DXとは?IT化・デジタル化との違いや推進に必要な人材の育成方法を解説!
公開日:2023年10⽉17⽇最終更新日:2023年10⽉17⽇
DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれて久しいですが、いまひとつどのようなものか理解しきれていない方も多いのではないでしょうか?
「DX=デジタル化・IT化」と思っている方も多く、どのように進めていけばいいのかわからない方も少なくありません。
そこで、この記事ではDXの概要やIT化との違い、進めていくうえで必要な人材の育成方法を解説します。
要点を押さえてスムーズにDXを実現し、企業の競争力を高めていきましょう。
DXの概要とIT化・デジタル化との違い
DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれて久しい昨今ですが、DXが具体的にどのようなことを指すのか理解しきれていないという人は決して少なくありません。
まずはDXの概要とIT化との違いを解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した言葉です。トランスフォーメーションには「変化」や「変容」という意味があります。
ストルターマン教授は、「IT技術が人々の間に浸透することで、生活がより良くなる」と考えました。その際用いられたのが「DX」という言葉です。
つまり、DXは「デジタルによって人々の生活がより良く変化すること」と言い換えられます。
日本においてDXという言葉が広く聞かれるようになったのは、2018年ごろからです。
2018年に経済産業省は「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」という資料を発表しました。
その中で、日本企業のデジタル化が遅れれば他国との競争に負け、2025年から2030年にかけて年間12兆円もの経済的損失が発生するとの見通しが明らかになっています。
そこで叫ばれるようになったのが、企業におけるDXの推進です。
2018年12月、経済産業省はDXを次のように定義しました。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、 競争上の優位性を確立すること。 (経済産業省:「デジタルガバナンスコード 2.0」より引用) |
つまり、ビジネスの分野におけるDXは「他の企業より儲かる仕組みづくり」と言い換えられるのです。
DXとIT化・デジタル化の違い
DXとIT化・デジタル化の違いは、目指すゴールの違いです。
IT化やデジタル化のゴールは、業務効率の改善や生産性の向上にあります。
これまでアナログな手法で行っていた業務にITを導入して、かかる時間や手間を大幅に削減するのがIT化やデジタル化です。
一方、DXは業務のIT化・デジタル化を通じて、組織やビジネスモデルを「変革」することをゴールとします。DXにおいてIT化・デジタル化は変革を成し遂げるのに必要な戦術・手段のひとつにすぎません。
つまりDXの前段階として、IT化・デジタル化があるのです。
DXが必要な理由
ここからはDXのが必要な理由を解説します。その理由は、以下の4つです。
- 業務効率が改善するから
- 生産性が向上するから
- 競争力が向上するから
- 災害や障害に強い仕組みが作れるから
ひとつずつみていきましょう。
業務効率が改善するから
DXを行うと、業務効率が大きく改善されます。
これまで行ってきた業務の流れを見直し、アナログで行っていた作業をデジタルで処理するシステムやITツールを導入すれば、残業時間の削減や働きやすい環境の構築が可能になります。
さらにデジタル技術を導入して、リモートワークができる環境を整えれば、多様な働き方も実現できるでしょう。
生産性が向上するから
業務効率が改善すると作業の無駄が無くなり、生産性が向上することも珍しくありません。
たとえば、作業をIT化して人為的なミスが無くなれば、人によるチェックが不要になります。それまで行っていたチェックが不要になれば、新製品の開発などに注力できる社員も増えるでしょう。
マーケティングに必要な顧客情報の収集・分析をデジタル化すれば、それまでデータの収集・分析まで行わなければならなかった人もの負担が減り、計画の立案と実行に注力できるようになります。
DXの結果、本当に必要な業務に集中して取り組めるようになれば、短時間でも大きな利益を上げられるようになるでしょう。
競争力が向上するから
DXを推進すると競争力の向上も期待できます。特に近年注目を集めているのが、AIやビッグデータを用いた新しいビジネスモデルです。
