ITリテラシー研修とは?早急に実施すべき理由とその効果を解説
公開日:2023年09⽉22⽇最終更新日:2025年02⽉20⽇

ITリテラシー研修とは、企業の従業員が情報技術を適切に利用できるようにするための教育プログラムです。この研修を実施することにより、IT技術を活用して効率的な業務遂行を可能にします。
ITリテラシー研修を実施しないと、企業には様々な課題が生じます。最も大きなものとしては、IT技術を活用できずに業務効率が低下してしまうことです。
また、情報の伝達に時間がかかり、業務に必要な情報が適切に共有されないことで生じるコミュニケーションロスも無視できません。近年注目されているテレワークなど、新しい働き方への移行も、ITリテラシーが低いとスムーズに進まないでしょう。
ITリテラシー研修によって、従業員一人ひとりのスキルアップを図り、企業全体のデジタルトランスフォーメーションを推進しましょう。
ITリテラシー研修とは?
ITリテラシー研修とは、ITツールの基本的な使い方や、それらを活用した業務改善の手法などを学ぶ教育プログラムのことを指します。
新入社員からベテラン社員まで、全社員が必要なITスキルと知識を身につけることで、業務の効率化や生産性向上を目指すものであり、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で重要な一部となります。
対面式やオンラインラーニングなど、実施方法は多岐に渡りますが、それぞれの企業のニーズに応じて適切な研修内容や形態を選択することが求められます。
ITリテラシー研修が必要な企業の特徴
ITリテラシー研修が求められる企業には、特定の特徴が存在します。
経営層のITリテラシーが低い
経営層がITリテラシーを持たないと、ITに関する重要な意思決定に支障が出ます。
例えば、適切なIT投資ができず、企業の競争力が低下したり、デジタル化の波に取り残される可能性があります。また、経営層がリテラシーを持っていないと、社員に対するIT教育の重要性を理解し、適切な教育機会を創出できません。
経営層のITリテラシーが低いと、企業全体のITスキルの向上が難しくなります。
従業員のITスキルに格差がある
従業員間のITスキルに格差が存在する場合、企業の生産性や業務効率に影響を及ぼす可能性があります。初めてITツールに触れる新入社員から、既存のツールを使いこなせるような研修を受けていない既存の社員まで、ITリテラシーのレベルは企業内において幅広く分散していることが一般的です。
うした状況は、業務プロセスの中断や無駄な時間が発生する原因となり得ます。ITリテラシー研修を実施することで、社員一人ひとりのスキルレベルを均一化し、全員が最新のITツールを効率よく利用できる環境を作ることが可能となります。
これは、業務効率の向上はもちろん、社員同士のコミュニケーション向上にも寄与します。
ITツールを使いこなせない
ITツールを使いこなせない企業は多く、これが生産性向上の障害となるケースがあります。メールの送受信やデータの取り扱い、ビデオ会議システムの使用など、日常的な業務にもITツールの利用は避けて通れません。
しかし、使いこなせないために十分なパフォーマンスを発揮できず、業務効率が悪化するケースが増えています。さらに、ITツールの操作が不得手な人が増えると、それをサポートするために一部の社員が過度な負担を負うリスクもあります。
これらの状況を改善するためにも、ITリテラシー研修は非常に重要なものとなります。
ITリテラシー研修を行わないことで生じる7つの課題
ITリテラシー研修を行わないことで生じる課題は、生産性の低下からコミュニケーションの問題、セキュリティリスクの増大など、企業運営に大きな影響を及ぼします。
ここでは適切なITリテラシー教育を行わなかった場合の課題を7つ挙げます。
生産性が低下する
ITリテラシーの低さが企業の生産性を直接低下させるという事実は、多くの企業が見落としがちなポイントです。生産性とは、一定の労働時間に対する生産物量を指すため、ITツールの適切な使い方を理解している従業員は、情報を効率的に管理し、タスクを迅速に達成することが可能になります。
一方で、ITリテラシーが低い従業員は、ITツールの操作に手間取る、適切な情報を見つけられない、データベース管理が不適切であるなどの問題を抱える可能性があります。これらは全て、生産性の低下に繋がる要因となります。ITリテラシー研修では、こうした問題を解消し、業務効率の向上を実現します。
コミュニケーションロスが発生しやすくなる
