リスキリングでITスキルを身につける!業種別にコツを解説

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リスキリングでITスキルを身につける!業種別にコツを解説

新たなビジネスへの取り組みや、業績アップのための施策に力を入れていきたい。人の手でずっと行っている煩雑な事務作業や商品管理をITスキルで解決したい

業務改善・効率化のため、従業員のリスキリングでITスキルを身につけさせる必要性を強く感じているものの、どのように育成すればよいのか分からない。

本記事では、このようなお悩みを持つ経営者の方に向けて、リスキリングによる業務改善、おすすめのITスキル、研修についてわかりやすく解説します。

リスキリングの重要性

近年、しきりと叫ばれている「リスキリング」という言葉。

厚生労働省によると、リスキリングとは

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応して価値を創造し続けるために、必要なスキルを獲得する/させること
厚生労働省ホームページより抜粋

とされます。

デジタル技術の進化とともに、様々な業種で仕事の内容が大きく変わってきています。そんな状況の中、従業員は新たなスキルを身につける必要が出てきています。

業種別リスキリングが必要とされる場面とは

具体的にはどんな場面でリスキリングが必要とされているのでしょうか。いくつかの事例をご紹介します。

製造業の事例なら

これまでは人の手で行ってきたライン製造などの作業工程が、近年はロボットやIoT技術の導入によってどんどん自動化されています。

今後、人は単純作業者としてではなく、AIや制御システムを活用し、より製造のフローを効率化したり、エラーを減らしたりといった管理側のスキルが求められ、デジタル技術の理解が不可欠です。

接客・販売業なら

これまでは実店舗での対面接客での販売が主流で、売上は販売員のスキルに依存する部分がかなりありました。近年、オンラインストアの需要が増えたことで、売れる商品の分析・ターゲット層の特定をし、より効果的に売上げを拡大していくことがビジネスの成功において求められています。

「ネットでも買えるが実際にお店で見たい」というお客様に対しては、対面ならではのショッピング体験を提供できるよう、コミュニケーション力や豊富な商品知識、提案力が求められます。

営業なら

旧来の「営業は足を使え」という、とにかく人力で頑張るスタイルから、近年ではWEBマーケティングで潜在顧客にアプローチし、より確度の高い商談に時間を割けるようにしていく必要性が出てきています。

顧客とのコミュニケーションについても、対面からオンラインへ移行する中で、ZoomWEBツールの活用スキルが営業にも不可欠になってきています。

リスキリングは、これらの変化に対応しながら持続可能なキャリアを築くための、いわば「生き残り」のための施策です。

社員のリスキリングがうまくいかないと、今後企業としての順調な拡大・成長が難しくなることは否めません。社員にとっても、雇用の継続が脅かされることにもなりかねないでしょう。

リスキリングの事例 - 大手コンビニチェーンの場合

東京ITスクールでもリスキリング研修を提供しています。実際に東京ITスクールのリスキリング研修を受講いただいた企業様で、非常に効果の上がったリスキリングの事例をひとつご紹介します。

某大手コンビニチェーンのご担当者様より、

在庫管理や勤務シフトの作成をこれまで紙ベースでやっていたが、非常に時間がかかるのでもっと良い方法はないか?」

とご相談がありました。

Googleフォームやスプレッドシートを活用すれば、大幅に作業を効率化できることをアドバイスしたところ、店舗の従業員は誰も使えない、とのことでした。

そこで、店長レベルの方々に向けて「Googleフォーム・スプレッドシートの使い方講座」を開催しました。

講座を受講した方々からは、「これまで2時間かかっていいた作業が5分程度で終わるようになった」「店舗スタッフのシフト希望をフォームで提出させるようにしたことで、勤務シフトの作成・勤怠管理が格段に楽になった」とお喜びの声を多数いただきました。

当たり前のように膨大な時間をかけて行っている作業が、実は数分で終わる。

このような例は皆さまの会社でもきっとあると思います。

少子化が進み、人件費は今後ますます高騰していくことが予想されます。ひとりひとりの生産性を上げていくことを考えなければ、将来的に深刻な経営危機を招くことにもなりかねません。また、シニア人材の有効活用も必須事項となるでしょう。

