問題解決の基礎知識~具体的なプロセスや役立つ考え方を解説~
公開日:2024年01⽉11⽇最終更新日:2024年11⽉14⽇
業務で何らかの問題が起きたときは、解決しなければなりません。再び問題が起きないようにするには、根本的に解決することが重要です。
今、職場で問題が起きている人のなかには
「どうすれば問題解決につながるかわからない」
「まず何から手を付ければいいかわからない」
という人もいるでしょう。
この記事では、問題解決の具体的なプロセスや役に立つ考え方を解説します。
問題に直面し、何をすればよいかわからない人は参考にしてみてください。
問題解決の基本
まず、問題解決の基本を押さえておきましょう。
問題を定義する
問題解決の前に「問題」とは具体的にどういったものか定義しておくことが重要です。問題といってもさまざまな捉え方があります。
A:試験などで出題される問い
B:解決しなければならない事柄
C:困っていること
D:世間が注目している事柄
これらは、あくまでも辞典に載っている定義です。ビジネスにおいて問題解決を実現するには、もう少し見方を変えて問題を定義する必要があります。
問題解決=理想の状態の実現
問題解決における「問題」の定義は『理想とする状態と現状のギャップ』と定義されます。
つまり、問題解決は理想と現状のギャップを解消して、自分が考える理想の状態を実現することにほかなりません。
問題解決のためには、自分の中に理想とする状態が存在する必要があります。「こうだったらいいのにな」という考えを持つことこそが、問題解決の原点です。
自分の中に理想の状態がなければ、問題を解決しようとする気持ちが生まれません。
問題解決というと「今ある困りごとを解消すること」と捉えられがちですが、その本質は「自分の理想を実現すること」といえるでしょう。
問題解決の具体的なプロセス
問題を解決して理想の状態を生み出すには、センスや経験が必要と思い込んでいる人は決して少なくありません。
しかし、問題解決は次のプロセスを順にきちんと行えば、誰でも実現できるものです。
具体的なプロセスを解説します。
問題を明確にする
問題解決をしようと思ったなら、まず問題を明確にすることから始めましょう。問題は、大きく次の3種類に分けられます。
A:すでに発生してしまったもの
B:将来発生する可能性があるもの
C:高い理想を掲げたときに不足するもの
すでに発生してしまった問題は目に見えますが、将来発生する可能性がある問題や、今の自分たちに足りていないものは目に見えません。
理想とする状態を実現するには、今ある問題だけでなく、目には見えない問題にも注意を向け、具体的に何が問題なのかを明確にすることが重要です。
問題の原因を見つける
問題が明確になったら、なぜ問題が発生しているか原因を見つけましょう。そのためには、問題をしっかり分析することが重要です。
分析する際は、常に客観的かつ論理的な思考を心がけてください。
先入観を持たず、フラットな状態で分析結果を読み解くことが求められます。
思い込みが強く、主観的な分析をしてしまうと、問題の本質を見誤りやすくなります。すると的外れな解決策を実行するなどしていつまでも問題が解決しなくなることがあるので注意しましょう。
解決するのに有効な手段を考える
問題の原因がはっきりしたら、解決するのに有効な手段を考えましょう。
解決策はひとつではありません。できるだけ多くの案を出し、どれが最も適しているかを吟味することが大切です。
解決策は根性論や精神論に偏っていてはいけません。
売り上げが低迷したことが問題の原因だったとして、それに対して「がんばって売り上げを伸ばす」という解決策を打ち出しても問題が解決しないことは明らかです。
どのようなことをすれば問題が解決するかを具体的に考えることが肝心です。
解決策を実施する
解決策が見つかったら、実際に行動に移しましょう。解決策を実行する手順を考え、誰が何をいつやるべきか細かく設定してください。
問題解決に関わる人が多くなった場合は、プロジェクトとして立ち上げ、適宜マネジメントを行いましょう。
実行する際はできるだけ詳細に記録を残しておくと、この後の分析や検証がしやすくなります。
結果を分析・検証する
解決策を実行したら、その結果を分析・検証することを忘れてはいけません。問題が解決したからといってやりっぱなしにしておいては、ノウハウが蓄積せず、問題解決力も向上しないからです。
解決策を行なっても問題が解決しなかった場合でも、なぜそのような結果になったのかを分析・検証することで、さらによい解決策が見つかるかもしれません。
問題が解決した場合は、何が問題解決に役立ったかを考えてみましょう。
問題解決のプロセスや解決策のノウハウを蓄積しておけば、今後似たような問題が発生したときの解決がスムーズになります。
問題解決に役立つ考え方
ここからは、問題解決に役立つ考え方を紹介します。問題解決力を高めたいなら、次の4つの考え方を押さえておきましょう。
問題解決のための考え方①フレームワーク思考
フレームワーク思考は、すでにある型(フレームワーク)に当てはめて考えを深める思考法です。
フレームワークに当てはめて考えを深めていくと、思考の流れが説明しやすく、話が脱線しにくいというメリットがあります。
頭の中だけで思考を展開すると脱線しやすいという人は、慣れるまで紙に書き出しながらフレームワーク思考を実践してみましょう。
問題解決のための考え方②ゼロベース思考
ゼロベース思考とは、先入観を取り払い、白紙の状態で物事を考えることをいいます。
人は誰しも思い込みを持って生きています。問題の解決策を考える際、その思い込みが邪魔になることは決して珍しくありません。
先入観が強固であればあるほど、柔軟な発想や斬新なアイデアが出てきにくくなります。
問題を解決したいなら先入観を捨て、さまざまな角度から物事を見る癖をつけましょう。
問題解決のための考え方③MECE(ミーシー)
MECE(ミーシー)とは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったものです。日本語では「漏れなく・重複なく」と訳されます。
