オンボーディング研修とは?目的と準備・実施のポイントをまとめて解説
公開日:2024年04⽉04⽇最終更新日:2024年04⽉04⽇
人材確保が難しくなっている現在、採用した人材の離職を防ぐ方法の1つとして注目されているのがオンボーディングです。しかし比較的新しい手法でもあり、具体的な内容についてはあまり知られていないかもしれません。
この記事は、オンボーディングについて解説しています。この記事を読むことで、以下の内容が理解できます。
・オンボーディングの定義
・オンボーディングの目的
・オンボーディングの研修の計画と準備
・オンボーディングの実施方法
実際にオンボーディングを行うのに必要な情報ばかりです。企業の担当者の方はぜひご一読ください。
オンボーディングとは
オンボーディングとは、新入社員が組織にスムーズに適応し、早期に生産性を発揮するための一連のプロセスを指します。新入社員が自身の役割を理解し、組織の文化や価値観を把握し、必要なスキルを獲得するためのサポートを行うのが特徴です。成功した
オンボーディングは定着率の向上や生産性の早期向上に寄与し、組織全体のパフォーマンスを高めることが期待できます。
研修やOJTとの違い
オンボーディングと研修、OJTは、同じ新入社員の育成という目的を持つものの進め方や重視するポイントが大きく異なります。
研修は一定期間の学習を通じて新入社員が必要な知識や技術を習得することに重きを置きます。一方、OJT(On-the-Job Training)は現場での直接的な指導によって実践力を身につけることを目指すものです。どちらも重要な教育方法でありますが、これらは主に個別のスキルや業務知識の習得を目的としています。
それに対して、オンボーディングは新入社員が組織にスムーズに馴染むことを目指します。具体的には、会社のビジョンや文化、働く上でのルールやマナーを理解し、組織の一員としての意識を醸成することを目標とします。また、新入社員が自分の役割を理解し、自信を持って仕事に取り組めるようにすることも重要なポイントとなります。
このように、オンボーディングは新入社員の長期的な定着と成長を促進するための取り組みであり、研修やOJTとは異なる役割を持っています。
オンボーディングの目的
オンボーディングの目的は定着促進と即戦力化ですが、その2点はさらに4つの目的に分けられます。
・新入社員の不安を和らげること
・会社文化への理解を深めること
・即戦力化への道筋をつけること
・継続的な成長と定着率向上を目指すこと
これらの目的を達成することで、オンボーディングは新入社員だけでなく、組織全体の成長にも寄与します。具体的に見ていきます。
新入社員の不安を和らげる
新入社員の不安を和らげるためには、オンボーディングプロセスの初期段階から心地よいエンゲージメントが求められます。主に3つの方法が考えられます。
・新入社員向けの歓迎会や交流イベントを設ける
・具体的な仕事の流れや期待される成果を明示する
・定期的なフィードバックやメンター制度を導入する
これらの取り組みにより、新入社員は安心して業務に取り組むことができ、早期の戦力化が可能となります。
会社文化への理解を深める
新入社員に会社文化への理解を深めさせることは、新入社員が自分の属する組織とその価値観を理解し、自身の行動をそれに照らし合わせるための基盤となります。
例えば、社内の歴史や過去の成果、失敗について学ぶセッションを設け、企業文化の理解を深めさせる取り組みを実施している例があります。これにより新入社員は自身の所属する組織へのアイデンティティを醸成し、会社に対するロイヤルティを高めることが期待できます。
即戦力化への道筋
新しく入社した人材の即戦力化への道筋をつけ早期に実務に投入できるようにするためには、2つのことが求められます。
・新入社員に自社のビジネスや業務フローを理解させる
・必要なツールやシステムを使いこなせるようにする
また、日々の業務の中で新入社員が直面する可能性のある課題に対する対応力を育てるためには、事例ベースの学習やロールプレイなども効果的です。
これらの取り組みを通じて、新入社員が自社の業務を自律的にこなせるようになり、組織全体としての生産性向上に貢献できます。
継続的な成長と定着率向上
継続的な成長のためには、一度の研修だけではなく新入社員が継続的にスキルを磨きながら成長するためのサポートを行うことが求められます。
また、適切なオンボーディングは定着率向上にも寄与します。従業員が自身の成長を肌で感じ、会社と自分自身の目指す方向が一致していると認識すれば、自社への帰属意識が高まり、離職率の低下につながります。
このようなオンボーディングは、従業員が長期的に安定して働くための基盤を作り、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。
オンボーディングの研修の計画と準備
計画と準備は、以下の要素に分けて考えると良いでしょう。
・研修計画の立案
・内容の選定とカリキュラム設計
・教材の準備と環境設定
・情報共有とコミュニケーションの計画
なおオンボーディングは、研修だけでなくさまざまな手法を包括的に行うものです。ここでは、オンボーディングの活動のうち研修に限定して解説します。
では、1つずつ具体的に見ていきます。
研修計画の立案
研修計画の立案では、新入社員がどのようなスキルや知識を身につけるべきか、そしてそれをどのような形で伝えていくかを明確にすることが重要です。
まずは、新入社員が達成すべき目標を設定しましょう。これには、職務上必要なスキルや理解すべき会社のビジョンと文化、期待される働き方などが含まれます。次に、これらの目標を達成するためのプログラムを設計します。具体的な内容、方法、日程を明確にし、リソース(人材や教材)を計画的に配置する必要があります。
オンボーディングは定着の促進という側面が強いため、スキルよりは自社についての学びが中心になるかもしれません。
内容の選定とカリキュラム設計
内容選定とカリキュラム設計は、新入社員が会社と自身の立場を理解し、身につけるべきスキルや知識を習得するための重要なステップです。