従業員のリスキリングは、経営存続のためにも今すぐにでも取りかかるべきミッションと言えます。

リスキリングのメリット

リスキリングのメリット

リスキリングに取り組むことによる、具体的なメリットとはどんなことでしょうか。

企業側と従業員側、それぞれについて解説します。

企業側のメリット

  • 競争力の向上
    従業員が新たなスキルを身に付けることで、より顧客に求められる商品・サービスの開発ができたり、業務フローを大幅に効率化できる効果があります。それがビジネスを発展させることにつながり、市場における企業の競争力が大きく向上します。
  • 生産性の向上
    従業員が新しいスキルを習得し、より適切な方法で業務を行うことができるようになると、作業工数が大きく節約できます。スキル習得によって幅広い業務に対応できることで、従業員の生産性が大きく向上します。結果、コスト削減と利益の最大化につながります。
  • 人材の内部育成
    リスキリングは、企業内の人材を有効に活用する手段として非常に効果的です。既存の従業員に新しい学びと役割を与えることで、有用な人材が社内に増えていきます。これは企業にとって大きな力となります。
  • 従業員の満足度・定着率UP
    従業員が新たなスキルを習得し、これまでにはできなかった業務に対応できたり、活躍の場が増えることは彼ら自身のスキルとキャリアの成長にもつながります。従業員満足度を高め、離職率を低減するのにも有効です。採用にかかるコストも削減できますね。

従業員側のメリット

  • キャリアの成長
    新しいスキルを習得することで、従業員自身のキャリアアップにつながります。これまでとは違うスキルや知識を得ることで、職場で新しい役割や責任を果たすことができるようになります。
  • 雇用の安定
    産業や技術の変化に合わせたスキルを習得することで、従業員は雇用の安定性をキープできます。もし今の仕事の需要が減少しても、新しい仕事に適応できるスキルを持つことで、安定して働き続けることができます。
  • 職場での自信
    新しいスキルを習得し、対応領域が広がることは、従業員の自己評価と自信を大きく向上させます。「会社に貢献できている」という実感を持つことができるため、従業員はやりがいを持って働くことができます。
  • 市場価値の向上
    リスキリングにより、従業員は自身の市場価値を向上させることができます。新しいスキルを持つことで、他の求人においても競争力が高まり、より良い待遇の交渉ができる可能性が高まります。

以上のように、リスキリングは企業と従業員の双方に多くのメリットがあります。変化するビジネス環境に適応し、企業と従業員が共に成長し続けるためにも、今すぐリスキリングに取り組むことが重要です。

リスキリングの目的は資格取得ではない

スキルと聞くとまず、なんらかの資格を取得することを思い浮かべる方も多いでしょう。

しかしながら、リスキリングの目的は資格取得そのものではありません。リスキリングは、変化していくビジネス環境や市場のニーズに合わせて、自身の役割や業務内容を見直すとともに、必要なスキルを身につけ、自律的に業務に活用できる人材を育成することを目的としています。

「とりあえず資格があれば安心」という考えで学習を進めてしまうと、思いのほか役に立たなかったということにもなりかねないため、現状の業務をフラットに評価し、何が自分にとって必要な学びなのかを正しく見定めることが大切です。

チームや組織で、現状の業務の課題や今後拡大していきたいビジネス領域について考え、必要なスキルアップを明確にしていくとよいでしょう。

業界を問わず、「変化に適応できるマインド」が必要

ITスキルを習得する際には、技術そのものを学ぶだけでなく、変化に対応できる柔軟なマインドセットを持つことが重要です。急速に変化するテクノロジーの業界では、新しいツールやプログラミング言語が次々と登場します。

このような環境においては、常に学び続ける姿勢が求められます。具体的には、未知の問題に対処する際の好奇心や、自ら進んで新しい情報を取り入れる積極性が、成功へのポイントです。失敗を恐れず試行錯誤を繰り返すことで、実践的なスキルの向上が期待できるのです。

