示は、ハラスメントにあたりません。
パワーハラスメントの6つのタイプ
パワーハラスメントには、6つのタイプがあります。
怒鳴る・厳しく当たるといったことだけがハラスメントではないので、自分の職場に以下のような言動をしている人がいないかチェックしてみましょう。
・体を叩いたり、蹴ったりする
・人格を否定するような言動をしたり、長時間にわたって厳しく指導したりする
・集団で無視をするなど、職場で孤立させる
・私的な雑用を押し付ける
・能力に見合わない簡単な雑務ばかり押し付けて退職するよう仕向ける
・職場外の行動を監視したり、私物の写真を撮影したりしてプライバシーを侵害する
人によっては「こんなこともハラスメントになるのか!」と驚くかもしれませんが、ハラスメントは非常に身近なものです。
もし同じ職場に上記のような言動をしている人がいれば、明日からパワーハラスメント解消に向けて行動をはじめましょう。
セクシャルハラスメント(セクハラ)
セクシャルハラスメントも、パワーハラスメントと同じく職場に多いハラスメントです。
かつては女性社員に対して男性社員が行うものというイメージがありましたが、最近は女性社員から男性社員に対して行われるセクシャルハラスメントも増えています。
セクシャルハラスメントは、次のように定義されています。
「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること (引用:ハラスメントの定義) |
性的な関係を強要したり、本人の許可なく体に触れたりすることは立派なセクシャルハラスメントです。
また、次のこともセクシャルハラスメントとされています。
・性的な事実関係を尋ねる(AさんとBさんが付き合っているのか尋ねる など)
・性的な噂を流す(AさんとBさんは不倫しているらしい など)
・性的な冗談を言ったりからかったりする(飲み会の席で下ネタで部下をからかう など)
・食事やデートにしつこく誘う
・聞かれてもいないのに個人的な性的体験を話す
セクシャルハラスメントの2つのタイプ
セクシャルハラスメントは、2つのタイプがあります。
①対価型セクシャルハラスメント
②環境型セクシャルハラスメント
です。
対価型セクシャルハラスメントは、上司や取引先からの性的な要求を拒否したことで解雇されたり、左遷されたりするハラスメントです。
環境型セクシャルハラスメントは、体に触れられる・性的な話題を振られるのを苦痛に感じ、就業意欲が低下することを指します。
かつては「職場でのコミュニケーションの一環」として見過ごされてきた言動も多いですが、時代は変わりました。
セクシャルハラスメントを防ぐには、従業員ひとりひとりが価値観をアップデートすることが重要です。
アウティングも立派なハラスメント
最近はセクシャルマイノリティであることをオープンにして働く人も増えてきました。しかし、なかにはマイノリティであることを公にしていない人もいます。
そうした人のセクシャリティを知ったからといって、本人の許可なく周囲に広めることはれっきとしたセクシャルハラスメントです。勝手に本人の極めてプライベートなことを周囲に触れ回ることを「アウティング」といいます。
また、結婚や出産、恋愛について本人に深く聞くことも人によっては苦痛に感じることがあるのでやめましょう。
出産・育児・介護をしている社員に対するハラスメント
出産・育児を控えていたり、家族の介護をしていたりする社員へのハラスメントも増えてきています。
特に出産・育児で休職する人に対するハラスメントは「マタハラ・パタハラ」といわれ、耳にしたことがある人もいるでしょう。
家族の介護をしている社員に対するハラスメントは「ケアハラ」といわれています。
これらのハラスメントで多くみられるのは、産休・育休や介護休暇といった制度を利用したら解雇・減給されたり、時短勤務や休職をすることに対して嫌味を言われたりするケースです。
業務上必要な言動はハラスメントにはあたりませんが、従業員に対する一方的な通告はハラスメントにあたるおそれがあります。
ハラスメントが経営へもたらすの負の影響
ハラスメントは、職場に大きな負の影響をもたらします。代表的なものをみていきましょう。
企業の評価・評判が下がる
ハラスメントは、企業の評価・評判を下げます。その結果、求人を出しても人が集まりにくくなったり、対応を誤ったことで株価が大幅に下落したりすることにつながります。
「ハラスメントを放置している会社と取り引きはできない」
「抗議のためにこの会社の商品は買わない」
といった選択をする企業・消費者もいるでしょう。
従業員が定着しなくなる
ハラスメントが横行している会社は、従業員が定着しにくくなります。ハラスメントがある環境で働くのは、非常に大きなストレスがかかるものです。人によってはメンタルを病んで、退職せざるを得なくなることも珍しくありません。
退職するのは、ハラスメントの被害を受けていた人に限らず、同じ部署にいた従業員が連鎖的に退職する場合もあります。
その結果、人手不足が深刻になって事業が円滑に回らなくなってしまいます。
企業の経営が不安定になる
ハラスメントが発生すると、被害者はもちろんその周囲の人間も就業威力が大幅に低下します。その結果、生産性が下がって、企業の経営が不安定になることがあります。
問題解決に乗り出す場合、関係者からのヒアリングなどが必須になるため、通常業務も滞りやすくなるでしょう。
ハラスメントが起こりやすい職場の特徴
ここからは、ハラスメントが起こりやすい職場の特徴を解説します。
パワーハラスメントが起こりやすい職場の特徴
パワハラが起こりやすい職場の特徴は、次のとおりです。
・出勤・退勤時に挨拶をする人が少ない