常に最新の技術を取り入れることで、まだ誰も手を出したことのない分野でのビジネスが可能になり、企業の競争力が大幅に向上するでしょう。
災害や障害に強い仕組みが作れるから
DXは事業継続計画にも大きく影響します。
事業継続計画とは、災害やシステム障害など有事の際に業務の中断を最小限に抑え、業務を継続するための計画です。
DXを進めて普段から業務システム・機能を分散させておくと、有事の際も中断を最小限に抑えて業務が継続できるようになるでしょう。
たとえば、ファイルをクラウド上で管理するなど、職場以外の場所でも業務ができる仕組みを作っておけば、災害などで出勤できないときも業務が中断しにくくなります。
DXを進めることは、災害や障害に強い仕組みを作ることにもつながります。
DXを推進するうえで必要な4つのこと
ここからはDXを推進するのに必要なことを解説します。何から手を付ければ良いかわからない方は、次の4つのことを順番に行っていきましょう。
- 現在利用しているシステムの状態を正確に把握する
- 社内の課題を明確にする
- システム刷新などにかかる費用を確保する
- DXを進めるのに必要な人材を確保する
現在利用しているシステムの状態を正確に把握する
まず、DXを推進するにあたって最も大切なことは、現在利用しているシステムの状態を正確に把握することです。
管理者が離職していたり、マニュアルなどが行方不明になっている場合は、特にていねいに状況の把握に努めましょう。現状が正確に把握できないと、新システムへの移行がスムーズに進みません。
既存システムは、DXの最大の障壁とも言われており、多くの企業の足かせになっています。
社内の課題を明確にする
次にすべきことは、社内の課題を明確にすることです。課題だと感じていることをこまかくリストアップし、それぞれDXで解決できるか精査してください。
課題を見つけるためには、既存の業務プロセスを疑うことも重要です。
「本当にこの流れでしか行えないのか」
「もっと短時間で処理する方法はないのか」
など、これまで思い至らなかった可能性や手段についても幅広く検討するとよいでしょう。
システム刷新などにかかる費用を確保する
抱えている課題がDXによって解決できる場合は、システム刷新などにかかる費用を確保しましょう。DXにはそれなりの費用が掛かります。
社内でDXに必要な費用の見当がつかない場合は、外部の詳しい専門家に相談するなど、できるだけ費用を正確に把握することが重要です。
DXを進めるのに必要な人材を確保する
DXをスムーズに行うには、DXに必要なスキルを持った人材を確保する必要があります。しかし、昨今はニーズが高まっており、DXに必要なスキルを持った人材を採用するのは容易ではありません。
必要に応じて自社の社員に研修を受けさせるなどして、DXの推進役となる人材を育成することも検討してください。
スムーズなDXに必要な人材とその役割
スムーズにDXを実現するには、様々な専門知識やスキルを持った人材が必要不可欠です。
主なDX人材を紹介します。
ビジネスプロデューサー
ビジネスプロデューサーは、DXを行う際のリーダー役です。大局的に企業全体のDXを統括し、必要に応じてビジネスモデルやビジネスプロセスの変革まで担います。
企業全体のDXを統括するという立場上、ITやデジタル技術に対する知見だけでなく、企業の経営環境から自社がとるべき経営戦略まで理解していることが求められます。
とても重い責任を伴うため、経営層がビジネスプロデューサーの役割を担うことも珍しくありません。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、ビジネスプロデューサーが考えた計画をより具体的な企画(ビジネスモデルやプロセス)に落とし込み、DXを推進する役割を担います。
ステークホルダーと利害調整を行うこともあるため、高い交渉能力やファシリテーション能力、コミュニケーション能力が求められる立場です。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データ分析のプロフェッショナルです。AIやビッグデータを扱うため、統計解析や機械学習の専門知識とスキルが求められます。
多くの場合、新規事業の立ち上げなどにも関わるため、企業が行なっているビジネスを深く理解している必要があります。
UXデザイナー
UX(ユーザーエクスペリエンス=ユーザー体験)デザイナーは、実際に導入されるシステムやデジタル機器の操作画面などをデザインする人材です。
美しいだけでなく、ユーザーがより使いやすいデザインのものは、ユーザーの顧客満足度を大きく向上させます。
多くの人に長く利用されるシステム・機器を作る上で欠かせない役割です。