ITリテラシー研修を行わない会社では、従業員間のスキル格差や理解度によりコミュニケーションロスが発生します。例えば、メールの使い方やデータの共有方法、オンライン会議ツールの操作などに習熟していない社員がいると、情報の伝達がスムーズに行えず、誤解や仕事の遅延を招く可能性があります。
また、社内ツールの使い方を教えるために他の社員が時間を取られるという二次的なロスも発生します。これらを防ぐためにも、ITリテラシー研修は必要不可欠で、全員が必要なツールを使いこなせる環境を整えることが求められます。
ニューノーマルへの移行が進まなくなる
「ニューノーマル」時代における働き方への移行が遅れるという問題がITリテラシー研修を行わないことで生じるリスクの一つです。リモートワークやオンライン会議など、ITを活用した働き方が求められる現在、従業員が必要なスキルを身につけられないままでは企業全体の業績にも影響を及ぼします。
ITリテラシー研修により、従業員一人ひとりがITの基本操作を理解し、さまざまなツールを使いこなすことで、新しい働き方にスムーズに移行することが可能になります。
セキュリティインシデントが発生しやすくなる
ITリテラシーが不足した状態では、セキュリティインシデントのリスクが高まります。ITリテラシーが低い社員がいると、誤って悪意のあるウェブサイトを開いたり、フィッシングメールを開封したりする可能性があります。
これらの行動により不正アクセスを許しやすくなり、企業内の重要な情報が流出する可能性もあります。また、パスワード管理が適切に行われない場合もリスクを高める要因となります。研修を通じてITリテラシーを高めることで、これらのリスクを軽減し、企業の情報資産を保護することが可能になります。
SNSの炎上リスクが高まる
SNSの炎上リスクが高まるというのは、具体的には何か。それは、従業員がSNSの適切な使い方を理解していない場合、一般的なマナーや誤った情報を投稿してしまって、企業のブランドイメージを損なうリスクを指します。
特に、私たちの日常生活や業務においてSNSの利用が増えている現代では、このリスクは無視できません。そのため、ITリテラシー研修を通じて、SNSの適切な利用方法や情報の発信方法を学ぶことは非常に重要です。
もちろん、それだけでなく、情報の正確性を確認する能力や、企業の情報セキュリティポリシーを理解するための研修も含めた複合的なアプローチが求められます。
ITリテラシー研修を行う3つのメリット
ITリテラシー研修は、企業にとっての3つの重要なメリットを持っています。第一に、共有される情報の質が高まります。ITリテラシーが向上すると、社員間で適切なIT用語が使われ、誤解や混乱を防ぐことができます。第二に、業務効率が向上します。
ITスキルが身につくことで、時間を節約し、生産性を向上させることができます。第三に、大規模な情報漏洩が起こりにくくなります。全員がセキュリティリテラシーを持っているので、社内の情報保護が強化されるのです。
これらの理由から、ITリテラシー研修は企業にとって必要不可欠なものとなっています。
企業内で共有される情報の質が高まる
ITリテラシー研修を行う一つの重大なメリットとして、企業内で共有される情報の質が向上する点が挙げられます。研修を通じて、社員一人ひとりがITツールを正確に理解し、効率的に使いこなせるようになると、その結果として企業全体の情報共有もスムーズかつ高品質になります。
具体的には、データ分析ソフトやビジネスチャットツールなどITリテラシーが求められるツールを使うことで、適切なデータの抽出や視覚化、正確な情報のタイムリーな共有が可能になります。これにより、企業内の情報ブレやミスが減少し、全員が正しい情報に基づいた意思決定を行えるようになります。
また、新しい技術トレンドやITツールを社員が自主的に学び、共有する文化を育てることも可能になります。これは中長期的な視点から見ても、企業の競争力向上に繋がります。
一人ひとりがITリテラシーを高め、その知識を共有することで、「学習する組織」への一歩を踏み出すことができるのです。
業務効率が向上する
ITリテラシー研修を行うと、従業員一人ひとりがITツールを適切に利用する能力が高まります。これにより、業務で情報を正確に、そして迅速に処理する能力が向上します。例えば、スプレッドシートの操作が習熟していると、データの集計や分析がスムーズに行えます。
また、電子メールやオンライン会議ツールを適切に使うことで、内外のコミュニケーションも円滑になります。このようなスキルアップは、無駄な手間を減らし、業務効率を大いに向上させる効果があります。
