要件定義とは?初心者ITエンジニアが押さえておきたいプロセスとポイント
公開日:2023年10⽉30⽇最終更新日:2023年10⽉30⽇
要件定義はシステム開発の基礎と言っても過言ではありません。しかし、要件定義に苦手意識を持っている初心者エンジニアは多く
「具体的に何をすれば良いかわからない」
「定義書の書き方がわからない」
という声も多く聞かれます。
かといって、要件定義のスキルを身につけずにいると、いつまで経っても上流工程に関わることができず、単価アップも望めないのが現実です。
新人エンジニアを卒業して、一人前のプロとして活躍したいなら、上流工程に携われる知識とスキルを早いうちから積極的に身につけましょう。
この記事では、要件定義を行う際に心がけたいポイントや定義書に盛り込むべき内容を解説しています。
要件定義に対する苦手意識を払拭して、キャリアアップ・単価アップを実現しましょう!
要件定義とは
「システム開発の成否は要件定義の質が左右する」と言われることもあるほど、要件定義は開発において重要な工程です。まずは、要件定義の概要と要求定義・基本設計との違いを解説します。
要件定義とは
要件定義は、開発に着手する前の段階で、予算や納期なども踏まえながら「ユーザーの要求を叶える機能をどのようにシステムに搭載するか」を決めることです。システム設計の基盤ともなる工程で、要件定義で決めたことは一般的に「要件定義書」というドキュメントにまとめられます。
要求定義との違い
要件定義は、システムに搭載する機能をまとめます。その前段階に位置するのが、要求定義です。
要求定義ではユーザーやクライアントが実現したいことや希望を定義します。たとえば「業務をシステム化したい」「今使っているシステムを変更したい」といったことです。
要求定義は、ユーザーとなる企業や部門が行なうものとされていますが、ユーザーは表に出ていない潜在的な要求を抱えていることが少なくありません。
ユーザーだけではそこまで深い要求に気付くことは難しいため、開発側の営業担当者などユーザーに近い人がヒアリングを行って、聞き出したことをもとに要求定義をまとめることもあります。
要求定義についてより深く学びたい方には、東京ITスクールの「アクティブリスニング習得講座」がおすすめです。ぜひ、受講をご検討ください。
基本設計との違い
基本設計は、要件定義の次の工程です。要件定義とともに開発の「上流工程」に含まれるため、混同する人が少なくありません。しかし、要件定義と基本設計は全くの別物です。
基本設計では、要件定義で定義された「システムに搭載する機能」を元に、画面のレイアウトやバックグラウンドでの処理など機能ごとにどのような開発を行うか決定します。
要件定義がユーザーの要望やシステム要件などをまとめたものであるのに対し、基本設計はシステムの外部仕様をまとめたものです。
東京ITスクールでは、基本設計の基礎が学べる講座も受講いただけます。
要件定義とともに基本設計のスキルも身につけたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
定義書完成までのプロセス
要件定義書を完成させるまでのプロセスを解説します。要件定義書完成までは、大きく3つの工程に分けられます。詳しくみていきましょう。
- ユーザーからのヒアリングをもとに要求を定義する
- システム要件を検討する
- 要件定義書を作成する
ユーザーからのヒアリングをもとに要求を定義する
要件定義の前段階として、要求定義があります。要件定義書を作成するうえで避けては通れない工程です。
要求定義では、ユーザーが何を実現したいかを細かく聞き出すことを心がけましょう。
多くの場合、ユーザーは言葉にできない潜在的な要求を抱えています。ユーザー自身も気付いていない要求を引き出すためにも、要求定義はコミュニケーション力があり、ユーザーと近しい立場の人が行うのが理想です。
営業担当者など、ユーザーが日頃から抱えているニーズにも敏感な人がヒアリングを行うと良いでしょう。
実装する機能を検討する
ヒアリングが終わり、ユーザーがシステムに求めるものがまとまったら、実際にシステムに搭載する機能を検討します。
ユーザーの要求に優先順位を付け、それを実現するためにどんな機能が必要かを考えましょう。搭載する機能は「必ず搭載する必要がある要件(必須要件)」と、「できれば搭載したほうが良い要件(希望要件)」に分けて考えると混乱しにくいです。
