ロジカルシンキングとは?身につける重要性と鍛え方を解説

公開日: 最終更新日:
ロジカルシンキングとは?身につける重要性と鍛え方を解説

ビジネスにおいて、相手を納得させるために重要なのがロジカルシンキングです。

ロジカルシンキングは「論理的思考」などとも言われ、筋道を立てて理論的に考えることを指します。

プレゼンテーションなどで「ロジカルシンキングが重要である」ということは多くの人が理解していることですが、実践できている人は決して多くはありません。

そこで、この記事ではロジカルシンキングの概要だけでなく、身につける重要性やその鍛え方を解説します。

論理的な思考力を高めて、スキルアップ・キャリアアップを実現させましょう。

ロジカルシンキングとは

まず、ロジカルシンキングがどういったものかを解説します。

クリティカルシンキングやラテラルシンキングとの違いも解説しますので、ロジカルシンキングがどういうものかを的確に把握しましょう。

ロジカルシンキングの意味と役立つ場面

ロジカルシンキングは「論理的思考法」と訳されます。

物事を結論と根拠に分け、複数ある根拠のつながりを意識しながら筋道を立てて結論を導き出す考え方です。

自分が考えていることを、相手が納得できるように話す際に用いられることが多いため、ビジネスではプレゼンテーションを行う際などに重視されます。

また、根拠に基づいて物事をとらえながら志向を展開させることから、問題が起こったときの原因解明や解決策の立案などにも役立つとされています。

クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングは、「批判的思考」と訳されます。

批判的と聞くと、何かに対して「おかしい」「それは違う」と否定することと捉える人がいますが、この場合の「批判的」とはそのような意味ではありません。

批判的思考とは、根拠に基づいて述べられた説に対して「それは本当にそうなのか」と問を投げかけ、客観的な視点で分析し、見定めることをいいます。

言い換えれば、「物事を鵜呑みにせず、それが真実かどうかを探求する考え方」といえるでしょう。

ラテラルシンキングとの違い

ラテラルシンキングは「水平思考」と訳されます。

ラテラルシンキングは、新しい考え方や味方を生み出すうえで重要な思考法です。

既成概念や「こうでなければならない」といった凝り固まった考え方をリセットして、今までの前提を疑い、違った視点から物事を観察する思考法なので、新しいアイデアや独創的な結論を導くのに適しています。