アーキテクト
具体的にどのような技術を導入すればDXを実現できるのかを考え、システムを設計するのがアーキテクトです。課題の分析から要件定義だけでなく、設計・開発のサポートまでを担います。
デジタル技術の深い知識だけでなく、経営・ビジネスに対する理解・知識も求められるポジションです。
エンジニア
エンジニアは、アーキテクトが設計したシステムを実際に開発・実装するポジションです。
プログラミングの知識・スキルだけでなく、ソフトウェアやハードウェアに関する知識も求められます。
先端技術エンジニアの場合、AIや機械学習をはじめディープラーニングやブロックチェーンといった分野の知識・スキルも必要です。
DX人材を育成する4つのポイント
DXを行う場合、様々な知識・スキルを持った人材が必要です。しかし、現在はDX人材のニーズが非常に高く、ハイスキルな人材ほど採用が難しくなっています。
そこで、おすすめしたいのが、DX人材の育成です。時間はかかりますが、自社で人材を育成すれば、ニーズや課題を深く理解したうえでより適切なDXを推進してくれる人材が得られます。
DX人材を育成する際は、次のポイントを意識しましょう。
DX人材に適性がある人を選んで育成する
DX人材を育成する際は、適性がある人を選んで育成しましょう。
DXを成功させるには、DXを担う人材が企業の課題に対して高い意識を持っていることが重要です。また、デジタル技術の導入にも積極的な人でなければ、スムーズな導入は実現できないでしょう。
ほかにも高いコミュニケーション能力やプロジェクトを推し進める強いリーダーシップなど、知識・スキル以外にも求められることが多々あります。
育成する人材を決める際は、これらの素養・素質を持ち合わせているかどうかもチェックして人選することが重要です。
研修を通じて知識・スキルを学ばせる
育成する人材が決まったら、研修を通じて知識・スキルを学ばせましょう。まずは座学で、必要に応じてハンズオン講座も取り入れながら、、マインドセットや基礎知識の学習を実施するのがおすすめです。
DXはチームで進めるものなので、一見関係がなさそうに思えるリーダーシップやコミュニケーション能力に関わる研修も実施しておくとよいでしょう。
OJTで学んだ知識・スキルを実践させる
ひと通り座学で基礎知識や必要なマインドを学んだら、OJTで実践させましょう。知識やスキルは、繰り返し実践することで定着します。
最初は小さなプロジェクトで実践し、感覚をつかんでから徐々にステップアップしていくことで、途中で挫折しにくくなります。
社外にもつながりを作る
ITやデジタルの知識・技術は日々進歩しています。常に最新の知識・スキルを身につけるためにも、積極的に社外にもつながりを作る機会を設けましょう。
社内のつながりだけでは、得られる知識・身につけられるスキルに限界があります。
異業種交流会や勉強会などに参加しやすい環境を作ることが重要です。
東京ITスクールの「DXリテラシー講座」で必要な人材を育成しよう!
「DX人材を育成したいが、どのように育成すればいいかわからない」
「質の高い研修を受けさせたい」
とお考えの企業担当者様もいらっしゃるでしょう。
そのような方におすすめしたいのが東京ITスクールの「DXリテラシー講座」です。
こちらの講座では、DXを導入するうえで押さえておきたい基本を90分で効率的に学んでいただけます。
東京ITスクールの講師陣は現役エンジニアが中心のため、最新の知識やスキルにも精通しているのが特徴です。当社の厳しい基準をクリアしたプロの講師が、わかりやすく丁寧にDXの基礎をレクチャーいたします。
なお、こちらの講座はオンライン講座です。PCとネット環境があれば場所を問わず受講いただけます。
人材を育成して事業のDXを推し進めよう!
DXの推進には、専門知識とスキルをもった人材が欠かせません。しかし、昨今はニーズの高まりを受けて、DX人材の採用が難しくなっています。
少しでもスムーズにDXを進めたい企業様は、自社でDX人材を育成されてはいかがでしょうか?
東京ITスクールの「DXリテラシー講座」では、DX人材に必要な基礎知識やマインドをわかりやすくお伝えします。
DXは、業務効率の改善や企業の生産性向上に大きく寄与する施策です。ぜひこの機会に専門の人材を育成し、力強くDXを推し進めていきましょう。
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現場SEとして活躍する傍ら、IT研修講師として多数のIT未経験人材の育成に貢献。
現在は中小企業を中心としたDX、リスキリングを支援。
メンターとして個々の特性に合わせたスキルアップもサポートしている。
趣味は温泉と神社仏閣巡り。