実装する機能を考えはじめると、「あれも実装したい」「これも実装したい」と実装したい機能が際限なくふくらんでしまうことが少なくありません。しかし、予算も開発時間も限られたなかで開発しなければならないので、すべてを実装するのは不可能です。
必須要件は必ず実装するものなので取捨選択する必要はありませんが、希望要件に関しては優先順位を付けて実装する機能を絞り込んでいきましょう。
要件定義書を作成する
要件定義ができたら、内容を「要件定義書」にまとめます。
要件定義書はシステム開発に携わるメンバー全員で共有するものなので、誰が見てもわかりやすいものでなくてはなりません。
ITに詳しくないユーザーとも共有するので、専門用語の使い過ぎには気を配り、システム開発やITに詳しくない人が見ても理解できる内容にしましょう。必要に応じて、補足資料を作成すれば、メンバーが内容を理解する際の助けになります。
要件定義書に最低限盛り込むべき項目
ここからは、要件定義書に最低限盛り込むべき項目を解説します。
要件定義書に最低限盛り込むべき項目は、以下の通りです。
- 開発するシステムの概要
- 機能要件
- 非機能要件
- その他
開発するシステムの概要
まず、要件定義書には「開発するシステム全体の概要」を盛り込みましょう。システム全体の概要は「システム要件」とも言われます。
システム要件には「どのようなシステムを開発するのか」や「なぜ新しくシステムを開発するのか」といったことを記します。
システム要件を記すときは、次の5つのことを盛り込みましょう。
- システムの概要
- 開発する目的
- 開発したシステムから得られるメリット
- 開発に使用するプログラミング言語
- システム導入後に予想される業務の変化
システム要件があいまいなまま開発を進めると、途中で大きなトラブルが発生したり、遅々として開発が進まなくなったりするリスクがあります。後のトラブルを防ぐためにも、明確に記載することが重要です。
機能要件
機能要件は「必ず実装しなければならない機能」を指します。機能要件の実現が開発のゴールになるため、明確にわかりやすく示すことが大切です。
機能要件を記す際は、次の5つのことを盛り込みましょう。
- レイアウトなどUIをどうするか
- システムやデータの種類
- システムの構造や処理の仕方
- 外部との連携機能の有無
機能要件には、クライアントがシステムに求める必須の機能やレイアウトなどを記載します。このときも、ユーザーとなる企業や部門とエンジニア間の認識が揃うまで何度もすり合わせを行ってください。
すり合わせが不十分だと、できあがったシステムが満足のいくものでなかったり、開発中にトラブルが発生したりしやすくなります。
非機能要件
非機能要件は、「システムの機能以外の部分で求められる要件」で、メンテナンスのしやすさやセキュリティシステムなどを指します。
非機能要件は開発において重要な要素ですが、具体的にイメージできないユーザーが少なくありません。複数回ヒアリングを実施しても開発側との間にズレが生じやすいので、慎重にヒアリングを進めましょう。
開発着手後のトラブルを防ぐためにも、必要に応じて追加資料を作成するなど、常に共通認識が持てるよう工夫することが重要です。
その他:予算やスケジュールなど
要件定義から先の工程における予算やスケジュール、作業場所、使用する機器なども記載しておくと、後のトラブル発生が防げます。
スケジュールや使用する機器といった情報は不要に思えるかもしれません。しかし、細かい部分までしっかり定義書に起こしておくと開発に携わる全員が共通認識を持ちやすくなるので、スムーズに開発が進められるようになります。
要件定義を行う際に心がけたい6つのポイント
要件定義を行う際は、次の6つのポイントを心がけましょう。
- ユーザーの潜在的な要求まで正確に引き出す
- ユーザーが現在使用しているシステムや業務の流れを把握する
- ミーティングの回数やタイミングも計画に盛り込む
- ユーザーの要求と要件定義がズレていないか確認する
- 誰が・いつまでに・何をするか役割分担する
- 誰もが見やすい・わかりやすい要件定義書を作成する
以上のポイントを心がけることで、要件定義以降の工程がよりスムーズに進められます。
詳しく解説します。
ユーザーの潜在的な要求まで正確に引き出す
要件定義の前段階として行う要求定義では、ユーザーの潜在的な要求まで正確に引き出すよう工夫しましょう。
ヒアリングをする際は、次の5W2Hを意識すると得られる情報量が増えます。
What:実現したいことは何なのか