ロジカルシンキングの重要性を認識している人は決して少なくありませんが、クリティカルシンキングもラテラルシンキングも、企業活動を行う上で欠かせないものです。

ロジカルシンキングを身につけるメリット

ロジカルシンキングを身につけると、相手に自分の考えが伝わりやすくなるだけでなく、問題解決能力が向上します。

自分の考えを相手にきちんと伝えることも、問題を解決することも、どちらもビジネスにおける重要なスキルです。

これらのスキルとロジカルシンキングの関係性も踏まえて解説します。

相手に自分の考えが伝わりやすくなる

ロジカルシンキングを身につける最も大きなメリットは、相手に自分の考えが伝わりやすくなることです。

ビジネスにおいて意見の異なる相手を納得させるには、感情に訴えかけるのではなく、根拠を交えながら論理的に話す必要があります。

話しているうちに結論がブレたり、言いたいことがわからなくなってしまうのは望ましくありません。

しかし、論理的に自分の意見を組み立てれば、そういったことが起こりにくくなります。

コロナ禍以降、リモートワークやオンラインでのやり取りが増え、自分の意見を相手にわかりやすく伝えるスキルの重要性が高まりました。

過不足なくコミュニケーションを取り、意見の異なる相手と良い関係を築くには、ロジカルシンキングに基づいた伝え方が非常に重要とされています。

問題解決能力が向上する

ロジカルシンキングでは、因果関係……つまり「なぜ・何が原因でこうなったか」をじっくりと考えます。そのため、問題解決能力の向上も期待できます。

気持ちを切り替えなくてもロジカルシンキングができるようになると、問題が起こった際の原因を解明したり、解決策の立案がしやすくなるでしょう。

トラブルの背景には、必ず要因があり、因果関係があります。

ロジカルシンキングを身につけることは、これらの察知能力・問題解決能力を高めることにもつながるのです。

ロジカルシンキングに重要な「帰納法」と「演繹法」

続いて、ロジカルシンキングを身につける上で押さえておきたい重要な2つのアプローチを解説します。

  • 帰納(きのう)法
  • 演繹(えんえき)法

帰納法

帰納法は、いくつかの実例を集めて共通点を探しだし、そこから結論を導き出すアプローチ法です。

たとえば

  • 1ヶ月毎日ランニングをした人が痩せた
  • ジムに通ってトレーニングをした人が痩せた
  • ウォーキングを始めた人が痩せた

といったいくつかの実例から「運動すると人は痩せる」という結論を導き出します。

しかし、帰納法で導き出される結論はあくまでも推論でしかありません。

運動をして痩せた人のなかには、食事の改善も行っていた人がいるかもしれません。

なかには体重は増えたが体脂肪が減って、痩せたように見える人もいるでしょう。

帰納法によって導き出された結論は、確実ではありません。そのため「帰納的推論」ともいわれます。

ビジネスシーンにおいて、帰納法はアンケート調査などに活用されています。

40代の男女1,000人にアンケートを取り、その回答傾向からターゲットが購入しそうな商品を企画するといったことは、帰納法的手法です。

しかし、帰納法の場合、実例が間違っていたり、共通点を探す際に論理が飛躍していたりすると正しい結論が導き出せません。

演繹法

演繹法は、「三段論法」とも呼ばれる手法で、揺るがない前提と観察事項を元に結論を導き出すものです。

たとえば

  • 人間は死ぬ(前提)
  • ソクラテスは人間である(観察事項)
  • よって、ソクラテスは死ぬ(結論)

というのが演繹法です。

ビジネスシーンでは、

  • 残業時間が月に10時間を超えたら面談を行う(前提)
  • 現在、Aくんの残業時間は15時間である(観察事項)
  • Aくんには面談を行う(結論)

のように、次に行うべきタスクやアクションを決める際にも用いられます。

しかし、演繹法は前提がなかったり、前提そのものが間違っていたりすると、正しい結論が導けないというデメリットがあります。

ロジカルシンキングの代表的な手法

ここからは、ロジカルシンキングする際の代表的な手法を紹介しましょう。

特に広く用いられているフレームワーク・思考法は次の3つです。

  • フレームワーク思考
  • ピラミッド構造
  • ゼロベース思考

フレームワーク思考

フレームワーク思考とは、既存の型(フレームワーク)を活用して論理的に思考を展開していく手法です。

よく使われるフレームワークには、ロジックツリーなどがあります。

ロジックツリーは、テーマや課題をツリー型分解して、問題解決法を導き出すのに役立つフレームワークです。

  • 根本的な原因を見つける「WHYツリー」
  • 課題解決にあたってやるべきこの優先順位を決める「HOWツリー」
  • 問題や課題を細分化する「WHATツリー」

の3つがあります。

ロジックツリーを活用する際は、「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:ミーシー)」を意識することが肝心です。

MECEは「漏れなくダブりのない状態」を指し、これを意識することで効率的かつ的確に物事を分析できるようになります。

ピラミッド構造

ピラミッド構造とは、トップに結論(仮説)を置き、その下に根拠を並べ、その下に根拠に対する根拠を並べることで、論理的思考を展開する手法です。

まず結論を出し、その根拠を並べる「トップダウンアプローチ」と、数々の根拠から結論を導き出す「ボトムアップアプローチ」があります。

ゼロベース思考

ゼロベース思考とは、先入観をリセットして白紙の状態から考えることを指します。

ゼロベース思考を行うことで、思い込みにとわれない柔軟な発想がしやすくなるだけでなく、自分が無意識に設定していた限界も超えやすくなります。

ロジカルシンキングスキルの鍛え方

ロジカルシンキングはテクニックであり、スキルです。誰でも学び、繰り返し実践すれば身につけられます。

ここからは、日常生活の中でできるロジカルシンキングスキルの鍛え方を紹介します。

日常的にロジカルシンキングを心がける

ロジカルシンキングのスキルを鍛えたいなら、日常的にロジカルシンキングを心がけましょう。

「なぜこのような結果になったのか」を考えるだけでなく、「このようなことが続くとどうなるか」も考えながら行動することで、ロジカルシンキングが当たり前になってきます。

はじめのうちは時間がかかるかもしれませんが、自分の思考過程を紙に書き出してみるのもおすすめです。

ピタミッド構造を活用して、トップダウンとボトムアップどちらのアプローチも試してみましょう。

ゼロベース思考を意識する

人間は無意識のうちに「これはできないだろう」「前例がないから無理だろう」などと考えがちです。しかしそれでは新しいアイデアや柔軟な発想は生まれません。

物事を考える際は、ゼロベース思考を意識するようにしましょう。

ゼロベース思考を実践する際は、自分の思考過程や価値観を把握して思い込みや先入観を取り払うことが重要です。ブレインストーミングなど、ひとつのテーマに対する考えを漏れなく書き出して、自分の考え方のクセをつかむことからはじめてみましょう。