初めに、新入社員が必要とするスキルや知識を明確に定義しましょう。これは会社のビジョンやミッション、業界の特性、ポジションの職務内容、新入社員の前職や教育背景などを考慮して決定します。
次に、定義したスキルや知識を習得させるためのカリキュラムを設計します。この際、専門的なスキル習得だけでなく、会社文化への適応やコミュニケーション力の向上なども視野に入れることが重要です。内容によっては研修以外の手段を取るべき場合もあります。
教材の準備と環境設定
オンボーディング研修において、教材の準備と環境設定は重要なステップになります。研修を通じて新入社員の定着と即戦力化ができるよう、適切な教材を用意することが求められます。
また、研修を行う環境設定も重視しなければなりません。新入社員が安心して学べる環境を提供することで、学習効果が高まります。具体的には、必要な機材や設備、静かな学習空間の確保などが考えられます。さらにオンライン研修が主流となる今日では、必要なIT環境の整備も欠かせません。
こうした細部に至るまでの準備が、研修の成果を大きく左右するのです。
情報共有とコミュニケーションの計画
情報共有とコミュニケーションの計画はとくに定着の実現という点で欠かせません。新入社員が企業の目指す方向性を理解し、自身の役割を適切に果たすために必要な情報を得られるよう、情報共有のプロセスを設計することが求められます。
チームメンバーや関係部署からのフィードバックを収集し、透明性のあるシステムを作り上げることで、新入社員は自身の成長を視覚化しやすくなります。
また、コミュニケーションの計画は、新入社員が組織内のネットワークを構築し、適応するために重要な役割を果たします。例えば、レギュラーミーティングの設定やメンタープログラムの導入を通じて、新入社員も含めた社員間における交流を促進し、職場への溶け込みを促します。
オンボーディング研修の実施方法と段階
計画と準備ができたら、次はいよいよ実施です。実施の際と実施後に行うべき内容は以下の通りです。
・オリエンテーションの実施
・カリキュラムに沿ったトレーニング
・実務体験の導入
・メンタリングとフィードバック
・チームとのインテグレーション
・研修後の評価とフィードバック
順に解説していきます。
オリエンテーションの実施
オリエンテーションでは企業のビジョンや文化・社風を理解することが重要で、企業全体のビジョンやミッション・戦略・実際の職場環境についての説明を行います。例えば新入社員のための専用オリエンテーションプログラムを実施し、社員間のコミュニケーションを促進しつつ組織との一体感を醸成します。
これにより新入社員が自身の役割を理解し、自己成長と組織目標達成に向けた行動を促すことができます。
カリキュラムに沿ったトレーニング
カリキュラムに沿ったトレーニングを設定して、各社員が必要とする知識やスキルを身につけることができるようにすることを推奨します。カリキュラムに沿ったトレーニングにより社員のスキルレベルを引き上げ、組織全体のパフォーマンス向上につなげることができます。
実務体験の導入
実務体験の導入は、オンボーディング研修の一部として非常に重要な役割を果たします。理論だけでなく、実際の仕事を通じてスキルを磨き、現場の雰囲気を理解することで、新人は自分の役割に身を置くことが可能になります。
重要なのは実務体験を管理人の下で行うことで、それにより安全かつ効率的な環境で学ぶことが可能です。また実務体験は会社のビジョンとミッション、そして自身の職務に対する理解を深める機会でもあります。
メンタリングとフィードバック
まず良好なメンタリングプログラムは、新入社員が会社の文化を理解し自分の役割を確認するのを助けます。また定期的なフィードバックは、新入社員が期待通りにパフォーマンスを発揮しているかどうかを把握するのに役立ちます。
メンタリングとフィードバックにより、新入社員は会社での自分の位置づけを理解し、自分の強みや改善点を把握し自身の成長につなげています。
チームとのインテグレーション
新しいメンバーが現場に馴染んで一体化(インテグレーション)するためには、現場の風土を理解し、信頼関係を築くことが不可欠です。具体的には、チームのミーティングへの参加、各人との1対1のミーティング、共同での課題解決等が有効です。
例えば自社の文化やビジョンを理解するチャンスを提供することで、新人はより迅速に組織に溶け込むことが可能となります。この段階でのスムーズな統合は、新人が自分の役割を理解し、自身の貢献を明確にするために重要です。
研修後の評価とフィードバック
キャリアパスを歩むためには、新入社員自身が自己評価を行い、フィードバックを元に改善や挑戦を続けることが必要です。そのためには企業側も定期的にパフォーマンスレビューを行い、成果と課題を明確にフィードバックする必要があります。
これにより新入社員は自己の長所と短所を理解し、次のステップに進むための具体的な行動を意識するようになります。
スキル面の育成なら東京ITスクールへ
オンボーディングのスキル面の教育は東京ITスクールにお任せください。オンボーディングは、入社した社員の定着と即戦力化が目的です。自社で行う研修や活動で自社の理解を促したら、スキルの学習を東京ITスクールで行うと効率的にオンボーディングを進めることができます。
東京ITスクールの研修は、多岐にわたる講座設定によってピンポイントで貴社のニーズにお応えします。時間設定や受講方法など、受講しやすい形で実施。さらに東京ITスクールの研修の後はOJTと組み合わせるなどして、実践でスキルを確かなものにすることが可能です。
ご質問やご興味がおありでしたら、お気軽にご連絡ください。
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講師としての登壇・研修運営の両面で社員教育の現場で15年以上携わる。
企業のスタートアップにおける教育プログラムの企画・実施を専門とし、
特にリーダーシップ育成、コミュニケーションスキルの向上に力を入れている。
趣味は筋トレと映画鑑賞。