企業においても、従業員が変化を恐れずに新しい技術を習得できるよう、学習機会の提供やサポート体制を整える必要があります。学習のための環境が整うことで、個々の従業員が持つ抵抗感をなくし、潜在能力を最大限に引き出すことができるでしょう。

さらに、変化に対応するマインドを育てるためには、自己反省やフィードバックを積極的に取り入れる習慣を持つことも大切です。これにより、個人の成長だけでなく、チーム全体の協力体制も強化され、より革新的なプロジェクトの実現が可能となります。

既存の人材にIT教育を行うメリット

既存の人材に対してIT教育を行うことは、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。

まず、既存の社員に対するIT教育は、彼らが新しい技術やトレンドに迅速に対応できるようにするための重要な手段です。これは、企業が市場の変化や競争に柔軟に対応するための基盤を築くことに直結します。

また、既存の人材にIT教育を施すことで、外部からの新たな人材採用に伴うコストやリスクを削減することもできます。新たに採用するよりも、社内の文化やビジョンを理解している既存の社員を育成する方が効率的ですし、従業員のモチベーション向上にも効果的です。

既存の社員が持つ専門知識と新しいITスキルが統合されることで、業務プロセスの改善や新しいビジネスモデルの創出につながり、それが結果的に企業の競争力を強化することになるのです。

IT教育を受けた社員は、業務の効率化や生産性の向上に貢献してくれることが期待でき、日常の業務をより迅速かつ正確に行えるようになります。このことで企業全体のパフォーマンス向上が促され、成長のための大きな力となります。

最後に、IT教育は従業員のキャリア成長や自己実現をサポートする役割も果たします。社員が新しいスキルを習得することで、キャリアの幅が広がり、長期的なキャリアプランの構築が可能になります。

社員のエンゲージメントや定着率が向上し、企業文化の強化にもつながるでしょう。このように、既存の人材にIT教育を行うことは、企業と従業員の双方にとって多くのプラスの影響があるのです。

従業員のリスキリングを効果的に進めるための7ステップ

従業員のリスキリングを効果的に進めるための7ステップ

リスキリングの重要性は理解しているけど、どうやって進めたらいいのかわからない、という方も多いと思います。ここからは、従業員のリスキリングを効果的に進めるための7つのステップを解説します。

ステップ1.リスキリングの必要性を社内全体が理解する

最初のステップとしては、まず「なぜリスキリングが必要なのか」を従業員が理解することです。

先のセクションでも変化の必要性について述べましたが、「技術の進化や業界の変化によって、これまでの業務がどのように変わっていく必要があるのか」「そのためにどんなことが必要なのか」をしっかりと伝えましょう。

また、リスキリングによって業務を改善することが、従業員と企業にとってどのようなメリットをもたらすのかを明確にしましょう。企業と従業員双方がリスキリングについて共通の認識・理解を持てることで、その後のステップがスムーズに進みやすくなります。

ステップ2.リスキリングの目標とタスクを設定する

次に、どのスキルや知識を強化する必要があるのかを見きわめ、リスキリングの具体的な目標を設定します。以下に目標とそれに対するタスクの例を挙げます。

目標例1. 事務職の従業員にデジタルマーケティングの支援をさせたい

  • Excelでの作業自動化スキル、業務用WEBツールの活用方法の習得
  • デジタルマーケティング関連のツール、データ分析のスキルの学習

目標例2. 製造作業員に機械制御・製造フローの監視を任せたい

  • 機械制御システムの操作・保守に関するデジタルスキルの習得
  • 生産ライン上でのデジタル監視と品質管理のためのソフトウェアツールの使用方法の理解

目標例3. アパレル販売員にオンラインショップの管理業務を担当させたい

  • オンライン販売プラットフォームやソーシャルメディアを活用したデジタル販売スキルの習得
  • 売上データや在庫データの分析し、在庫の最適化と需要予測のスキルを習得