「結論ファースト」で話す

「つまり、何が言いたいの?」と言われることが多い人は、結論から話すよう心がけてみましょう。

説得力のある話の多くは、結論・根拠や説明・結論で構成されています。

結論にたどり着くまで時間がかかると、聞いている方も疲れてしまうので、まずは自分が言いたいことを伝えてから、その理由や説明をするようにしてみてください。

結論ファーストで話すことは、ボトムアップアプローチの訓練にもなります。

常に仮説を立てる

新しいアイデアを出す際は、常に仮説を立ててみましょう。

頭に浮かぶまま取り留めなく物事を考えるより、仮説を立てその根拠を探しながら考えたほうが、説得力のあるアイデアが生まれやすくなります。

セルフディベートに取り組む

セルフディベートに取り組むのも効果的です。

何かひとつテーマを決め、それに対する自分の考えを掘り下げていきます。時折「それは本当か」「なぜそう言えるのか」など自分に問いかけながらセルフディベートを行うと、より説得力のある思考法が身につきます。

セルフディベートは、ひとりでいつでもどこでも行えるものです。

就寝前の10分間、通勤時の30分など、空いている時間を使って毎日の習慣にしてみてはいかがでしょうか。

ロジカルシンキングを身につけるのに役立つ本5選

ロジカルシンキングのスキルを身につける上で、役立つ書籍を5冊紹介します。

独力でスキルを身につけるのに不安がある方や、より高度なスキルを身につけたい方は書店でチェックしてみてください。

入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法

日本語ならではの落とし穴に注目しながら、論理的に考える・書く技術が学べる1冊です。

ビジネス文書だけでなくチャットやe-mailなど、オンラインでも使えるテクニックが身につきます。

入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法

ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル

ロジカルシンキングの実践的なスキルが学べる1冊です。

「MECE」と「So What?/Why so?」という2つのシンプルな問いかけを意識することで、ロジカルシンキングの基礎が身につきます。

章ごとに要点がまとまっているので読みやすいのもポイントです。

ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル

マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング

2015年に刊行され、13万部の大ヒットを記録した書籍の新書版です。マンガでわかりやすくロジカルシンキングが学べます。

紙1枚でできる「A4メモ書き」のほか、フレームワークの使い方など実践的なテクニックも充実しているのが魅力です。

マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング

入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳

ドリルとして活用できる1冊です。これからビジネスパーソンとして必要なロジカルシンキングスキルを身につけたい新入社員の方におすすめします。

「ほかの本は難しそう」「基礎を再確認したい」という方にも適しています。

入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳

30ポイントで身につく! 「ロジカルシンキング」の技術

現場主義のコンサルタントがわかりやすさにこだわって書いた1冊です。

知り・学び・真似ることに重点を置かれて執筆されているため、実践でも役立つ活きたスキルが身につきます。

ポイントがまとまっているので、読書が苦手な方でも読みやすいでしょう。

30ポイントで身につく! 「ロジカルシンキング」の技術

論理的思考法を身につけるなら東京ITスクールの「ロジカルシンキング習得講座」がおすすめ!

「本を読むのが苦手」
「もっと効率的に、ロジカルシンキングスキルを鍛えたい」

という方には、セミナーや研修がおすすめです。

書籍を購入するよりも費用は掛かりますが、セミナーや研修ならプロの講師から効率的にロジカルシンキングのメソッドが学べます。

東京ITスクールでもロジカルシンキングの研修をご提供しています。オンラインでの開催なので、PCとネット環境があればどこからでも受講いただけます。

ロジカルシンキングで説得力と問題解決力を身につけよう!

相手を納得させたり、問題解決策を立案したりするためには、数々の根拠を元に筋道を立てて論理的考える必要があります。そのために必要なのが、ロジカルシンキングのスキルです。

しかし、その重要性は理解していても、実践するとなると難しいという方は少なくありません。

そのような方には、東京ITスクールの研修がおすすめです。

ロジカルシンキングスキルを高めて、相手に伝わる話し方・問題の原因を見つけ出す問題解決力に磨きをかけましょう!

湯浅

東京ITスクール 湯浅

現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。趣味は温泉と神社仏閣巡り。


東京ITスクールはシステム開発会社だから実現できる「現場で活躍するための研修」にこだわった法人向け研修・講座をご提供します。

東京ITスクールはシステム開発会社だから実現できる「現場で活躍するための研修」にこだわった法人向け研修・講座をご提供します。

人気記事ランキング

  1. 人材開発に必要なスキルとは?知っておきたいポイント5つ
  2. 【社員教育研修】効果的な育成のポイントと実施方法を解説
  3. 社内研修は無駄?効果的な学びの機会にするためのポイントを解説
  4. 【インバスケット研修】成果を出すリーダー育成のための実践ガイド
  5. 研修題目の選び方とは?効果的な研修を計画する方法を解説

人気のダウンロード資料

  1. 中途社員向けエンジニア研修サービス資料

    中途社員向けエンジニア研修サービス資料

  2. 超実践型エンジニア研修「リアプロ」サービス資料

    超実践型エンジニア研修「リアプロ」サービス資料

  3. 社内大学「&IT」サービス資料

    社内大学「&IT」サービス資料

タグ一覧

問題解決・考える力に関する記事一覧

東京ITスクールの研修に関する記事一覧