Why:なぜシステムが必要なのか
Who:システムを利用する人は誰か
Where:業務のどの部分にシステムを導入するのか
When:いつまでに開発する必要があるのか
How:どうやってユーザーの要求を実現するのか
How much:開発に必要な予算はどれくらいなのか
ユーザーの多くは、言葉にできない潜在的な要求を抱えています。質問を繰り返すことで、ユーザー自身も気付いていない要求が見えてくることもあるので、ぜひ積極的に問いを投げかけ、情報を引き出しましょう。
ユーザーが現在使用しているシステムや業務の流れを把握する
ユーザーが現在使用しているシステムや業務の流れを把握することも重要です。現状のシステムや業務フローのどこにどのような問題があるかがわかれば、より役に立つシステムが開発できるでしょう。
ただし、ユーザーによっては業務の流れどおりに業務を行っていなかったり、現在あるシステムを活用していなかったりすることがあります。
現在使われているシステムや業務の流れを把握する際は、必ず実態を把握するよう努めてください。
ミーティングの回数やタイミングも計画に盛り込む
ミーティングの回数やタイミングも計画に盛り込んでおくと、開発がスムーズに進みます。
業務工程の進捗に合わせてその都度予定を決めて集まるは効率的ではありません。開発に着手する前の段階で、いつ・誰が・どこに集まって・何を話し合うかを決めておきましょう。
開発工程の区切りごとにミーティングを設けて、1回のミーティングで話し合う内容を絞り込むようにすると、完成までに必要なミーティング回数が見えてきます。
ユーザーの要求と要件定義がズレていないか確認する
ユーザーの要求を元に要件定義が完成したら、ユーザーと開発側で要求の抜け漏れや認識のずれがないか確認するようにしてください。
認識の違いがあるまま開発を進めると途中でトラブルが発生したり、手戻りが発生したりしやすくなります。
要件定義書ができたら、双方で読み合わせ・突き合わせをする機会を設けることをおすすめします。
誰が・いつまでに・何をするか役割分担する
要件定義における役割分担も明確にしておきましょう。役割分担があいまいだと、要件定義がスムーズに進みません。
特に、ユーザー側が行うべきことを開発側で引き受けたりすると、業務量が増えて本来の業務に支障をきたすことがあります。
開発側の負担が増すのを避けるには、業務をタスクに分解して担当者と期限を決め、開発の前段階ですべて割り振ってしまうのが効果的です。
要件定義の段階で「誰がいつまでにやるかわからない作業」をなくすよう心がけてください。
誰もが見やすい・わかりやすい要件定義書を作成する
要件定義書はシステム開発に関わる人全員で共有するべきものです。実際に開発に携わるエンジニアだけでなく、IT知識がないユーザーが見てもわかるように定義書を作成しましょう。
関係者間の知識に差があると、認識のズレが生じやすくなります。認識のズレを防ぐには、IT知識が乏しい人に合わせた表現を心がけることが肝心です。専門用語は極力使わず、使う際はかみ砕いた解説を添えるなど工夫しましょう。
区切りの良いところまで書けたら、ITに詳しくない人に見てもらい、わからない部分やイメージしづらい箇所がないかチェックしてもらうのも効果的です。
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システム開発の基本ともいうべき要件定義ですが、苦手意識を抱いているエンジニアは決して少なくありません。
しかし、一見難しそうに思える要件定義も、手順とコツを知れば誰でもできるようになります。
要件定義を行う際は次の手順で進めましょう。
- ユーザーからのヒアリングをもとに要求を定義する
- 実装する機能を検討する
- 要件定義書を作成する
要件定義をする際は、次の6つのことを心がけると後の工程がスムーズです。
- ユーザーの潜在的な要求まで正確に引き出す
- ユーザーが現在使用しているシステムや業務の流れを把握する
- ミーティングの回数やタイミングも計画に盛り込む
- ユーザーの要求と要件定義がズレていないか確認する
- 誰が・いつまでに・何をするか役割分担する
- 誰もが見やすい・わかりやすい要件定義書を作成する
初心者エンジニアを卒業して要件定義・基本設計といった上流工程にも携われるようになると、キャリアアップだけでなく単価アップも期待できます。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。