ツールの種類は目的によって様々と思いますが、このように事前に設定することでゴールが明確になります。

ステップ3.リスキリングに取り組むためのリソースを確保する

リスキリングにはリソースが必要です。業務を行う中で学習の時間を取る必要があるため、大きな支障が出ないように配慮しながら計画しましょう。

予算、トレーニング資材、専門知識を提供できる教育機関や講師などを確保しましょう。従業員にとって学習のための時間を確保する計画も立てます。リスキリングには国の助成金の活用ができる場合もありますので、是非検討しましょう。

ステップ4.リスキリング研修のプランを作成する

ステップ2で定義したタスクをもとに、従業員の個々のニーズに合った研修プランを考えましょう。

オンライン型、eラーニング、講師派遣型などの研修がありますので、内容を精査した上で適したものを選びましょう。どんなものがよいかわからない時は、教育機関を複数ピックアップして問合わせましょう。

ステップ5.従業員を参加させる

プランができたら、従業員に実際に研修を受講させます。研修の後は、必ず報告をさせるようにしましょう。研修が業務の中で今後どのように活かせそうか、どんなことを目標にしていくかなどを明確にすることで、育成の効果が上がりやすくなります。

ステップ6.リスキリング研修後の進捗をモニタリングする

研修の後は、進捗を定期的にモニタリングしましょう。業務内でのリスキリングの効果を追跡し、必要に応じて調整を行います。進捗レポートや評価を用いて従業員の成長を可視化し、フィードバックを提供しましょう。

ステップ7.成果を評価し継続的な改善を行う

リスキリングプログラムの結果を評価し、目標が達成できたかを確認します。同時に、今後のリスキリングプランに反映できる改善点を特定します。リスキリングは一度で終わりではなく、継続的改善していくことが重要です。

リスキリングに人気のITスキル5選&おすすめ研修

業種によっても若干変わりますが、リスキリングにおいて人気のスキルと、東京ITスクールで現在提供しているおすすめの研修についてご紹介します。

プログラミング:非IT人材のエンジニア化にも

プログラミングの基礎を学び、自社のシステム開発や自動化に活かすことができます。また、非IT人材をエンジニアとして一から育成したい場合にも、基礎から学べる研修があります。

ECサイトの運営や、WordPress上でのサイト更新などにも、プログラミングの基礎知識があるととても役立ちます。

データ活用・分析

データ分析のスキルを身に付ければ、事実に基づいて顧客の動向を探ったり、トレンドの統計予測などができるほか、在庫管理、生産計画、販売戦略などの最適化ができたりと、業務上の様々な意思決定の助けになります。

場所や端末を限定せずに活用できるコミュニケーションツールであるSlack、GoogleカレンダーやスプレッドシートといったWeb上の各種ツールが使いこなせると、様々な業務に応用できます。

社内コミュニケーションをはじめ、営業担当のスケジュール管理や、進捗シートの共有など、チームでの仕事に役立つ便利な要素がたくさんあります。

リスキリング研修でITスキルを身につけ、企業の成長を加速しよう

本記事では、ITスキルの習得による社員のリスキリングについて解説してきました。今後も企業が競争力を維持し、成長を続けるためには、従業員のITスキル向上が不可欠と言ってよいでしょう。

ITスキルの研修は、単なる技術の習得にとどまらず、企業文化の変革や業務効率の改善に大きな効果を発揮します。従業員が新しいITスキルを持つことで、企業が持続的に成長するための要因となります。

研修を受けることで、従業員は最新の技術動向に敏感になり、業務プロセスを最適化し、効率的に行うことができるようになります。この試みは、企業にコスト削減と生産性向上を可能にします。

リスキリングでITスキルを習得することは、社員自身のキャリアパスを明確にし、自己成長を実感できる機会にもなります。企業に対するエンゲージメントが高まり、離職率の低下につながる効果もあるのです。

企業の成長を加速するだけでなく、社員の成長を促す重要な投資として、企業は積極的にリスキリング研修を導入し、未来に向けた強固な基盤を築いていきましょう。

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東京ITスクール 金坂

SEとしてB2Cアプリ開発、金融系システム開発などを経験後、人事部で採用業務を担当。現在は東京ITスクールの講師として新人研修から階層別研修、人事向けセミナーまで幅広く登壇。猫を3匹飼っている猫好き。


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