・管理職が「自分の職場にハラスメントは存在しない」と思い込んでいる
・体育会系で、人は厳しく指導しなければ育たないと考えている
・ゆとりがなく失敗やミスに対して不寛容である
・ノルマが厳しく、未達の場合に厳しいペナルティがある
・上司の意見は絶対で、反論することが許されない
・助け合って仕事をする風土がない
・職場内の問題について話し合う習慣がない
・正社員・非正規社員・パート・派遣社員など、働き方に厳しい上下関係がある
こういった特徴がある職場は、上の立場の人間が下の立場の人間に厳しく当たりやすいため、職場では当たり前の言動が、客観的に見ればパワハラに相当するケースが多々あります。
セクシャルハラスメントが起こりやすい職場の特徴
セクシャルハラスメントが起こりやすい職場の特徴は次のとおりです。
・伝統や風習を重んじる傾向にある
・性別によって役割が分かれている(お茶くみや雑用は女性の仕事など)
・男性にしか責任ある仕事が任せられない
・男性しか業務研修が受けられない
・女性が出世しにくい・できない
・男性職員に対して厳しく、長時間の残業などを強いる
・飲み会では男女交互に座らせられる
・結婚や出産を機に退職する女性が多い
・女性はほぼ強制的に飲み会に参加しなければならない
・男性が育休を取るのは認められない雰囲気がある
・電話をとるのは女性の仕事とされている
・女性職員も育休がとりにくく、退職するのが慣例になっている
男女共同参画がいわれるようになって久しいですが、まだまだこのような職場が少なくありません。
「男性だから・女性だから」「男性なのに・女性なのに」といった意識が根強い職場は、セクシャルハラスメントが起こりやすいといわれています。
ハラスメントをなくすには
ハラスメントをなくすには、従業員一人ひとりが価値観をアップデートすることが重要です。それと同時に、ハラスメントが発生しにくい組織・仕組みを作って、未然にハラスメントを防ぎましょう。
他人のプライベートに深入りしない
「会社は家族」という価値観が強かった日本企業ですが、近年そのような価値観は好まれません。同じ会社で働く人であっても、自分と他人は別の人間です。相手のプライベートに無遠慮に深入りするようなことは避けましょう。
もし「パワハラになるかもしれない」「セクハラになるかもしれない」と思ったら、その言動を取引先の社長のご息女・ご子息にできるかどうか考えてみましょう。
もしできないと感じるなら、それはセクハラ・パワハラになるおそれがある言動なので、慎んでください。
風通しの良い職場作りを心がける
風通しの良い職場作りを心がけることも重要です。ハラスメントの被害者やその周りの人は、必ずSOSを発しています。大切なのは、そういった末端の意見が上層部にも通りやすい環境であることです。
上司はできる限り従業員の意見や不満に耳を傾け、必要に応じて間に入るなどして、職場の風通しを良くするよう努めましょう。
相談機関を設ける
特に上司や取引先からのハラスメントは、直属の上司に相談しにくいものです。ハラスメントをなくすなら、社内に相談機関を設けましょう。
相談機関を設ける際は、被害者の安全が確保されるよう気を配ってください。誰が相談したか・どのような相談をしたかが外部に漏れないようにすることで、被害者は安心して相談できるようになるでしょう。
相談窓口は、ハラスメントに特化させないことも重要です。従業員の相談事を幅広く受け付ける窓口にしておくことで、ハラスメントに関する相談もしやすくなります。
アンケートや面談を積極的に実施する
ハラスメントをなくすには、現在の職場の状況を正確に把握することが重要です。アンケートや面談は積極的に実施してください。
なかには上司と直接話せる人もいますが、なかには話せない人もいます。そうした人が考えていることを知るうえで、アンケートは非常に有効な手段です。
従業員と対話することは、ハラスメント予防・解消だけでなく、業務改善にもつながることがあります。
すべての従業員が研修を受講する
ハラスメントの予防・撲滅には、すべての従業員が価値観をアップデートすることが重要です。ハラスメント予防のきっかけとして、研修やセミナーを受講するのもよいでしょう。
セミナーや研修を受けると、具体的な事例が知れるほか、改善策などもイメージしやすくなります。
DVDなどの教材を活用して行う研修もありますが、最新の情報を得るためにも、できるだけ講師を呼んで研修・セミナーを実施するのがおすすめです。
ハラスメント防止研修なら東京ITスクールがおすすめ!
「ハラスメントをなくすための研修を開催したい」という方には、東京ITスクールの「身近に潜む危険を取り除くハラスメント講座」がおすすめです。
こちらの講座では、ハラスメントの基礎知識から、ハラスメントを生まない仕組みづくりのノウハウが学べます。
90分のオンライン講座で効率的に学べますので、「どのハラスメント講座を受講すればよいかわからない」「忙しく、会場まで足を運ぶのが難しい」という方にも多数受講いただいています。
ハラスメントのない働きやすい職場を作ろう
ハラスメントが当たり前になっている職場は、生産性も低く、人も定着せず、働いている人の就業意識も低い傾向にあります。
誰もがイキイキとやりがいをもって働ける職場にするには、ハラスメントがない職場環境を作ることが重要です。
ハラスメントを防止するには、従業員一人ひとりが価値観をアップデートする必要があります。
東京ITスクールでは、ハラスメント防止に役立つ講座以外にも様々な講座を開講していますので、興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。