大規模な情報漏洩が起こりにくくなる
情報漏洩のリスクを減らすためには全社員のITリテラシーを向上させることが欠かせません。ITリテラシー研修により、社員がセキュリティ対策の基本的な知識を身に付け、不審なメールやウェブサイトからの攻撃を防ぐことが可能になります。
また、便利なクラウドサービスの利用方法を教えることにより、誤って社内情報を外部に公開するリスクを低減できます。このように、研修を通じて社員一人ひとりがITリテラシーを身につけることは、大規模な情報漏洩事件を未然に防ぐ重要な対策となります。
効果的なITリテラシー研修を行うポイント
ITリテラシー研修を効果的に行うためには、以下のポイントが重要です。
- 従業員の資格取得をサポートする
- 企業・法人研修サービスを活用する
- 研修の意義やメリットを説明した上で実施する
- 自社のニーズに合わせてカスタマイズして研修を実施する
それぞれ解説していきます。
従業員の資格取得をサポートする
ITリテラシー研修の一部として従業員の資格取得をサポートすることは、大いに推奨されます。なぜなら、資格取得は従業員自身のスキル向上の証明であり、企業としてもそのスキルを確実に活用できるようになるからです。
例えば、Microsoft Office Specialist(MOS)のような、一般的なビジネスで活用するITツールの資格を取得する支援を行うことで、社員一人ひとりのITリテラシーを確実に底上げすることが可能です。また、資格取得支援は社員のモチベーション向上にも繋がりますので、研修の有用性を高める助けとなります。
企業・法人研修サービスを活用する
企業や組織がITリテラシー研修を成功させるための一つの方法として、企業・法人向け研修サービスの活用が挙げられます。一部の企業では、IT研修を自社で設計・運営するケースも見られますが、その手間とコストがかかりますし、最新のITトレンドをいち早く取り入れることが困難になる可能性もあります。
そこでおすすめなのが、専門性を持つ企業・法人研修サービスの利用です。これらのサービスは、最新の教育内容を提供するだけでなく、研修の進行や評価、改善提案をトータルでサポートします。資料作成から講師の手配、進行管理まで一貫したサービスを展開し、企業側の負担を軽減します。
特にITリテラシー向上は、社員一人ひとりのスキルアップだけでなく、組織全体の生産性向上に直結するため、専門的なサポートを得ることが重要です。
ITリテラシー研修の意義やメリットを説明したうえで実施する
ITリテラシー研修を実施するのにクリティカルなポイントが、その意義やメリットをしっかりと説明したうえで実施することです。理由は簡単で、従業員がなぜ研修を受け、何を学ぶ必要があるのか理解していなければ、研修自体へのモチベーションが下がり、期待する結果が得られないからです。
この対策として、事前のオリエンテーションで具体的な学習ゴールや研修から得られる具体的なスキル、それが仕事にどのように生かせるのかを具体的に説明することが重要です。これにより、受講者は自身の成長とともに組織全体の発展に貢献できると感じ、研修に前向きに取り組むでしょう。
自社のニーズに合わせてカスタマイズして研修を実施する
自社のニーズに合わせてカスタマイズして研修を実施することは、具体的なスキルの向上から社内の課題解決まで、企業にとっての最適な戦略となります。
一般的なツールの使い方や基本的な操作方法だけでなく、企業独自のシステムや業務フローを理解し活用するための研修を行えば、社員の業務効率がさらに向上します。また、新入社員からベテランまで、レベルに応じた研修内容にすることで、全員が必要な知識やスキルを身につけることが可能となります。
ITリテラシー研修を実施してDXを推し進めよう!
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するには、ITリテラシー研修が欠かせません。それにより企業は効率的な業務遂行を図り、新たなビジネスチャンスを掴むことが可能になります。
しかし、DXは一朝一夕に行えるものではありません。社員一人ひとりのITリテラシーを高め、全体としてのITスキルを向上させる必要があります。この記事を読むことで、ITリテラシー研修について理解を深め、自社の研修計画に活かすことが可能となります。組織全体としてのITスキルアップにより、DXを更に進めることができるでしょう。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。