MECEは、フレームワーク思考をする際の大事な考え方です。考えられる要素や解決策を、漏れなく・重複なく挙げることを指します。
MECEを実践する際は、物事をまず大きなカテゴリーに分けることからはじめましょう。それぞれの大カテゴリーを、いくつかの中カテゴリー・小カテゴリーに落とし込んでいくと、漏れ・重複のない状態を実現しやすくなります。
問題解決のための考え方④論理的思考
論理的思考も、問題解決に役立つ思考法です。論理的思考というと、難しいもの・センスが問われるものというイメージがありますが、誰でも論理的思考力を向上させることは可能です。
論理的思考では、物事を結論と根拠に分けて考えます。
「なぜそうなったか」を意識しながら考える・話すことで、筋が通った説明ができるようになるので、問題が発生した原因を探るのも役立つ考え方です。
問題が解決しない原因
問題解決に取り組んでいるのに、問題が解決しない。そのような場合は、次の原因が考えられます。
原因の把握不足
問題がなかなか解決しない場合、原因をきちんと把握しきれていない可能性があります。
どのような問題でも、なぜ発生したのかを明確に把握できていなければ、有効な解決策を導き出すことはできません。
複雑な問題の場合、原因を「努力不足」などと片付けてしまいがちです。しかし、原因が曖昧だと努力する・がんばるといった曖昧な解決策しか出てこず、物事が解決することも基本的にありません。
問題解決の際は、原因を具体的に把握するよう努めましょう。
解決策を実施した後の分析・検証不足
解決策を実施した後の分析・検証不足も、問題が解決しない原因です。
解決策を実施しても思うように問題が解決しなかった場合、その後の分析・検証を十分に行う必要があります。
検証結果によっては、解決策の方向性を大きく変更する必要や、他の解決策の導入が必要となることもあるでしょう。
論理的思考力の不足
問題解決において、問題(結果)と原因(根拠)を正確に把握することは基本中の基本です。論理的思考力が不足している場合、この把握が上手くできず、問題解決が遠のいてしまうことがあります。
論理的思考力が低い場合、思考が堂々巡りしてしまったり、筋道を立てて明確なアイデアを導き出すことができなかったりするため、そこで問題解決のプロセスが止まってしまうことも珍しくありません。
論理的思考力を向上させるには、普段から論理的思考を心がけるだけでなく、研修などを受講するのも効果的です。
東京ITスクールでは、論理的思考力の向上に役立つオンライン講座を解説しています。PC・ネット環境があれば全国どこからでも受講できますので、興味のある方はチェックしてみてください。
解決策のバリエーション不足
問題が解決しない理由には、解決策のバリエーション不足もあります。解決策のバリエーションが少ないと、その方法を試すだけで満足してしまいがちです。
解決策を考える際は、できるだけ多くの方法を考えましょう。
解決策の候補が多ければ多いほど、問題解決につながりやすくなります。
いくつもの候補を挙げていくと、途中で組み合わせたり同時に行ったりできるものも出てくるでしょう。
AとBの解決策を同時に行うことが解決の近道になることもあるので、柔軟な発想でできるだけ多くの解決策を考えることが重要です。
問題解決力を鍛える3つの方法
最後に、問題解決力を鍛える3つの方法を解説します。
観察力・問題発見力を養う
問題解決力を鍛えたいなら、まずは観察力・問題発見力を養うことから始めましょう。自分の理想とする状態を常にイメージし、現状とのギャップに敏感になることが重要です。
先入観を取り払って、フラットな状態で現状を把握することも、観察力・問題発見力を向上させるのに役立ちます。
論理的思考力を身につける
論理的思考力を身につける努力も、問題解決力を鍛えることにつながります。
論理的思考力を身につけるには「なぜそうなったか」を考えるだけでなく、思考をできるだけ具体的な言葉に落とし込むことが重要です。
「なんとなくこうなった」ではなく「○○だからこうなった」と説明できるよう、常に具体的な思考を心がけましょう。
論理的思考力については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
批判的思考を習慣にする
自分の考えに対して、常に「本当にそうなのか?」「これはどういう意味だ?」と問いを投げかけ続けましょう。これを「批判的思考(クリティカルシンキング)」といいます。
批判的思考を習慣にすることで、物事の本質をつかむ力が向上します。
問題解決においても「本当に原因は○○なのか?」「これ以外に解決策はないのか?」といった問いを自分に投げかけることで、思わぬ気付きやアイデアが得られることもあるので、ぜひ習慣にしていきましょう。
問題解決力向上につながるおすすめ講座
「問題解決力を向上させたいが、具体的に何をはじめればよいかわからない」
「もっと効率的に問題解決のノウハウを学びたい」
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こちらの講座では、物事を考えぬき、問題を解決させるために必要なマインドやシステム作りのコツが学べます。
・問題が発生したとき、途中で考えることを辞めてしまって解決につなげられない
・「わからないこと」がわからない状態に陥りやすい
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問題解決力を高めて仕事の質を向上させよう!
日々の業務を行っていれば、問題が発生することは避けられません。問題が発生したら、できるだけ早く解決することが重要です。
問題解決というと「経験が必要」「センスがないと無理」と思われがちですが、きちんとプロセスを踏めば誰でも問題解決策を導き出すことができます。
問題解決に重要なのは
・問題の原因を明確に把握すること
・できるだけ多くの解決策を考案・実施すること
・実施した解決策の結果を分析・検証すること
です。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。